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おじさん小辞典:読書感想文 

はっかくりょうし」と読みます。

表題だけでは、何のことやら推測できないと思います。

ドイツが舞台です。
主人公の女性は、大学教授の旦那が日本に帰国したことから、ベルリンで一人暮らしが始まります。

彼女は、小説の翻訳を生業として、日々の食費を稼いでいますが、隣人のおじいさんとの、ひょんなことからの触れ合いがきっかけとなり、ドイツの過去のコアな歴史に惹かれていきます。

さらに、太極拳道場への入門に付き合うことになり、そこで出会う中国人の先生、ロシア人フィリピン人などの生徒と知り合うことで、付き合いの範囲が広がり、それぞれが独特の魅力を持って紙面に登場します。

そして、ベルリンで上映された「楢山節考」の映画が、各国での捉え方がこれほど違うのかという新解釈の発見。

最初は、固い文芸小説と思いきや、著者の波詭雲譎(はきうんけつ)の流れに飲み込まれていきます。

最後は、幽霊騒ぎと「白鶴亮翅」の謎が明かされます。

読み応えある一冊でした。


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