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鳥に学ぶ子育て

 大阪府箕面市の私の自宅から歩いて僅か数分の所に水草が生い茂り沢山の樹々に囲まれた池があります。
 
 渡り鳥であるカモやサギなどが、1、2週間、羽根を休めて飛び立っていきます。
 
 この自然美豊かな池にバンというクイナ科の鳥のカップルが数分前から住みつき、子育てに励んでいます。
 大きさはハトと同じぐらいで全体は黒っぽく少し茶色がかった色のとても可愛い鳥です。
 エサとなる小さな虫や草の実を探して、いつも忙しく泳ぎまわっていますが、ぽかぽかした小春日和の日など、スイー、スイー、スイーと地面に波紋を残しながら気持よさそうに泳ぎます。しっぽを船尾のようにしっかり立てて、この池は“私達のすみ家ですよ”、と言わんばかりに悠然と泳ぎまわります。
 一日に数回、何かの拍子にキョーン、キョーン、と、池面にひびきわたるほどの大きな甲高い声で鳴きます。
 カモやサギが飛来しても羽根を休めているだけということが分かるのでしょうか、お客様扱いで決して縄ばり争いをすることはありません。池はいつも平和鳥達の世界です。
 
 ここではこの可愛いカップルの子育てぶりを紹介しましょう。現代社会を生きる私達人間にも沢山の学ぶべき点があります。
 
 バンのカップルの子育てぶりをウォッチングしてみましょう。


 子育てぶりをお話させていただくとき、お父さまバン、お母さまバンと呼びたいところですが、バンというよりは外観からは雌雄の区別がとても難しいのです。全くのウリ二つなのです。
 この記事で、バンの夫婦を“カップル”と呼んでいる理由を了解していただければ有難いです。
 
 バンは毎年3回ぐらい産卵し、子育てをします。4個か5個の卵をカップルが交替であたためていますが、やがて4、5羽のバンの赤ちゃんの誕生です!
 最初に生まれた子と最後の子では大きさの点で随分差がありますが、子供達は争うこともなくみんな仲良く親からエサをもらい、子供達には大きなジャングルのように見えるに違いない背の高い沢山の水草の間を元気に泳ぎまわって遊びます。
 
 巣は水面から20センチぐらいの場所をつくりますが、まわりの水草をうまく使って、しっかりした巣を作ります。苦労して作った巣を惜しげもなく捨てて、毎回巣を作り直しています。巣の材料となりそうな小枝、枯草などを、一生懸命、集めての作業です。
 毎年巣を作り直す? 何故そんな面倒なことを? と思いますが、これは年に3回ぐらい、4月頃から1ヶ月くらいの間隔をおいて生まれてくる子供達に巣作りを教えているからではないだろうか? というのが、私達二人の考えた理由です。
 
 こう考えた理由は、以下のような出来ごとがあったからです。
 
 夏の暑い日、今シーズン最後の子育てかなと思われる頃、一番末っ子のバンが、兄さんバンや姉さんバンが巣立った後のすっかり静かになった池で親子三人での生活をしていました。
 この時期、もうあらたな産卵の可能性もなく巣作りの必要性もない頃にカップルの巣作りをしています。その傍らで末っ子バンが一生懸命見物です! 私達二人のこんな会話です。

妻:“あれ! どうして今ごろ巣作りしているのでしょう?“ 
私:“うーん、分からない…………例年こんな時期の巣作りは見たことがないよね” 
妻:“ひょっとしたら、あれ、末っ子に巣作りの仕方を教えているのないかしら” 
私:“ちびっ子が巣作りの勉強中?……確かにそんな感じするね” 
妻:“巣の作り方を末っ子にも手抜きしないで親は教えている……。全く頭が下がっちゃうなぁ……”

 勿論、私達には「動物行動学」についての深い知識はありません。以上のような理由については100パーセントの確信ないのですが、このシーンは私達二人の目にはしっかり焼きついて残っているのです。

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