見出し画像

「FRANK ZAPPA」が理解できた快感。

ドキュメンタリー映画「ZAPPA」を見に行った。

高校生から「月刊ドラムマガジン」を愛読していた私は、雑誌内で度々紹介される「Zappa In New York」と「黙ってギターを弾いてくれ」に憧れを抱いていた。それは、いつも超名盤として紹介されていた。
だが、たまたま実家にあったZappaのVHSで、そのLIVE映像を見たとき。頭の中には???しか浮かばなかった。まったく良さが分からない。良さも分からないし、世界観が独特すぎて意味が分からない。オペラ?演劇??メンバーそれぞれがセリフのようなものを喋っている。ドラムがchad wackermanだったので、1985年くらいのLIVEだったのだろう。
それ以来、私のなかでは「Frank Zappa=意味の分からない音楽」として、脳に溜まった不要なたんぱく質のように自分のなかに深く沈殿していた。
その後サブスク全盛の時代が到来し、apple musicで聴きたい音楽が自由に聴けるようになったため、改めて「Zappa In New York」を聞いてみたが全くピンとこなかった。

しかし!この映画を見て、やっとZappaという人、Zappaの音楽が分かった。なぜだろう。一気に分かった。Frank Zappaは作曲家だったのだ。しかも、ポップソングの作曲家ではなく、前衛音楽、クラシック音楽寄りの作曲家だった。
訳の分からない音楽だと感じた音楽にはすべて譜面があり、メンバーはその譜面通りにリハーサルを重ね、LIVEではそれを忠実に再現していた。
そしてZappaは聴衆に認められたいというよりは、「自分が作曲した音楽を自分の作品として自分が聴きたい」という欲求でレコーディング(スタジオでもライブでも)していた。Zappaの家の倉庫には、そんな録りためた膨大な量の音源が保管されていた。

映画を見終わった後、私はZappaの全ディスコグラフィー的な本、「フランク・ザッパ攻略ガイド」を購入し、apple musicで片っ端から聴き漁った。憧れだった「The Black Page #2」がとんでもなく好きになった。テリー・ボジオ、ヴィニー・カリウタが前よりもっと好きになった。

だからミュージシャンの自伝的な映画は好きだ。それまで、よく分からなかった音楽が急に接近して自分のなかに入ってくる。その人やそのバンドが『人間』として理解できると、その音楽に一気にハマってしまうことになる。

Zappa In New York

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?