にまいめの寝坊 その2

あー、ついにこの世代から出てしまったか…
と二年生は項垂れた



大祓詞とは、

公のはらえことば

を意味する。
要は日頃積み重なっていく罪穢れを払うための詞(ことば)

悪さをしたらその罪穢れを大祓詞を書きまくって払え!!ってことか…?



※聞いたことがある人もいるかも知れないですが
大祓詞を一般の人が聞ける最も身近な行事は6月、12月の神社で行う大祓式


一年の半年を区切りに神社では大祓式が行われ、近くに住む人や参拝に来られた方も自由に参加出来ることが多いです。





6月は夏越の大祓(なごしのおおはらえ)といって鳥居に輪っかがついているのに見覚えがありませんか?



それです!!それが半年の罪穢れを払う式の目印です!※




そして、その式の中で皆で読み上げるのが大祓詞
「高天原に神留ります〜…(たかまのはらにかむづまります)」から始まります。




この大祓詞を書かせる、という伝統の噂は入学してからかねがね聞いていた。

実際自分たちの一つ上の先輩や、歴代の先輩方が大祓詞を書かされた、と何度も耳にしていた。



なんかけっこーやばいことをやらかす=大祓詞書け



という認識が我々生徒にはある。

何巻書くかはその時の先生の裁量による。

この大祓詞、入学してからまず暗記させられるものの一つで、毎朝の朝拝(朝の神殿拝礼)で読むのがきまり。


読めば早いが書くと長い。なにせ全て漢字で書かなくてはいけないからだ。

上記した大祓詞の冒頭を全て漢字にすると

「高天原尓神留里坐須」

となる。

で、最後の終わりまで全て漢字で書く…というわけだ。




なんと罪穢れが祓われることか!!笑



にまいめ君は昼食後、鼠取りの如く待ち構えていた先生に呼び止められ教務室へ連行されて、大祓詞10巻書きの刑を命じられた。

その日は一日社頭実習(神社で実習)だったが、にまいめは午後から教室で大祓詞を書くことになった。

正直二年生も何度も何度も注意していたからこれ以上は打つ手も無いと思っていた。
実習から帰ってきたとき、教室で一人大祓詞を書いているにまいめを皆で覗いてみた。

「まだ4巻です…」

疲れ切った顔でこちらを振り返るにまいめ。
四時間書き通していたらしい。

「一巻一時間かかりますよ〜…」

「そうか…がんばれよ」
「頑張れ〜笑」

少し反省してるな、と感じ、皆で励ましの言葉をかけてやった。

にまいめと仲の悪いかいじんは内心ざまーみろと思っているに違いないが笑


教務からは明日までには終わると思うけど、と釘を刺されたらしく、にまいめは深夜も一人明かりをつけてせっせと大祓詞を書いていたらしい。

まあ、今回のことで彼が成長してくれたら我々二年としても嬉しい限りなんだけど。

次の日さっそくへら〜っとして「まじしんどかったッス!!もう二度とやりたくないッスよ〜〜!」

と回復していた様子を見ると、まあまあ反省していなさそうだな、とは思いましたが。笑





まあ、それがにまいめ君の良いところでもあり、たまに悪いところでもあるね。












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