経営学習論#1

経営学習論① 中原淳著

「どうすればよい組織になるのか」
この問いに対する答えを常に探している。
社会人になってからというもの、私の人生をかけて見つけていきたいものかもしれない。
そのためにこの本を手に取った。
昨今、人材育成が経営課題として騒がれている。社員がすぐやめてしまう。定着しない。企業目線の本音だろう。社会的な背景として、日本企業が直面した急激な社会変動が背景だと言及されている。それは、長期的な不況を打破するべく多くの企業で行われた「人件費の抑制」と「成果主義の導入」である。組織のスリム化とフラット化を推し進めた。これによりそれまで日本企業が強みにしていた「長期雇用」と「年功序列賃金制」が完全に崩壊した。
そして、新たな問題を生むことになる。それは、人材育成の機能不全であった。そのメカニズムを説明する。
まず、成果主義により数字をあげることが各個人に求められるようになる。数字を追いかければ追いかけるほど「仕事の私事化」が加速する。仕事の私事とは、個人が個人の業績だけを追い求める風潮のことである。成功例や失敗例が社内で共有されることがない状況が生まれるのだ。(業務のカプセル化)また、リモートワークが進むことで、同僚や上司の働く姿を見る機会が減ったことも要因だろう。社内で職場のメンバー間で学び合う・助け合う行動が消失した可能性が高い。IT化によるナレッジマネジメントもまた「自分の頭で考える」機会がなくなっている。
このようにして、自社で部下が育たない。この会社では成長できない。といった構図が生まれるのである。
本書は経営学習論の全体像を5つの概念に描写している点が非常に分かりやすい。
①組織社会化
②経験学習
③職場学習
④組織再社会化
⑤越境学習

次回、組織社会化について言及していく。

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