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【デュエプレ】侵略の主題【レッドゾーン】

デュエプレ25弾。ついに私がリアルタイムではやっていなかったところまできた。
まあでも、知ってはいる。侵略とか、革命とか。伝説的な「ドギラゴン」はもちろん、「侵略」なる能力があることも。

過去に「シータ・トゥレイト」の記事で(何回引き合いにだすの? お気に入りのようだ)、https://note.com/bright_bear726/n/na6da3616c922?sub_rt=share_pw

脈絡のない進化は、進化元を踏み潰す「侵略」に似ているというようなことも話したから、リアルタイムでなくとも後追いで、能力は知っていた。ちなみに、凡庸というほかないデザインの「ジエンド」も、その進化条件は、来る侵略の予告的側面を担ったのかもしれない。クリーチャーが踏み潰され、ただのかてにされるという予告。


進化:クリーチャー。
「愛の無限オーケストラ」のデザインを見た後だと、かなりがっかりする。




で、はじめて「レッドゾーン」をみたとき。


率直にいって感動した。

「進化」という、クリーチャーの上に「重ねる」動きを、「上にまたがる」バイクモチーフで表現し、同時にその突然な「重なり」を、「侵略」していると見ているわけだ。
その上で、障害物をはねのけながら突っ込んでいく。
すべての動きがヒロイックなバイクすぎる。「侵略」の入り口として完璧なカードである。
「重ねる」との能力説明から、「搭乗」モチーフとしたのであろう。だからこそ、バイクに侵略するのはいずれも人型である。バイクの上にバイクが重なるというのも、「」(二輪の上にさらに車)の一文字で表されている。このような事例に出会うたび、能力テキストこそが最も雄弁なフレーバーだと実感する。バイクである理由も、人型である理由も、その有り様も、すべて描かれているではないか。

さて、話を広げよう。侵略の導入としての25弾には、各文明に侵略者がいる。レッドゾーンが、上記のような、「乗る」モチーフでデザインされるならば、他の文明はどうだろうか。

水文明 ベガスダラー

これをプレイすること自体が、トランプカードの賭けのごとし。

いきなりの行き詰まりを感じる。ベガスダラーは突然侵略したかとおもえば、ギャンブルに興じだすのだから。25弾の水文明侵略者は、いずれも「賭け」を主題としている。ならば、ベガスダラーのような侵略は、「賭けに乗る」という挙動であると解釈するとうまくはまるだろうか。露骨なパロディボイスの「倍プッシュだ!」というのも、「すでに賭けているもの」(侵略元)に対してさらに「乗る」(侵略する)という意味であろう。こちらにもまた、レトリックではあるが「乗る」主題が垣間見えた。

自然文明 ワラシベイベー ゲリランチャー


ミステリートーテム偏重のワラシベイベーと、ゲリラコマンドのゲリランチャーがいる。
ワラシベイベーはわかりやすい。使っている人ならいやというほど聞く、「カモン! ライドオン!」というボイスが物語るように、トーテムが並び、上に積み上がるようなイメージである。ワラシベイベーが侵略するという挙動も、重なるモチーフと不可分であるといえよう。


一方、ゲリランチャーは難しく、ゲリラコマンド自体の導入部としての役割が大きく、こちらは解釈が厳しい。むしろ侵略の、突然手札あるいはマナから出るという突発性をゲリラとあわせていると見るべきであり、ベアフガン、ひいてはサンマッドをはじめとするS級侵略者への布石と思われる。レッドゾーンの「速さ」の部分はこの突発性であろう。(余談だが、サンマッドのカードデザインはデュエプレ版驚天の超人と似てるように思う。このへん、また考えたい)

3づくし。


つまりここでは、ワラシベイベーにはレッドゾーン的「重ねる」主題、ゲリランチャーにはバイクにおける突発性の主題があてがわれていて、すでにモチーフの分岐が起こっている。「重ねる」主題はやがて前提となって、その突発性、はやさに流動していく。その意味で、一番最初の侵略者にして、突発性と「重ねる」主題の両方を「バイク」で表しているレッドゾーンはやはり白眉と言わねばなるまい。のちの侵略すべての先駆けといってよい。

光文明 チュートピア


「究極」ではない。「九」の上に何かが足りない。

GODにチュー誠を近い、神に近づこうとしているなら、そりゃあ侵略して上へ上へ「重なる」でしょう。コスト指定の能力なので、そういう話もしなければならないが、いかに上を目指し、重なっていっても、コスト10のアルファリオンやアルファディオス、あるいはゼニスの高みへは至ることが出来ないというのが面白い。能力も、アルファリオンたちの「なりそこない」のごとし。

どこまで重なっても、上をめざしても、9より上にはならないという意味で、まさしく侵略の重なりの主題があらわれている。彼らの「上」にたつGODもまた、9でしかないのだから。

「侵略は、ここに極まれり」。すなわち9より上にはいけない。


 一方、アルファリオンよりさらに上の、サファイアウィズダムは9なのだから、かれらは一種の到達点にいると見ることもできる。しかし、チュートピアたちはアルファリオンたちと違って、それ(自身がウィズダムの高みに来ているともいえること)を知覚できていない。


アルファリオンはすくなくとも「知っている」

ウィズダムなんて知らないのだろう。やはり、かれらは重なりつづけるだけなのだ。そしていくら重なってもなお、究極には至れない。至っていると、信じているのだが。なんという、やるせなさ

闇文明 デカペンタ ブラックサイコ


じつは二種類しかなく、情報に乏しい。フレーバーテキストも、ブラックサイコはハンデスについてのものであって、あんまり解釈できない。
デカペンタにヒントがあった。

自分ではやる気がなく、フレーバーで「さっさと進め!」といっている。なにかを乗り回しているようである。やはりなにかに、乗っていた。「乗る」モチーフは進化それ自体でも成立するので、そこに「侵略」という能力をつけて進化元との連関の薄さを表現していると思われる。「シータトゥレイト」の脈絡ない進化やデッドマンジエンドの冒涜的進化のごとき在り方であろう。

かように、25弾の侵略というキーワードは、能力テキストやカードの動きをカードのモチーフやフレーバーとして組み込んで、これから始まる新章への導入を見事に行っている。なかでも、レッドゾーンは、それ一枚があまりにも雄弁な美しいカードだ

次弾が楽しみでしかたない。3ターン目にベアフガンをたたきつけるとしようか。






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