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その一瞬に、手を伸ばそう

 教員採用試験という一つの山場を終え、私がすぐに「したい!」と思ったのは、DMM英会話。理由は一つ。大好きな先生に会いたかったから。大学生のコロナ禍に始めたDMM英会話。介する言語が違っても、誰かと話すことの面白さはワクワクは変わらなかった。彼女はDMM英会話の先生(他国の方)で、英語だけではなく、私の悩みや相談に真摯に向き合ってくれた先生だった。彼女は私のことを’’my sister’’と呼んでいた。

 半年前からDMM英会話を休会している。なぜなら、教育実習があって、物理的に継続が不可能だと判断したから。彼女とは「夏休みになったら必ず現地に会いに行く!!!」と約束して、家族の紹介や彼女の国のウェルカムディナーの話をしてくれた。ただ、いつも連絡先を聞くことができないままだった。休会前に近付くうちに、次こそは…と少し焦る気持ちで先生のスケジュール表を見るが、中々先生のレッスンを取ることができなかった。彼女も子育てと転職の最中で、私のスケジュールと少しずつ噛み合わなくなっていった。

 そして今日、半年ぶりにDMM英会話のHPを開く。久しぶりに、私が指導を受けてきた先生方の顔が画面に映る。すぐに、あの先生の顔をクリックして、スケジュール表を見ようとした。でも、表示されない。何で⁉システムが変わったのかな…と思い、焦って他の先生の顔をクリックする。普通にスケジュールが出てきた。何かがおかしい。色んな方法で彼女のスケジュールを見ようと試みたが、全て見られない。「辞めちゃったんだ。」
 もしかして…とこころに浮かんでいた気持ちが思わず声に出る。声にしたら泣き出しそうになった。彼女に会うこと。それが、私がDMM英会話を続けられたモチベーションの一つだったのだと気付く。人と人との関係性ってすごい。誰かの何かのモチベーションになる強さがある。

 DMM英会話は、様々な人と出会う素晴らしさを教えてくれた。パソコンやWi-Fiがない時代であれば出会うことのなかった私たち。他国の方とこんなふうに繋がれるなんて、本当にすごい時代だと思う。そういった、物理的に距離のある人、簡単には出会いないような人と関係性を結ぶチャンスは確かに広がった。ただ、関係性を築こうとする努力、言わば、私の積極性や貪欲さが無ければ、関係性を築くまでには至れない。出会いも別れも一瞬。あっという間に消えてしまう。掴もうと思った瞬間に行動しなければ遅いのかもしれない。もっと彼女とお近付きになれるチャンスを私は掴めなかった。こころにポカンと穴が開いた。

 こんなときにはどうしたらいいのだろう。何の当てもなく、異国の地に飛び込んだらどうなるんだろう。ただ、「会いたい」という気持ちだけで彼女に会えるものなのだろうか。色んな思いがポコポコと浮かんでくる。ただ、もう一度、あの笑顔と声に出会いたい。

 会いたい。大事なことはこの思いを持ち続けておくことではないか。私が彼女への思いを持ち続けている限り、つながる希望は失われない。人との出会いは御縁であると考えている。だからこそ、また私の人生と彼女の人生とがつながる瞬間があるはず。その日を静かに待ちながら、今日から英語力をさらに強化させていこうと思う。次に彼女と出会ったとき、彼女にもっと私の思いが伝えられるように。これが私の次のモチベーションだ。人への思いがモチベーションになる。何か分からないけれど、無性にワクワクする。

 そして、次に運命だ!と感じた出会いを逃さないようにしよう。その瞬間に一歩を踏み出せる勇気を持とう。それが未来の私につながっていくんだから。

 また、どこかで絶対会える。そう信じて、少し悲しい気持ちを持ったままだが、ゆっくり今日も歩んでいこう。大丈夫。なるようになる。

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