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NYCにLet’s Go!!(4日目:2月3日)

❁4日目の旅のコンテンツ

①朝寝坊からの少し遅めの朝ご飯
②グラウンドセントラルステーション(星座のホールとフードコート)
③メトロポリタン美術館

パン屋さんでの出来事

 目が覚めたら9時。思わず「まじか!!」と叫ぶ。もっと早く起きる予定だったのに…。「静かに、ここはホテルだよ」と気持ちを落ち着かせ、伸びをして立ち上がる。窓を開けて深呼吸。
 今日の朝ご飯は、昨日と同じビーンズスープが美味しいパン屋さんにしようと思い、外に出る。空気が冷たい。大きな飲み物を片手に足早に歩く人とすれ違う。「おお~仕事できそう」と思う自分がいる。

 パン屋さんに着くと、昨日以上に人がたくさんいた。私はサンドイッチとビーンズスープを注文して一人席に座る。そこで、ある一人の男性が目に入った。どうして私がその男性に意識が向いたかというと、彼のパンの食べ方が不思議だったからだ。なんと、クロワッサンの中身をほじくり出して食べていた。「そんな食べ方ある!?外のサクサクが美味しいのに…」と驚いた。もったいないと思った。そんなことを思いながら、スープを飲もうとした瞬間、ある一人の男の子が話しかけてきた。視線を横に向けると、急に服をめくってお腹を見せてきた。そのお腹には大きな傷。「手術をしてお金がないので、ご飯を買うお金をください。」あまりに衝撃的なことだったので、状況を理解するのに時間がかかった。この3日間、路上生活者や物乞いの人を目にすることはあっても、自分に直接声をかけられたことはなかった。ショックだった。気持ちが滅入るとはこういうことなのだろうか。このとき初めて、英語が少しできることを後悔した。もし英語が分からなかったら、彼の言い分を聴かずに済んだかもしれない、「英語が話せません」で切り抜けられたかもしれない。分かっていたけれど見たことのなかった受けとめならなければならない現実と出合ったということだろう。日本を出国する前、「金銭を求められても払ってはいけない」と何度も言われた。そのお金が何の目的でどうやって使われれるか分からないからこそ、無視して目を逸らさないといけないと。彼の目がじーっと私を見つめる。目を逸らすことができないまま、時が流れる。彼は、「もういいや」と去って行った。苦しかった。何か言わないと、何かしたいと思うけれど、何も言えないこと、何もできないことが苦しかった。
 一呼吸して前を見ると、癖のある食べ方をしていた男性が立ち上がったのが目に入った。トレーの上にはクロワッサンの外側の残骸とまだ口をつけていないパンが一つ残っていた。それをそのままゴミ箱へ。ショックで口が閉じなかった。「あのきれいなパンを彼にあげれたら…」と悲しい気持ちになった。彼の目が私を見ている気がした。あんな人もいれば、こんな人もいるという言葉では片付けられない感情。目の前の自分のパンとスープをいつも以上に時間をかけて食べた。食べられることへのありがとうの気持ちとごめんなさいという気持ち、そして、どこに持っていったらいいのか分からないモヤモヤとした感情を噛みしめながら食べた。

 メトロポリタン美術館にて

 歩きながらさっきの出来事が頭から離れない。高級ブランド店の大きな袋を持った人、道路に並べられているまだ中身が残ったジュース、多くの派手な服装の人で賑わうブロードウェイ。これを格差というのだろうか。

 メトロポリタン美術館に到着。NYCで最も楽しみにしていた場所。ゆっくり、じっくり見ていると、唇の彫刻の前で写真をバシャバシャ取り続けている男性がいた。「その唇の魅力を教えて下さい」と勇気を出して声をかけてみる。彼は、この唇の何とも言えない曲線とふっくらした感じが美しいと言っていた。そのあと、彼に美術作品の見方を教えてもらいながら、一緒に回った。ここの作品の多くがお金を払って集められたものであること(略奪売買の話)、彫像のオリジナルと人工的に作られたところの見分け方、宗教によって作品のあり方が違うこと、壊れているからこそ、未完成であるからこその美しさがあること、ミイラの墓にはその人の生きた歩みが残されていることなど、たくさんのことを教えてくれた。彫像の石の色や素材感によって、古いものと後から人工的に作られたところが分かるらしい。面白かった。後から分かったことだが、彼は美術の先生で、今回は美術の授業のアイデア探しで来たのだと言う。別れ際に、私も「将来、小学校の先生になりたい」と伝えると、「あなたはきっと素晴らしい先生になれる、でも、もう少し勉強した方がいいと言われた(笑)」

 メトロポリタン美術館は本当に広かった。各国の歴史的で有名な美術作品があって、世界一周していないのに、世界一周した感覚になった。その各国の作品の中で、個人的には、フランスやパリの西洋文化が好きだった。その空間に入った瞬間に、心がドキドキ・ワクワクした。

 もう一つ、心がウキウキした空間に楽器エリアがあった。世界の楽器が集められた空間。リコーダーは一種類じゃない。ここにあるたくさんのリコーダーで授業ができたら面白そうだとにやにやが止まらない。楽器を見るだけでも世界は広いと実感できる。一ヶ所にこれほどまでの世界の美術作品が集まるって本当にすごい。本物を見て、実体験から感じることは多くある。

 これは、私個人の意見だが、JAPANエリアはもっともっとこだわってほしいと思った。JAPANエリアには多くの人がいて、写真をバシャバシャ取っていた。やはり、日本は人気があると再認識する。世界中の人が、このJAPANエリアを見て、「これが日本の文化か」と思われるのは、少し違うかなと思う。改めて、もっと日本の文化の魅力を世界に語れる人になりたいと強く感じた。

今日の一言

 昨日、祖母の誕生日だったことを思い出した。節分の日。日本では恵方巻を食べているのだろうか。昨年、恵方巻がたくさん捨てられているニュースを見たことを思い出す。どうやったらそのような状況が改善できるんだろう。このように考えるのは、今日の男の子との出会いがあったからだろう。この出会いはきっと忘れない。この出会いに自分はどのような意味付けをするのだろう。知らない事実が多くある。ありすぎる。知らずに生きることで幸せなこともあるだろう。でも、知ったことを背負って生きることで変わる行動や言葉があるはず。私は知ったことを受けとめて歩いていきたい。

メトロポリタン美術館①
メトロポリタン美術館②

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