橋を架ける仕事についての往復書簡#08

瀧内@長野です。こちらは朝晩すっかり肌寒くなりました。この前まであんなに暑かったのに、もうカーディガンが手放せません。そんななか、先日、喉風邪(医師による診断済)をもらってしまいました。実は咳喘息持ちなので、咳が長引きやすく、昨年度も冬〜春頃まで続いたのですが、この状況下なので早く治ることを祈っています。。

では、さっそくロールモデルについて。質問したときにはまったく予想もしておらず、そのまま打ち返されましたね。(ずるい…)でも、ロールモデルを追いかけることは、この「橋を架ける仕事」の全体像を見ることでもある、、、と思うのですが、この一週間ずっと考えてみても、ロールモデルが思い浮かばない。
グラフィックデザイン中心だった以前は、ああいうデザインをする人がいいな、とか、ああいう位置づけまでいつかたどり着きたいな、などと思ったことはありますが、「橋を架ける仕事」中心の現在は、考え方やアクションなどの「部分」はあっても、「全体」となると難しい。
まあ、ないね、では話が終わってしまうので(笑)、少しその部分について考えてみたいと思います。

例えば、春先まで書籍「ダブルローカル」を一緒につくっていた、gift_の後藤寿和さん。彼の「複雑なものを複雑なままで置いておく」という考え方が好きで、普通はすぐに答えを出したがったり、簡単にして解釈しようとしがちだったりすると思うのですが、そうはせず、複雑なままで置いておくことによって、本質を突くような、違った解答を出せるようになるな、と思っています。
他にも、ここ最近、企画などでしょっちゅうやりとりしている長野県松本市にあるブックカフェ栞日の菊地くんの(不器用な生き方でもあるだろうけど)どこまでも追い込んでいく姿、仕事の向き合い方、そしてその独特の作家のような言語化。一度お会いした程度ですが、建築家の谷尻誠さんの徹底した伝えることの「わかりやすさ」と、異なるジャンルへのチャレンジ精神。大家の学校などで知られる青木純さんの、明るい、太陽のようなリーダーシップ・・・こう並べてみると、目標や参考している「部分」は、考え方や仕事の向き合い方であるなあと思います。仕事そのもののあり方ではなく。
本来、こうなりたいと思う人が本来の「ロールモデル」だと思うのですが、そもそも、というか聞いてみてなんですが、自分で捉え直してみてわかったのは、社会がものすごい速度で変化しているなかで、ロールモデルを持って活動することにあまり意味を見出していないのかもしれません。目指す先は手探りで探すしかない、というか。いまの成功事例が将来の成功事例ではない、のでしょうし、部分最適としては参考にしても、全体最適ではない、という感じでしょうか。
あ、でも、同じような仕事を目指す人に、道をつくるという意識はありますよ。市場をつくるという表現の方が近いかもしれません。

あと、もうひとつの質問。橋を架ける仕事の捉え方と似たような職業との違いについて。
まず、自分がよく使う「ディレクション」については、長野県塩尻市にあるシビックイノベーション拠点「スナバ」チームのふたり(草野さん、岩井さん)との企画「育ディレ」※ のなかで、建築畑出身のゲストを招いた時の話がわかりやすいかもしれません。
彼女は僕と近い仕事をしてるのですが、仕事を「プランナー(企画する人)」と「ディレクター(現場指揮をする人)」に分けていて、これは建築畑の考え方(職能のネーミング)から来るものだそうで、僕はこのふたつをくっつけて「ディレクター」と呼んでいたな、と気づいた、という話がありました。他の近い肩書の解釈を誤解を恐れず言えば、そのディレクター(僕が言ってる方)はデザイン基軸で、企画(プロデューサーあるいはクライアントの大きな意向から実行可能なものとしての)と現場指揮を担当する人についての表現、それが編集基軸になると編集者。「つなぎ合わせること」がメインの人はコーディネーター、建築畑で現場指揮をする人をディレクターと言ってましたが、それはプロジェクトマネージャーとも言うかな、みたいな感じです。でも、最近優秀な、というかいい仕事をされる方は総じて「プランニング(企画)能力」が高くて、その発想とみんなからの話をうまく編んでいるなあと思っています。ファシリテーターも結局そうなんじゃないかな、、とも。
で、橋を架ける仕事とは。総称であり、総称ではない、みたいな・・・?なんだか禅問答ですが(笑)、大きな枠としては、これらすべてが入っていて、でも、すべてをやるわけではない、というか。前の回だったか話した、企画が「美しい」状況、最適化されるために、必要な(その場に不足している)役割を補う人。それが橋を架ける仕事、なんじゃないかなあと思っています。

さて、最初から質問で締めるというやり方が続いていましたが、そのまま締めてしまおうと思っています。往復書簡って相手から来た文章について思った感想を徒然に書いていくってやり方でもいいんじゃないかな?と思って。

瀧内貫

※ 育ディレについてはこちらのFacebookページより。
https://www.facebook.com/%E8%82%B2%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%AC-102323334907136

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