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コントラクトブリッジの「ボード」はホイストの頃から使われていたらしいという話

コントラクトブリッジでは、あらかじめ用意された4人分の手札を使ってゲームをする「デュプリケート」という遊び方があります。これは、多数のプレイヤーが同じ手札(ハンド)をプレイしてそのスコアの優劣を競うもので、競技会でも用いられる形式です。
この手札を準備しておく際、カードがバラバラにならないようにするための道具として使われているのが「ボード」と呼ばれるものです。
これについては以前にも記事を書いたことがありますが、今回はこの「ボード」の歴史について、少し勉強してみたいと思います。
(過去記事はこちらから↓)


というのも、「オランダにコントラクトブリッジの博物館があるらしいという話」という記事で紹介した「ブリッジ博物館」が公開している動画の一つにこの「ボード」の歴史を紹介する動画があり、とても興味深かったので、シェアしたいと思ったからです。
以下の動画では、ブリッジ博物館が所蔵する様々なボードとともに歴史の解説がされています。(音声はオランダ語、英語字幕対応)

この動画の他、英語版のWikipediaにも書いてありますが、ボードはコントラクトブリッジの祖先のゲームにあたる「ホイスト」が盛んな頃から作られていました。1890年代にデュプリケート形式のホイストが行われるようになると、1891年にボードが発明されます。当時はボード(Board)という名前ではなく「Whist trays」などと呼ばれていたそうです。
以下はトランプカードの製造で有名なU.S.プレイングカード社が1897年に発行した『Whist and Duplicate Whist』という冊子の図版です。(こちらの資料はInternet Archiveで公開されていました。)このカタログではWhist holderという名称のようですね。

カタログの表紙(左)とWhist holderの使い方(右)

現在のボードと違って、この頃は正方形だったんですね。

また、ネットオークションサイトなどではアンティークグッズとして流通しているようですので、気になった方は探してみてください。

その後、1925年にコントラクトブリッジが流行してからもボードは使用され、紙製、木製、金属製など、様々なバリエーションのボードが作られました。そうした中で、1928年に現在と同じ長方形のボードが登場します。(それは紙製だったようです)
また、皮や布のような柔らかい素材でできたボードも作られ、それらは「Wallet」(ウォレット)と呼ばれます。(折り畳むと財布みたいに見えるから、だそう)

以下は金属製のものがネットオークションに出品されていた例↓

そして、現在の主流であるプラスチック製のボードが使われるようになったのは1976年のこと。割と最近なんですね。
今ではプラスチック製以外のボードを探す方が難しいと思いますが、ゲーム用品メーカーのLion Games&Gifts社ではプラスチック製のボードやウォレットの他、木製のボードも製造しているようです。

あと、別のメーカーですがプラスチック製で正方形のボードもあるみたいです。

というわけで、今回はボードの歴史やバリエーションを色々と見てみました。競技会では機械を使ってボードにカードをセットすることも多く、プラスチック製で長方形のボードが扱われていることがもっぱらだと思いますが、ご家庭や個人のサークルなどでは様々なボードを使ってデュプリケートブリッジを楽しむのも良いのではないでしょうか。また、コレクションが趣味の方は色々なボードを集めるのも楽しいかもしれませんねーではー。

サポートはコントラクトブリッジに関する記事執筆のための調査費用、コーヒー代として活用させていただきますー。