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この図表があったらコントラクトブリッジなので覚えておいてくださいという話

コントラクトブリッジは4人のプレイヤーがトランプカードを出し合って勝負するゲームです。使用する52枚のカードは数字やスート(マーク)で序列がついており、ゲームの内容をテキストで説明するときには、4人のプレイヤーがどのような手札を持っているかを示す必要があります。
そんなとき、以下のような図(ダイアグラム)が使われます。

4人のプレイヤーは北・東・南・西の座席で示され、その横にあるのが手札を示す記号です。
手札はトランプカードのスートと数字の組み合わせで示します。

スートはスートランクの順番(スペード、ハート、ダイヤモンド、クラブの順)で示されます。スートは記号(♠︎❤︎♦︎♣︎)で示されることが多いですが、記号の代わりにスートの名称の頭文字(S・H・D・C)で示されることもあります。

スートの横にはスートごとの手札の数字が並びます。2〜10までは数字で示し、ジャックはJ、クイーンはQ、キングはK、エースはAとアルファベットで示します。(数字の10については「T」と示すこともあります。英語のTenの頭文字。)表記するときは左からカードの強さ順に並べます。
持っているカードが一枚もないスートの横にはダッシュ(ダーシ)記号が入れられます。

これは手札の内容を示す図なので「ハンドダイアグラム」「カードダイアグラム」と呼ばれたりします。

それともう一つ、ブリッジでよく使われる図表として「ビディングダイアグラム」があります。これはオークションでどのようなビッドがなされたかを示す図です。

座席は左から西・北・東・南(W・N・E・S)で示され、その下に各プレイヤーがコールした内容が示されます。
ビッドした場合にはコールするレベルの数字と切り札のスートを組み合わせて示します。「ハートを切り札に1勝ち越し」のビッドであれば「1❤︎」、といった具合です。切り札なしの「ノートランプ」は「NT」と示します。
また、ダブルのコールは「X」(もしくは「Dbl」)、リダブルは「XX」(もしくは「Rdbl」)、コールしなかった場合は「Pass」です。(「P」と略す場合もあります。)

この二つの図はコントラクトブリッジのテキストによく利用される図です。なので、ブリッジプレイヤーならこれらの図を見ればすぐに「ブリッジの話か」とすぐに分かります。

例えば、SNSでブリッジの情報収集をしていると、このダイアグラムを使った画像がアップされているのをよく見かけます。それは、ブリッジの試合を解説する記事であることもあれば、「ブリッジクイズ」を出題していることもあります。

ブリッジクイズは、ダイアグラムを提示して「このビッドやハンドだったら、あなたはどうやってプレイしますか?」と問いかけるものです。これなら手元にカードがないときでもハンドやオークションの内容がわかるので、ブリッジのゲームを頭の中で思い描くことができます。また、同じクイズをブリッジ仲間同士で解いてみて、答えを比べ合うのも楽しいと思います。

例えばオンラインブリッジサービスBBO(ブリッジ・ベース・オンライン)はTwitterやInstagramでブリッジクイズを投稿しています。

これ以外にも、ダイアグラムの面白い使われ方があります。コントラクトブリッジの愛好者であったアメリカの漫画家チャールズ・シュルツさんは、自分の作品である「ピーナッツ」(PEANUTS)でこのダイアグラムを使った漫画を発表しました。

次の画像の漫画では、人気キャラクターである犬のスヌーピーが小鳥のウッドストックたちを見て呆れている様子が描かれていますが、その余白にダイアグラムが書き込まれています。

『完全版 ピーナッツ全集 24: スヌーピー1997~1998』56ページより。(1998)

ダイアグラムを知らない人がこの漫画を見ても、何が面白いのかわからないと思います。しかし、知っている人が見ると「この図はブリッジのダイアグラムだから、ウッドストックたちが持っている手札を示しているのだな」と気がつくことができます。つまり、この場面が「ブリッジに夢中になっているウッドストックたちを見てスヌーピーが呆れている」状況であると理解でき、クスッと笑ってしまうのです。

というわけで、今回はブリッジのテキストを読んだりオンラインブリッジをしたりするときによく見るダイアグラムを取り上げました。これが分かれば文章を読んでブリッジの勉強をしたり、テキストメッセージでブリッジの話をしたりするのが容易になります。これを機会にブリッジのダイアグラムを覚えてみてくださいーではー。

(本記事執筆に際しては、英語版Wikipediaの「Contract bridge diagram」のページ、ならびに、参考文献に挙げられていたアメリカのブリッジプレイヤーRichard Pavlicekさんの「Bridge Writing Style Guide」というテキストも参照しました。ご興味ある方はこちらも是非ー。)

サポートはコントラクトブリッジに関する記事執筆のための調査費用、コーヒー代として活用させていただきますー。