山梨県 富士橋~伊勢湾台風での流出と復旧~新旧構造の違い、そして撤去を待つ姿(山梨県県道4号 市川三郷富士川線)
山梨県を流れる富士川は甲府盆地の南部から左岸・右岸とも山に挟まれ、静岡県へと流れていきます。逆三角形の形をした甲府盆地の下の頂点あたりにあるのが富士橋です。土木学会の歴史的鋼橋検索にも情報があります。
架け替えとのことで、すでに新しい橋が通行できるようになっていて、旧橋の橋面関係は撤去されていました。
3連の下路式単純曲弦ワーレントラス橋で昭和25年(1950年)に竣工とのこと。リベット接合で作られたトラス橋が70年以上使われてきたんですね。
訪れたときは、すでに床版が撤去されていて、鋼材部分は今後に撤去工事となるようです。(’24年5月)
スパン中央部分のリベットの本数が多くなっていますが、当然ながら当て板補強ではなさそうですし、支間中央部の曲げモーメントが大きい範囲には、板材を2枚重ね的に断面積を確保しているのでしょうか?ついつい当て板補強を思い浮かべるのは良くないクセです。
さて、左岸側から3連のトラスの全景を見ると、右岸側の径間の部材が違っていることがわかります。手前の2連はリベット接合で部材が構成されていますが、一番奥の右岸側の径間はすっきりとしています。
幸いにして、右岸側の河川敷が散策路になっていたので近くで見てみました。トラスの構造寸法としては同じなのですが、右岸側のトラスは各部材が溶接部材となっています。
山梨県のサイトで検索すると、昭和34年に右岸側の径間が流出されているとのこと。その後に再架設され、同じ形状ではありつつも溶接構造でのものとなったのですね。
写真を見比べると、新旧の構造の詳細にはいくつか違いがあるのですが、このあたりはご覧になる方にお任せして。
いずれにしても旧橋ではH.W.Lに対しての問題があるということですので、名残惜しくも見納めになってしまいます。
さて、歴史的鋼橋検索のサイトで高欄のデザインについてのコメントがありました。訪れた時点では、側径間部に高欄が残っていました。写真ではわかりづらいと思いますが山形鋼を曲げているような印象です。近寄って確認できたわけではありませんが、デザインもさることながら、なかなか難易度の高い曲げ加工(たぶん違う?)ですね。
2024年度に撤去工事が発注されるようです。どのような工法で撤去されるのかにも興味があり、もし機会があったら再訪できればと思います。
富士橋の場所はGoogleMapのリンク先にてご覧ください。