栃木県 中橋~歴史のある3連アーチ橋を拝見(県道38号線)
足利駅から渡良瀬橋に進む途中に中橋があります。中橋の読みは「なかばし」のようです。
駅から進んでいくと何やら工事中で、工事看板を見ると新しく架けるようです。古い橋の宿命でもあり、経年劣化や交通条件などで・・・・と思ってあとから栃木県足利市のWEBサイトを見てみると、「現在の中橋の3連アーチ部分を下流側にスライドし、歩行者・自転車の通行空間として再利用」となっています。残すことも大変ですが、横に新しい橋を架けて道路をシフトさせるのではなく、現橋をスライドさせて残しながらというのはすごいですし、嬉しい話です。
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/manage/contents/upload/633fd80818b92.pdf
歩いてみているときは「この橋はなくなっちゃうのかな?」と思いながら見ていました。
さて、歩道を歩き始めて思ったのは、いささかの武骨さ。力強さと言ったほうがいいかもしれませんね。形式としてはブレーストリブタイドアーチとのこと。今ではあまり見かけない(造られない)下路式のアーチ橋です。
歩いていくと、気になるのは床版/舗装部分と鋼部材の交差部分です。状況によってはどうしても腐食が進んでしまう部分です。中橋ではグレーチングがあるので、接触せずに貫通する構造になっているんでしょう。もう少し、しっかりとのぞき込んでおけばよかったです。
対岸に渡ると、河川敷に進むことができました。
側径間部はコンクリート橋です。桁高の違いをクリアするのにパラペットのコンクリート部を立ち上げるのではなく、I型断面の部材を載せているのは合理的だなと思いました。アーチ側を架設後に追加で立ち上げるのは大変だったでしょうし。目線を橋脚間に移すと連結部材があります。これは後から追設したもの?とも思いましたが、別の橋脚と同様の形状なので、おそらく鋼板巻き立てしたものではないかと思います。
そして、個人的な定番の支承へと。
支承まわりの下弦材や斜材のリベットを打つのは大変だったろうと思うような部材構成と混み具合です。溶接で大きく仕上げていく時代ではない(?)組み立ての苦労がうかがえます。
ネットを検索すると、いろいろと資料がありました。構造的なものだけではなく、地元の方にとっての資料もありそうで、親しまれている橋であることが伝わってきます。
「地元がサポートした橋 中橋」(土木学会)
http://library.jsce.or.jp/Image_DB/committee/steel_structure/book/42517/42517-0208.pdf