見出し画像

長野県 半の沢橋~上路ローゼ橋のTL20への移ろい(大鹿村への道 長野県道59号 松川インター大鹿線)

 県道を大鹿村に向かう途中に半の沢橋はあります。「半ノ沢橋」の表記の場合もあるようですが、「全国道路施設点検データベース~損傷マップ~」に合わせました。
 四徳大橋と同じ路線にある橋です。「アーチ橋だな」「沢が深いのかな?」と思いつつ、何かが気になり、少し見てみることにしました。下から眺めたい好奇心(悪い癖)なのですが、廃道側からはあまり見ることができず、橋の手前の退避スペースから拝見しました。

半の沢橋 右岸の下流側より

 まず、垂直材と斜材の色の褪せ方が違っています。これは耐震補強が行われたのかな?とも思いましたが、桁端部に落橋防止装置などもなく、ちょっと違うようです。
 上弦材の側のGussPLを見ると縦方向に色の違いが見て取れます。垂直材の頂部に載るように補剛桁があるので、補剛桁の下フランジにリベットかな?接合されています。そして、斜材はボルトでの接合になっているので、竣工後に補強されたもののようですね。

垂直材と追加斜材の取合部

 アーチリブ側に視線を移すと、アーチリブのTopPLとWebPLに追設された構造がわかります。あとから追加された部材ゆえにアーチリブ内部で断面力を受ける板材がないので。外面側にも受け渡せるように配慮しています。これはトラスやアーチの補強設計で苦労する部分です。補強の話をしていて、「その箇所の内側にダイヤフラムがないですよ」あるいは「ダイヤフラムがあるから添接が・・・」という会話で設計検討は踊る・・・。

アーチリブ側の補強部材の接合

 さて、アーチリブそのものや支承の補強はされていないようです。

右岸の上流側より

 例によって文献などの検索に入るわけですが、論文関係ではヒットしませんでした。個人で橋のサイトを運営されている方がいらっしゃいまして、半の沢橋の情報として斜材が追加された旨が書かれていました。鋼床版化により床版の軽量化をして、アーチリブや支承の補強を回避できたのかなと思います。工事の期間中は旧道が復活していたのかも。

1987年12月TL-20(鋼床版・斜材)化

webサイト:「橋の風景」より半の沢橋の記載として

 それにしても、斜材に取り付けられている梯子(ステップ)は、現場で登るのは怖そうですね。前屈みになるので、梯子のように脚力メインではなくなる感じかな。。。

斜材に取り付けられている梯子(ステップ)

 半の沢橋の場所はGoogeMapでご確認ください。

 小渋川を高巻きしつつ、時に小渋ダムに湛える水面を見ながら東進すると、大鹿村の長閑な風景が見えてくるのです。
 おとなりの四徳大橋のブログもどうぞ。