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長野県 鬼淵鉄橋〜国産最古のトラス橋 を拝見(県道上松南木曽線 長野県上松町)

 木曽福島あたりから国道19号を南下していくと、上松町に入ります。そしてお目当ての鬼淵鉄橋を見学しました。
 大正3年竣工の日本の国産最古のトラス橋で森林鉄道の橋とのこと。

鬼淵鉄橋は木曽森林鉄道の遺構の中でも最大級のものです。大正時代になって日本の鉄橋(トラス橋)は鋼材から製作まで国内の技術で作ることができるようになりましたが、この鬼渕鉄橋が現存する国産最古のトラス橋だと言われています。昭和50年まで森林鉄道の鉄橋として使われましたが、森林鉄道の廃止後、林道用の橋に改造されて使われました。平成8年に下流側に新しい道路橋が完成したため、廃橋となりました。 (大正3年竣工)

「林業遺産」に選定された木曾森林鉄道関連の遺構群(林野庁の資料より)

https://www.rinya.maff.go.jp/chubu/press/kikaku/pdf/kiso_rintetsu.pdf

 新しい車道橋が通っていて、鬼淵鉄橋は歩道橋になっているのかな?と思いつつ近づいて見ると、通行止めになっていました。なので、隣接の現橋から拝見しました。 

支承部

 支承部は現在とは異なり、部材の結合点で支えるタイプになっています。「この大きさの橋でこのピンの径?」と思うような小さなピンですね。
 部材の構成として、それぞれの板材をリベットで接合しているようですが、段取りなど、結構大変な感じがします。

上弦材の格点部

 上弦材の格点部も、改めて写真で見直すと、組立順序に苦労していそうな印象です(私の理解が追い付いていないだけです)。工場あるいはヤードでの組み立てと、連結時で別の工程なのか、はたまたすべて現場なのか。

側径間部の端支点

 側径間部の端支点の支承は、格点位置とはちょっとずれています。これはなぜか?と考えつつも、おそらく支承を追設したのでしょう。写真では少ししか写っていませんが、端部にも小さな支承がありそうです。沓座モルタルも新しく、また追設部材もボルト締めなので、改修されたんでしょう。

左岸側より

 訪問した時は気が付かなったのですが、支承は板の積み重ねのような状態に見えます。当時、隙間には何か充填されていたのでしょうか?あるいは油類の塗布とか。本体もさることながら、当時の支承の防錆も気になります。

支承部

 さて、最後の写真は橋名板。

橋名
製作:横河橋梁

 国産最古のトラス橋としての資料は見つけられたのですが、活用されていた頃の資料まではまだ確認できておらず、いずれかの機会に上松町の町誌を拝見することとします。町誌や村誌の橋の記述は生活や社会目線なので、臨場感があるんです。

 土木学会の歴史的鋼橋検索のサイトにも載っています。