見出し画像

中空床版橋 落橋防止構造の今昔を垣間見つつ

 東名高速や中央道の側道から見かける落橋防止装置があります。
 中空床版橋の定番なのか?(だったのか?)、標準設計的なもののようです。
 中空床版橋は2柱式の橋脚となることが多く、設置スペースが限られることから、取り付けられる機構が限られてきます。現在はメーカーからの提供がない?ようですが、設計の資料では見かけることがありますね。

プレキャストコンクリート製のストッパー

中空床版橋 上部工下面に鋼製ストッパーの設置

 上部工側は鋼製ブラケットが設置されています。メッキされた鋼製部材に緩衝ゴムが取り付けられている構造です。割合とコンパクトなので、おそらくせん断力として伝達される構造モデルで設計されているのではないかと思います。
 下部工側はプレキャストコンクリート製のストッパーです。左右2列、上下方向に3段のアンカーボルトが配置されていて、上部の突起部が鋼製ブラケットに衝突する構造です。
 中空床版橋の落橋防止構造の設計で悩むのは、
①橋軸方向と橋軸直角方向の機構を兼用できるか?
②どちらの向きの水平力を受け止める構造とするか?
といった点です。
 最近のメーカー製ストッパーは、全方向OKとなっているので採用しやすいですが、採用できない場合には、鋼製ブラケットやRC突起の採用となり、作用力の方向、機構の受け持つ作用力、機構の設置数のバランスがポイントになってきます。さらには2柱式での橋脚となると、橋軸直角方向には1つの脚で耐える設計となる場合もあり、下部工耐力の低さと作用力の1か所集中で、設計が・が・が・・・、ですね。

 こういった場合、設計条件やコスト面との兼ね合いはありますが、2本の柱脚の間にダンパーを入れて挙動を低減したい気持ちはわかります。免震機構の機能で、どのくらいの違いとなっているのか、興味があります。

中空床版橋の2柱脚間にダンパーを設置した事例

 縁端拡幅が必要となるケースでは、位置関係の調整が大事ですね。施工としても、機能発揮としても、近接する場合には、諸々の気を使います。

縁端拡幅と落橋防止構造