Tokyo 7th Sisters楽曲解釈 ~「黄金のメロディが生まれる場所」~

こんにちは。ぶらいあんです。

友人とカラオケでMELODY IN THE POCKETを歌っていたら余りの歌詞のすばらしさに感動しその場で解釈フリースタイルラップバトルになり、気が付いたら朝になっていたのでその結論をここに示します。

まず、「青空」がいつかたどり着きたい場所、夢、目標の隠喩としてTokyo 7th Sisters内で繰り返し使用されていたことは大前提として話を進めていきます。

ここでは777☆SISTERS楽曲のうち、「僕らは青空になる」と言う宣言から始まり、「スタートライン」「FUNBARE☆RUNNER」「STAY☆GOLD」を経てたどり着いた約束の唄「MELODY IN THE POCKET」に注目し、また他楽曲の考察も交えながら777☆SISTERSが繰り返し歌い続けてきた共通のテーマについて整理し、彼女たちが届けたものがなんだったのかを明らかにしていきたいと思います。

1. 僕たちは「ひとりぼっち」

「ひとりぼっち僕らの みんなの物語」(僕らは青空になる)
「ほら 涙を拭いたなら ひとりで行かなくちゃ」(スタートライン)
「それぞれ目指すゴールだけど」(FUNBARE☆RUNNER)
「夢を見る僕たちは ひとりで隠れて泣くから」(STAY☆GOLD)

 これはナナシス(あるいは777☆SISTERS)の特徴の一つだと思うのですが、繰り返し「僕たち」は「ひとり」と歌っています。逆にそう思って777☆SISTERSの歌詞を読んでいくと、「一緒に頑張る/走る/泣く」「同じ夢を目指す」のような歌詞は見当たりません。

「そう…あの日同じ夢を描いたんだ」(それは僕たちの奇跡/μ's)
「だけど今は知ってるよ 涙流す時も キミとキミと一緒」(Star!!/CINDERELLA PROJECT)
「でもね一緒に流した涙は 七つの星に変わる」(7 Girls War/Wake Up, Girls!)

こうした他アイドル作品とはスタンスが違うことが見えてくるのではないでしょうか(※炎上したくないので一応言っておくとどちらが良いとかではない)。これだけ繰り返し強調しているわけですから、これは「ナナシス」と言う作品を通じたテーマの一つと推測できます。

文脈から言っていずれも「青空」を目指す道のりを示していると考えられるでしょう。「青空」を追いかけるのは誰かと一緒じゃない、あくまで自分自身だと、そう語りかけるのが777☆SISTERSなのです。

2.そこにある奇跡

では、「僕たち」は孤独なのでしょうか。そうではありません。

「夢を見た僕たちは 今ならひとりじゃないから」「ねぇ 奇跡みたいな僕らは いつかは消えてしまうけど」STAY☆GOLD)
「一瞬でも カケヌケルイマは 確かに想いと手が重なり合った」「笑いあった一瞬を忘れないで 祈るから 願うから 青空に」(僕らは青空になる)

「奇跡みたいな」一瞬は、「駆け抜ける今」は、確かに存在しました。僕らは確かにその瞬間、手を繋いでいた、そう歌われています。しかし同時にそれは一瞬に過ぎなかった、あくまでも奇跡的な瞬間だったことも同時に示唆していることがわかります。

ここでシナリオに目を向けてみると、Episode 4.0 AxiSの最後に七咲ニコルが姿を消したことや、Episode 0.7 Melt in the Snowの羽生田イトやセブンスの解散など、本作は「出会い」以上に「別れ」を重要なものとして描いてきたように思えます。

「僕ももう行かなくちゃ」
(スタートライン)
「ありがとうとさよならを きっと忘れないって」
「あの場所に立つ君の隣に 古ぼけた僕はいないけど」
(MELODY IN THE POCKET)
「右手に残った さよならが今も痛むよ」
「右手にさよなら 言えなかった言葉」
(NATSUKAGE -夏陰-)

いつかは必ず別れが来る、これは前述の「僕たちはひとりぼっち」と地続きの、本作が持つ前提の一つだと思います。

ここで「またあした」の歌詞を見てみましょう。武道館ライブでも「スタートライン」から始まる777☆SISTERSのステージへの繋ぎに配置され、Episode 4.0 AxiSでも非常に大きな役割を担ったように、本作でも重要な意味を持つ曲と考えられる「またあした」は、サビで繰り返し「手を繋ぐ」と歌っています

「だから手と手 つないだ指先に残った願い 溶け合えない 僕らが持つ最初の習性」
「だから手と手 つないだ掌に灯った光 翔び立てない僕らが待つ 最後の流星」
(またあした)

完璧に分かり合うことはできない、永遠に一緒にはいられない「僕ら」は、だからこそ手を繋ぐのだ、と。

僕たちはあくまでひとりぼっち、一緒にいられるのは奇跡のような一瞬、いつか別れが訪れる…それでも繋いだ指先には、「願い」や「光」、言い換えるなら「想い」が残る

「あなたのその願いが
星空に届くまで翔べるように
照らし出す光
君に射す光」
(光)

それが、「ナナシス」と言う作品が表現する「出会いと別れ」の形なのだと思います。

3. 涙を流しても、何度転んでも

「運命だよ ココニイルコトは 流した涙 それが証になった」(僕らは青空になる)
「いま涙がこぼれたら 胸の花にそれを撒くんだ」「涙が目印さ」(スタートライン)
「それぞれ流す涙がいつの日か空に舞い乾きますように」(STAY☆GOLD)
「数えきれない涙を拭った顔」「涙で濡れた 君のそのポケット」(MELODY IN THE POCKET)

また、「涙」も繰り返し使用されてきたモチーフです。ナナシスに限らず歌詞には頻繁に使用される単語ではあるものの、ポイントになる楽曲には必ず使用されており、偶然で片づけるにはあまりにしつこいと言えます。では、「ナナシス」における「涙」とは何を意味しているのでしょうか

「僕らは青空になる」は上記のように「涙」が「証になる」と言っていますし、「何度だって僕らは 傷ついてまた強くなる」とも言っています。

「スタートライン」は「胸の花にそれを撒く」とし、「目印」であるとも言っています。

「FUNBARE☆RUNNER」では「涙」は登場しませんが、「痛みにこそ意味がある」と言うフレーズが登場します。

「STAY☆GOLD」の「空に舞う」ことも後述しますが、ここでは比喩としての「雨」から「雨の日だって水溜りの虹は 綺麗だってやっと気づけたね」「雨上がり 虹のように 君に届けばいい」がわかりやすいでしょうか。

一貫して「涙(雨)」が糧になること、もっと言えばその辛い経験にこそ意味があることを示唆しています。

それは、「スタートライン」で、「ありがとうもごめんねも」「ポケット」に「大切にしまっている」、MELODY IN THE POCKETで「ポケット」が「涙で濡れ」ていることからもわかるでしょう。

4.「黄金のメロディ」

では、その意味とはなんなのか?それは歌詞の中で明確に示されていました。

「少しずつ溜めた祈りが いつか歌になる」
「空に奏でた ポケットの中のメロディ 聞こえるだろ 君にも」
(MELODY IN THE POCKET)

それは、いつか歌になる

「現在も飛べないままだけど まだ行きたい 場所があるから」
「現在も飛べないままなのは そのポケットが いっぱいだから」
(スタートライン)

隠しきれない悔しさも、思い出したいことばかりじゃなくても、ありがとうもごめんねも、さよならも。

ポケットに大切にしまっていたからその重みで飛べなかった君が、それでも歯を食いしばり歩き続けた。

そうして辿り着いた「青空」で、そのポケットの中のメロディが「君の歌になる」。

また、

「いつか誰かの光になるんだ 想いのたけ手渡すように」(FUNBARE☆RUNNER)
「一つ一つの光が いつまでも色褪せない 黄金のメロディ」
(STAY☆GOLD)

その歌がまた「誰かの背中を押」し、その「誰か」が次の「メロディ」を奏でていく…そうして受け継がれていく「想い」こそが、「いつまでも色褪せない黄金のメロディ」なのです。

これはセブンスシスターズから777☆SISTERS、そしてSEASONS OF LOVEへと3世代にわたって描いてきた「ナナシス」が持つ大きなテーマの一つと言えるでしょう。

ここまでの話を一度まとめてみましょう。共通する/類似した意味を持つ単語群も同時にまとめておきます。

・僕たちは「ひとりぼっち」であり、別れは必ず来る
・だからこそ僕らは手を繋ぐ、そこには「想い」が残る
・その「想い」がいつか歌になり、誰かの背中を押す
・その受け継がれる「想い」こそが色褪せることのない「黄金のメロディ」

「光」「願い」「祈り」「涙」「雨」=強い想い、想い出、(辛い)感情
「メロディ」「歌」「風」「虹」=上記の「想い」が昇華されたもの、メッセージ(いずれも青空に響く/吹く/かかると表現される)


5.777☆SISTERSが届けたもの

「誰かの背中を押す」と言うのは「ナナシス」で明示されてきたテーマの一つですが、777☆SISTERSのエールは単純に夢を追う人を応援するというだけのものではありません。

「叶わないだけの夢もあると キミはちょっと悲しく笑うけど」
「高すぎてあきらめた青空に」
「届かない壁にぶち当たると もうダメなんだってキミは言うけど」
(僕らは青空になる)
「ずっと空を見上げてた 届かない雲 ただ指先で数えながら」
(スタートライン)
「小っちゃい頃に大きく手を振って さよならした地図」
(STAY☆GOLD)

777☆SISTERSの歌詞には多くの「諦め」を含みます。そしてそれを乗り越えろ、と常に語り掛けてきます。それを乗り越えて走り出せ、一貫してそう語り続けています。

また、その原動力は常に初期衝動で、それは自分だけの唯一無二ということ。

「あの日見た空に誓った言葉」(僕らは青空になる)
「いま心に咲いたまま 枯れようとしない花があるんだ」「いま心で揺れた花」(スタートライン)
「かすれてしぼんでた想いは 最初からきっとそこにはあって」(STAY☆GOLD)
「どこかの誰かと 比べたりすんなよ 君が君であること 空に歌えばいい」(スタートライン)

ここで面白いのは、777☆SISTERSは絶対に「僕は君を信じている」とは言わないんですね。「君」を信じるのは「君自身」。一貫してこれを貫いている。

これは前述の「僕たちはひとりぼっち」と言うスタンスと地続きでしょう。「僕」は最大限でも「見てきた」だけ。

「誰より傍で君を見てきたんだ」(MELODY IN THE POCKET)

しかし、だからこそ、

「あの日から履いて傷んだシューズは そんなことじゃキミを裏切らないから」(僕らは青空になる)
「夢を追いかけたのは 誰かの足でじゃないから」(STAY☆GOLD)

自分の足で歩いてきた「君」への、自分を自分で信じよう、というメッセージがより際立つのではないでしょうか。

前述の「涙」を乗り越えることに意味があることと相似形で、777☆SISTERSは「苦難を乗り越える」「諦念を乗り越える」こと、そこにこそ意味が、メロディが宿るのだと語っています。あるいは、悔しさや悲しみ、諦めを乗り越えた人にこそ「誰かの背中を押す」ことが出来ると言えるかもしれません。

さらに言えば、777☆SISTERSの歌詞でポイントとなるのは、これほどまでに「青空」をモチーフとしているにも関わらず、徹底して「空を飛ぶ」と言う表現を避けています。そこへの道のりは「自分の足で歩く/走る」ことを一貫しており、むしろ「スタートライン」「またあした」などの歌詞にあるように「空も飛べない」ことを強調しています。これも前段と同様、困難を乗り越えることにこそ意味があると物語っているのでしょう。

時折、

「歩き出した君の一歩は いつの日か春風になる
どんなに遠い空へでも 羽ばたいて明日になる」
(ハルカゼ~You were here~)

のような表現も存在しますが、この場合「羽ばたく」のはあくまで「君」ではなく「君の一歩」の未来としての「春風」、すなわち「メロディ」なのです。

この辺りは解釈が分かれるところになるでしょうが、後述する「モノつくりの意味」から考えるに、「メロディ」こそ最も大切なもの、人の心に届くものだと表現しているのだと思います。

6. AXiS…アンチ・777☆SISTERS

さて、ここまでの話を踏まえてAXiSの歌詞を見てみたいと思います。

「連れてってあげるよ天国へ まだまだ踊り足りないの
全部捨ててこれるなら 踊り尽くそう」(HEAVEN'S RAVE)
「壊したいほどに欲しいものは 壊れない糸でできた羽」
「焼けて焦げたこの羽で 憎しみの蝶になるの」(COCYTUS)

ここまでの内容を踏まえてみると、綺麗な対比となっていることがわかるのではないでしょうか。

「連れてってあげる」よ 天国へ⇔夢を追いかけたのは 「誰かの足ではない」から
「全部捨ててこれるなら」 踊り尽くそう⇔今も飛べないままなのは その「ポケットがいっぱい」だから
焼けて焦げた「この羽」で⇔現在も「飛べない」ままだけど

ここまで書いてきたように、777☆SISTERSは自分の足で歩くこと、困難を乗り越えることを応援し、また想い出こそメロディになる…と歌ってきましたが、AXiSは「全部捨ててこれるなら」「連れていく」、そして「羽」を欲し舞い上がり、燃えて落ちていったのです。

ストーリー上でも手段を選ばず(=自分の脚で歩いて/走らず)上り詰め、すべてを終わらせようとした、セブンス解散後の氷河期を再現しようとした、受け継がれる「黄金のメロディ」を断ち切ろうとした

あくまでライバルだった4UやKARAKURIと異なり、明確に777☆SISTERSの核となる部分を断ち切りに来たAXiS(天神ネロ)は、完璧にデザインされたアンチ・777☆SISTERSと言っていいでしょう。

そして、ここまで対比させてまで強調してきたということが、「自分の脚で歩く」「想いが人を動かす」「その繰り返しが黄金のメロディ」と言うメッセージの重要性を示していると言えるのではないでしょうか。

7.セブンスシスターズが焦がれた「見果てぬ明日」

さて、ここで原点ともいえる「Star☆Glitter」の歌詞を見てみましょう。

「立ち止まる度に見上げる 空に描いたステージ」
「『最初』の想いに約束してるの」
「わたしがわたしでいることが大切なんだ」

空に描いたステージ≒青空は分かりやすいリンクですし、「立ち止まる」こと、『最初』の想い≒初期衝動、わたしがわたしでいること…など、777☆SISTERSにも受け継がれているテーマがしっかりと流れていることが感じられます。

では、セブンスシスターズと777☆SISTERSの相違点とは?

私は、それを「別れ」の存在感だと考えています。

「君の傍に輝く星 足りなかったら 夜空を掬って届けよう
僕らの手に余るくらいの希望胸に抱き寄せて
何度だって どこにだって 君に会いに行くから」

「何度だって どこにだって」と言う歌詞からは別れが必ず来るという意識は見受けられず、純粋な希望に溢れている印象を受けます。また、前述のように「僕たち」は「ひとりぼっち」と歌う777☆SISTERSに対し、

「傍にみんなが 君がいるから 『最初』の想いに素直になれるの」

「みんながいるから」と歌うセブンスシスターズ。

いつか必ず訪れる「別れ」を、糧にして「ひとりぼっち」で進んでいこうとする777☆SISTERSと、「みんな」と一緒に「見果てぬ夢」を歌うセブンスシスターズ。そこには、明確に違いがあるといえるでしょう。

いつか来る別れを知らない、純粋な希望を、夢を、疑うことなく信じた少女たち。

その純粋すぎるほどの願いの歌がこの「Star☆Glitter」なのではないでしょうか。

そしてそれは純粋すぎた故に、「僕らの手に余るくらいの希望」へと膨れ上がり、クリスマスライブのあの日、そしてアイドル氷河期へとつながっていったのです。

伝説のカリスマユニットとしてのセブンスシスターズの曲が「SEVENTH HAVEN」だとするならば、「Star☆Glitter」は大きすぎる夢をひたすらに信じ続けた等身大の少女たちの願いの歌であると、私は考えています。

「何も知らない子供と
夢を捨てた大人の間でまた少しずつ変わってく」
(H-A-J-I-M-A-R-I-U-T-A-!!)

セブンスシスターズは伝説であると同時に「何も知らない子供」だった

少し脱線しますがここでH-A-J-I-M-A-R-I-U-T-A-!!について少し。この曲は777☆SISTERSの中ではやや異質で、

「もしキミのツバサ震えているのなら 今すぐこの手をとって!」
「ひとりじゃない キミもボクも
その一歩踏み出して」

と、ここまで挙げてきた曲たちからは少し毛色が違うことがわかります。

「何も知らない子供」から「少しずつ変わっていく」のであれば、この時の777☆SISTERSは、春日部ハルは、Star☆Glitterのセブンスシスターズ/七咲ニコルと同様に、「何も知らない子供」だったのかもしれません。

別れを知らない「子供」だったセブンスシスターズ、そのセブンスとの別れを経て「大人」へ「変わっていく」777☆SISTERS。ここは両者の大きな違いになるポイントだと思います。

そしてもう一つのセブンスと777☆Sの相違点。歌詞を改めて読んでみると、777☆SISTERSとは異なり、あくまで全て主語は「私」「僕」となっていることがわかります。

「立ち止まる度に見上げる」「『最初』の想いに約束してるの」…いずれも自分を主語とした歌詞であることがわかりますし、

「君が君であること 空に歌えばいい」(スタートライン)
「私が私であること それが大切なんだ」(Star☆Glitter)

などは分かりやすい主人公の違いではないでしょうか。

夢を追う人の背中を押す777☆SISTERSと、セブンス自身の夢を歌い上げたセブンスシスターズ。

このスタンスの違いはやはり上記の「別れ」の濃度と無関係ではなく、777☆SISTERSは自分たちがいなくなった後を現実的に見ているからこそ、「次は君の番だ」と伝えているのではないかと思います。

そしてその違いこそが、アイドル氷河期となった「セブンス後」とアイドル黄金期の訪れた「777☆SISTERS後」の差を生んだ要因の一つと考えています。

「君の傍に輝く星が足りなかった」とき、「夜空」「希望」を届け続けたセブンスシスターズ。彼女たちが居た時には確かに届けられたそれは、「別れ」の後には失われてしまった。

あるいは、そのセブンスシスターズとの「別れ」を知っていたからこそ、777☆SISTERSはそれを乗り越えるメロディを奏でることができたのでしょう

8. 約束の唄、ポケットの中の君へ

ここまでの内容を踏まえて「MELODY IN THE POCKET」の歌詞を読み解いていきます。

まずはMELODY IN THE POCKETと言う楽曲の立ち位置の再確認から。

公式サイトでは「Tokyo 7th Sisters メモリアルライブ『Melody in the Pocket』in 日本武道館へのアンサーソング」と説明されており、ジャケット絵では青空の上に立っている777☆SISTERS、「青空(ここ)まで 歩いてきた」の煽り文。「僕らは青空になる」で交わした約束を遂に叶え、その場所へ到達した777☆SISTERSがその場所から歌う唄、それが「MELODY IN THE POCKET」と言えるでしょう。

さて、結論から言うと、私は「MELODY IN THE POCKET」を単なる「支配人たち」に向けた感謝の曲とは考えていません。しかし他の曲より強く、受け手を強く意識している、そう解釈しています。

ここではその理由を説明していこうと思います。

まず初めに、MELODY IN THE POCKETの歌詞はこれまでの777☆SISTERS楽曲とほぼ同様のテーマが流れているのは明白でしょう。

「標識のない道をやってきたんだ 数えきれない涙を拭った顔」
「隠しきれない悔しさもあるんだ 思い出したいことばかりじゃないだろ」
「それでもここに自分の足できたんだ 誰も知らない君だけの場所」

悲しさや悔しさを乗り越え、自分だけの道を、自分の足で歩いていく。表現や言い回しの多少の違いはあれど、何度も繰り返し伝えてきたメッセージです。

では、MELODY IN THE POCKETは武道館を経て、他の楽曲と何が変わったのか。

まず、この曲においての777☆SISTERSは「青空」に限りなく近い場所から歌っているということが前提になります。それはジャケットやキャッチコピー、楽曲発表のタイミングなどからも明らかです。

「君と焦がれた なにもない青空に 届きそうだよ 今にも」(MELODY IN THE POCKET)

遠い「青空」を目指してきた過去の楽曲との大きな相違点はそこになるでしょう。これまで見上げてきた「青空」、あるいは「憧れられる側」から777☆SISTERSが歌う初めての曲になります。

MELODY IN THE POCKETの歌詞の中で、他777☆SISTERS楽曲との差があるとすれば一つはその時間軸の差と考えます。

「あの場所に立つ君の隣に 古ぼけた僕はいないけど
抱きしめてたい 忘れたくない 僕らがつけたこの歌の名を」
「君の歌になる」

あの場所、とは分かりやすく「君」にとっての「青空」でしょう。君が夢を叶える時には自分は過去になっている。「スタートライン」でも「僕ももう行かなくちゃ」と歌っていますが、あちらも3rdライブと言う祭りの後の曲で、より青空に近づいている。わかりやすく言えば、時系列として「別れ」の時に近づいている楽曲でした(参考記事1)。

 そもそもここまで何度も書いてきたように本質的に「ひとりぼっち」なわけですから、隣に立っていてはいけない、自分自身でその場所に立つんだ…と言う意味もあるでしょう。

 また、777☆SISTERSはSTAY☆GOLDで「夢を追いかけたのは 誰かの足でじゃない」、MELODY IN THE POCKETで「それでもここに自分の足できたんだ」と歌っています。

「走り出した君の背中にエール」(FUNBARE☆RUNNER)

 ほかの誰でもない自分の足で、「ひとり」「青空」を目指して走る人に対しエールを送ってきたのです。

MELODY IN THE POCKETでもそのスタンスは崩していません。しかし前述の通り、受け手を強く意識している曲だと思います。

「がんばれをくれたね いつも聞こえたよって
たしかに届いた声 いつも胸にある」

この曲が「アンサーソング」たる所以このフレーズ。あなたの声はたしかに届いていたと応えています。

しかし、どうも婉曲な表現で、素直に応援を受け取っているわけではないのがポイントでしょう。

777☆SISTERSのメロディが「いつも聞こえ」ていると伝えることが「がんばれをくれ」ることはどういうことか。

単に応援してくれたことへの感謝ではなく、受け取ってくれたことへの感謝。

くどいほど繰り返しているように、想いが受け継がれることこそが「黄金のメロディ」。あくまでも受け取った人が踏み出す一歩にこそ意味がある、と言うメッセージがそこには常ににあるのです。

 と言うわけで、この曲が持つ意味は単に「支配人」として応援してくれたことへのアンサーではなく、バトンを受け取ってくれた「夢に向かう人」への感謝なのです。

前述のように、「想い」が託され、受け継がれていくことが「いつまでも色褪せない黄金のメロディ」であるならば、青空に到達し、君の歌になる「MELODY IN THE POCKET」はまさしく「想い」を託す瞬間の曲と言えるでしょう。


そしてもう一つ。これは筆者の願望も多分に含んでいますが、この曲はStar☆Glitter、あるいはセブンスシスターズと言う存在への、ある種の回答となっていると考えます。

前述のようにStar☆Glitterでは「君の傍に輝く星 足りなかったら 夜空を掬って届けよう」「何度だって どこにだって 君に会いに行くから」、「君の傍に優しい声 足りなかったら 夜空に誓って届けよう」「何度だって どこにだって 君の手を掴むから」と歌っていますが、MELODY IN THE POCKETでは「悲しい色や音たちが」「君が転びそうになったら いつもその手を掴む」と、その役割を担うのは「メロディ」だと歌っています。

4.「黄金のメロディ」でまとめたように、それは「またあした」における「願い」や「光」、つまり別れの後に残るもの

「あの場所に立つ君の隣に 古ぼけた僕はいないけど」、「メロディ」が君に寄り添い、勇気づけるのだと。

逆説的に、セブンスシスターズがいなくなった後も、そのメロディは僕たちを勇気づけてくれたのだと、背中を押してくれていたのだと、そういった777☆SISTERSからセブンスシスターズへの、春日部ハルから七咲ニコルへの、救済ともいえるメッセージがそこには隠されている、自分はそう考えています。

9. 虹の向こうの未来

先日発表された「Across the Rainbow」。最高の曲でしたね。

君の夢が歌になる、夜を超えていく…など基本的なポイントは当然抑えているので省略するとして、個人的に感動したポイントは

僕の腕に抱きしめきれずにいた想いは
いつしか君の空を羽ばたいていたんだね

このパート。

「僕の腕に抱きしめきれずにいた想い」と言うのは「Star☆Glitter」の「僕らの手に余る希望」と≒でしょう。

「何度だって どこにだって 君に会いに行く」。

君が辛いときにいつでも寄り添う、そんな願い。

Episode 0.7では叶えられなかったと思われたその願いは、「メロディ」になって空を羽ばたき、777☆SISTERSを、僕たちを、支えてきた。

前述のようにMELODY IN THE POCKETでも示唆されていたものの、Star☆Glitterから明確な繋がりを出してくれたことに、個人的には大きく心を動かされました。

大団円になるであろうEpisode 6.0、そのテーマとなる楽曲で、セブンスシスターズの「手に余る希望」は、ちゃんと届いていたのだと、そう言い切ってくれたことがとても嬉しかったです。

もし2番Aメロで「星空」と言うフレーズが来たら僕が死にます。

最後にサビについて。

「青空に舞う君の夢が 終わらない僕らの歌になる
今 輝く翼ひらいて どんな夜も乗り越えていく
繰り返す命の答えは 信じ合う僕らの為にある
今 心で虹を描いて また会えるように目印にすればいい
虹の向こうの未来」

詳しいことはフルで歌詞が出てからまた書きたいと思っていますが、大きなポイントとしてここまではずっと「飛べない」僕らが「歩いて」「走って」来たと歌ってきましたが、ここにきて「輝く翼」をひらくという点でしょう。ここまで一貫して空に舞うのは「メロディ」でしたから、この「輝く翼」は777☆SISTERSが「メロディ」になる、すなわち「想い出」になること、別れが近いことを感じさせます。

そして「君の夢」が「終わらない僕らの歌になる」。「僕ら」とは、777☆SISTERSだけを示すものではないでしょう。

それは777☆SISTERSだけではなく、その終わらない歌を紡いでいく人すべて。

ここまで繰り返し書いてきたように、「メロディ」に心を動かされた「君」が一歩を踏み出す、その繰り返しこそ「いつまでも色褪せない黄金のメロディ」なのです。

この歌詞ではまさしく777☆SISTERSの歌を受け取った「君」が、新たな「メロディ」を奏でることで「終わらない歌」=「黄金のメロディ」が紡がれていくことをストレートに歌っているのです。

インタビューなどで監督は繰り返し、一つの作品(=メロディ)がある人の心の奥底にあるものを動かすこと、感動を生むこと、そしてその感動が一歩を踏み出す力になる…それがモノつくりの意味だと語ってきました(参考記事2、COMPLETE MUSIC FILEなど)。

その繰り返しこそ「黄金のメロディ」

「青空に舞う君の夢が 終わらない僕らの歌になる」

この曲を聴いた僕たちが、一歩を踏み出すことで、777☆SISTERSの歌は真の意味で「黄金のメロディ」となる。

では、Tokyo 7th Sistersと言う作品が問い続けて来たこの問いで締めたいと思います。

「キミは何がしたい?」



感想は @Brian_Smith1994 または @john_kss まで。

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