西の表現から考える「パスを出すタイミング」
先日、那須大亮YouTubeチャンネルで現神戸所属のDF西大伍がすごいと思うDFベスト3という企画を見た。
その時に興味を引く表現を使った言葉が出てきたので、それについて少し自分が思ったことを書いていく。
※一部ネタバレでもあるので注意
その動画の中のランキングではレアル・マドリー所属のDFマルセロの名前が挙がった(西は鹿島時代にクラブW杯でレアル・マドリーと対戦経験あり)。そしてそのマルセロと対戦したときの感想をこう話している。
「パスを出すタイミングの数が多い」
これをほかでは耳にしない独特な表現だと感じた。
「あの選手はパスがうまい」
「あの選手はいつでもパスを出せる」
以上のような発言は比較的よく聞くが、「パスを出すタイミングの数が多い」は聞いたことがなく、どこか新鮮だった。
ここからは完全に個人的な深読み遊び。
この表現の中で“数が多い”という部分に注目する。
まず、「パスを出すタイミング」は時間軸で捉えると無限に存在する。どういうことかと言うと、フリーでボールを持っている状況であれば1秒後でも2秒後でも自分が出そうと思ったタイミングで出せるということ(パスの受け手が見つからないなどのケースはここでは除外する)。3秒の時はできるけど4秒のときだとできない、とはならないはずだ。
しかし、“数が多い”と表現するということは、少なくとも西自身の中で「パスを出すタイミング」は数えられるくらいの枠の中で考えているのではないかと思った。となるとそれを時間軸で捉えていない。おそらくだが、体勢やボールの置き所による“型”のような定義を持っているのではないかと私は考えた。この体勢でボールがここにあればパスが出てくる可能性がある、という“型”をいくつかのパターンに分類していると仮定すると自分の中でなんとなく(勝手に)しっくりきた。
動画の中では逆足が使えるかどうかという部分にも触れていた。逆足も不自由なく使えれば「パスを出すタイミング」の数も倍近くに増えるだろう。
最終的に何が言いたいかと言うと、もしこの“型”を正確に分類することができれば守備時の準備や、自分ができていないパターンの「パスを出すタイミング」を取得しやくすくなるのではないかということ。もちろん選手個人によって得意不得意はあるにせよ、こういう“型”があるという概念があれば攻守にプレーの引き出しが増えるような気がした。
特に海外の技術レベルが高い選手は、普通では考えにくい意外性のあるタイミングでパスを出すことがあるなと感じることがある。ただ、このことについて「すごいタイミングでパス出すなあ」と抽象的な表現で捉えることがほとんどだった。「パスが出てくるタイミング」の“型”について具体化が進めば、この「すごいタイミング」もよりわかってくるんじゃないかと。
すでにどこかでそれの言語化が進んでいるかもしれないし、そんなのは一概に分類できないかもしれない。でも現役の選手がもしそういう考え方をしているのだとしたらとても面白いねというお話。
↓DFの西大伍が認める凄いDFベスト3↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?