サスティナブルなブランド作りとは?オールバーズジャパンCMO箕輪さんから学んだこと、イベントレポ
先日SHEのイベントでAllbirds(オールバーズ)のCMO(マーケティングディレクター)の箕輪さんをゲストに迎えたイベントが開催された。
語彙力が崩壊しているが、べらぼうに感銘を受けて話を聞いているのが楽しくて仕方がない時間だった。つまりすごく刺激されたし、オールバーズというブランドのファンになったしシューズを買いに走り出したかった。
サステナブルのブランドの作り方
テーマは「サステナブルなブランドの作り方」。私はイギリスに住んでからスーパーではエコバッグが当たり前、多くの人がマイボトルやマイストローを持っていたり、量り売りやオーガニックを扱ったお店が身近ある環境に、いい意味で驚いた。
それから少しずつ、自分にできることを意識して暮らしている。
もう一つのきっかけは日々出るゴミの量にうんざりしたからというのもある。
週に何回も一杯になったゴミ袋を結んでゴミ捨て場まで持って行く作業が私にはとても苦痛だった。
欧米は一つ一つの商品が大きいから、日本にいた時よりもすぐにゴミ箱が一杯になる気がする。(私だけだろうか?)ゴミを減らしたいというストレスから、エコやエシカルな生活に興味を持った。
オールバーズとは
さて本題のオールバーズについて。オールバーズとは自然素材を使ってできたサステナブルなシューズブランドだ。
ニュージランド元サッカー代表のティムブラウンと、敏腕ビジネスマンだったジョーイさんの二人が創業者。ちなみにこの二人を引き合わせたきっかけは奥さん同士がが大学時代のルームメイトだったことかららしい。
ビジョンは「ビジネスの力で気候変動を逆転させる」。
創業者のジョーイさんは”孫に誇れ、次世代に残せる世の中にしたい、親父たちの世代で地球がダメになったと言われたくない”という想いを持っていた。
箕輪さんはその言葉を聞いて強く共感し、オールバーズにジョインしたのだそうだ。
価値観は3つ。
哲学の中心部分に”サステナブル”を置いており、その周りにデザインとコンフォート(快適性)がある。まずサステナブルであるかということを念頭においてから商品やアイデアを考えるということだ。
何かをイノベーションするとき、やはり核という部分を持っておけばブレずに表現できる。
最近オールバーズでサステナブルレポート(PDFがダウンロードされます)が発行されたらしい。このレポートの制作には力を入れたようで手に取った人から好評だそうだ。各所の投資家やお偉いさんからも評価が高い(絶対読もうと思う)。
そんな世界のオールバーズだが、日本支店の従業員数は現在高校の1クラスほどで半分が女性。マーケティング部署に至っては70%が女性で特にSNSに力を入れている。インスタグラムでは ♯おそろバーズというタグが話題で、親子コーデなどが可愛い。
日本には原宿と丸の内に実店舗が2つある。箕輪さんが言うに、やはりファンをつくるには現場のスタッフが一番大事という。スタッフがお客さんと話して、「楽しい」「知識があって身になる」とお客さんが感じればそれを人に話したくなってどんどん伝播していく。
商品やブランドに愛を持っているかどうかが熱狂を生み出すには大事なのだ。
CMO箕輪さんのお話
・イノベーションはどう生まれるか
ー常識を疑うことでイノベーションは生まれる。洗えるスニーカーだったり、靴箱に直接ひもをつけて持ち帰れる仕様にしたり、伝票、レシートをなくすなど、今まで”普通”と思っていたことを覆すことがイノベーションにつながる。
・どうやって顧客のニーズをキャッチアップしているのか?
ー自分ごととして捉えることが大事。自分がターゲットコンシューマーとして外れたらその企業はやめるべき、転職しどきと思って仕事している。
英語も勉強していて、BBCのニュースやPodcastを聞いている。またJ -WAVEの別所さんのラジオ番組企画もしており、気になる人をゲストにして知識の肥やしている。
特に若い世代とも積極的にコミュニケーションし、情報はキャッチアップするよう意識している。
・日本独自視点で大切にしているマーケティング法はあるか
ー例えば洗濯できるシューズなど、日本でつくるものも世界で通用するようにしている。
世界に知ってもらうために、広告はノンバーバルでビジュアル、体感的に伝えられるように分かりやすくしている。
・ブランドを確立する上でやること、やらないことは決めているか
ー私自身でいうとコピーライターさんを大切にしている。ナイキ時代で学んだが画像や動画を綺麗に作れる人はたくさんいるけどコピーは別だと感じている。
ブリーフ(打ち合わせ)から参加、製品を作る場面に同行してもらい、過程とストーリーを感じてもらってから言葉を紡ぎ出してもらう。
あとはざっくばらんに正直に話すことを意識して行動している。
・ブランドの優しい雰囲気はどこから?
ーシンプルにナチュラルという価値観からもあるが、女性社員に優しい会社ということもあるのかも。
ある採用面接で「実はお腹に赤ちゃんがいて…」と言ってくれた女性がいて、普通だったら採らないかもしれないけどうちではそんなことは関係なく、優秀だったら採ろうという考え。
実際その方は採用されすぐ産休に入ったけれども数カ月後に戻ってきてくれた。
「そういう風に言ってくれたのはオールバーズさんだけ。家族にも言ったらすごくいい会社ねと社会復帰を応援してくれた」と言ってくれた。
・SDGsのニーズは高まっていくと思うか
ー確実に高まっていくと思う。日本は四季もあって自然と共に生きる恵まれた国。自然と地球を守ろうとする意識やムーブメントは生じるはず。だからこそストーリーを大切にしている。
・話したくなる、伝播を散りばめていくのが上手だと感じるが何か秘密はあるのか
ー実は細かな仕掛けは考えている。まじめな部分だけではなく、かわいいや面白い、チャーミングさとユーモアをときに織り交ぜていてる。
店舗にあるイスは、ゆりかごのように揺れるチェアになっているのだが、それは海外の人たちがお腹が大きい場合が多く(肥満)かがむのが大変だったりするから。
日本の方はそんなことはほとんどないので揺れるチェアの理由を話すと大抵面白がってくれる。そういうのがあると友人にも「こないだね…」って楽しく話せますよね。
真面目なところと少しふざけたテイストのバランス、それが周りに話したくなるきっかけになっているのかも。
・サステナ系は良いとわかっていつつ、高いので続けるのが大変なイメージがあるのですが…
ーいづれは政府も目を瞑ってられないものになっていくはず。だからなにかしらサステナブル関連の対策を取っていくと思っていて。
常識や生活様式は日々変化していくから、数年後はサステナブルなんて言葉も使ってないと思う。きっと”アタリマエ”になっているから。
だから固く考えなくていい。自分に今できること、自分のバランスを大切に。できることから始められれば良いと思う。
環境問題に詳しい国立環境研究所の江守さんも言っていたが、結局は「会話」が大事。サステナブル系の商品を扱うお店に行って購入するにしても、どれだけ自分が地球に貢献できているのかわからない、見えづらいのは確か。
だから、自分が信用しているメディアや人から聞いたり学んだことを取り入れるのが良いと思う。何事も自分ごとにすることが一番手っ取り早いから。
サステナブルシューズブランドのこれからにもっと注目
ストーリーを大事にすること、人に話したくなる仕掛けがあること、なにを取り組むにもサステナブルを核にしていること。
こんな風にして着実に話題性を高め、社会や環境向上に貢献するAllbirds。
とても魅力的で、先進的で、これからを見据え戦略だてているブランドづくりは、勉強になる部分が多くあった。
箕輪さんという人物にもとても魅力を感じ、これからのオールバーズのマーケティング動向も気になってしまう。
ファンを獲得するうまい仕掛けにまんまとはまってしまったのかもしれないけど知れば知るほど素敵なブランドだから、早くその快適な靴を履いてみたいという気持ちになっている。
ブランドってそういう小さなきっかけやストーリーで好きになってしまうよね。
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