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「先読み」による不安があっても、今を生きていくことを大事にする

僕はとんでもない心配症だ。

ゾウという設定(言っちゃった!)は僕の願いみたいなもの。ゾウのようにのんびりと構えて今この時だけを考えて生きている姿がまぶしくて、その対極にある僕はゾウを名乗っている。


例えば、いま僕は数日後の竣工案件の完了検査(建物が完成したら指定審査機関に必ず検査を受けることとなっている)に受かるかどうかハラハラしている。

僕の手掛ける建築は、クライアントがデベロッパーなことが多い。彼らは不動産で稼ぐプロなので、そんなデべ案件は完了検査前にお客さんを付けている、必ず。今僕が手掛けた建築の一棟売りの契約を済ませているだの、すでに入居者が決まっているだの。検査が通らないと、クライアント側の契約が遅れて、スズメの涙みたいな設計料からは目もくらむようなほどの莫大な違約金が生じて、運が悪ければ違約金が設計者に降りかかってくるから、ハラハラする。だから、100%何事もなく検査を通さねばならない。

そんな僕にとっては大きな不安から、単に実施設計終わるかしら?とか、今期の売り上げは目途がたったかしら?とか、勉強がきらいな娘の将来がばくぜんと心配だ!とか、多くの小さな心配があって、細かく言えばきりがない。


下手に「先読み」してしまう思考のクセというものが僕の中にはあって、それがよく僕の思考に対して悪さをしている。

仕事柄、クライアントに提案することが多いから、想定される質問や、案がダメだった時の対案をあらかじめ用意しておくことにしている。特にデべ案件には。若いころ、打ち合わせにクライアント側が20人もいたことがあるし(医師会館の設計で、担当理事の医師や、現場の看護師などが大勢いた)、建築士の資格をもった口達者な(徹底して技術のことを論理的に述べないと案が通らないし、何案も無駄につくることになる恐ろしい方)コンサルタントもいたので、先読みは円滑に打合せがうまくいくためにとても役立つ。

そんな仕事上で先読みの思考をしていたことに加え、僕自身小さいころから目先や近い将来のリスクを先読みするところがあった。友達つくれるかな?とか、あの自動車は曲がってきそうだ、とかたわいのないことだったけれども。最近は、人の考えていることを少し読めるし、先読みの経験も積みあがって、その精度が上がる一方で、取り越し苦労も増えた。


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そう、今考えてもどうにもならないことを先読みして不安がっても、ひとつも問題は解決しないし、そもそも問題がなく終わることも多々あるのだ。楽観的で、あこがれのゾウのような精神の持ち主の妻にもよく言われる。

そんなことを建築の世界に飛び込んで10年以上経験してきたので、最近ようやく精神に有害な先読みが判別できるようになってきた。30年以上生きて、最近やっとであるよ。けれど、やはり起きてもいない問題を不安に感じる、将来のことを不安に思う思考になっているときがある。

そんな自分を変えたいなと悩んだ時期もあったが、こんな30年以上付き合った思考パターンは変わらないし、変える必要もないなとようやく思えるようになった。


先読みによる不安を頭の隅に残しつつ、今を全力に取り組むような、デュアルな思考が身についてきた。そうすると、今までにないアイデアとか、楽しいとかのポジティブな感情がわいてきて、とても良い状態だなと思える。

でも、ストレスが続くと、2つの思考のバランスが崩れて、先読み不安が牙をむく。先読み不安によるストレスもあるから、放置すると被害は甚大になる。安定したデュアル思考を続けていくには、自分にとって良い体験の繰り返し=健康のルーティンが必要だ。休日平日問わずに同じ時間に寝て同じ時間に起きて、好きなチルウェイブサウンドを聴きながら月に10冊本を読み、週末は娘と遊んで料理をつくること、その繰り返しが自分にとってデュアル思考がうまくいく秘訣になっている。


正直、老後の生活の不安はないけれど、昇進できるかなとか、論文書きあげられるかなとか、志望の高校・大学に行けるかなとか、進学して友達がつくれるかなとか、未来に対するありとあらゆる不安はすでにくぐってきた。

当時の僕には大きな問題だったけれども、後から考えて結果を俯瞰すると、どれも大したことなかったな、と思う。うまくいかなくても、うまくいかないなりにその時にちゃんと考え、対処に取り組んできたから、大したことにならなかった。むしろ、例えば志望大学に行けずに第4志望とかになっても、発想を転換してこっちの大学の方が絶対楽しい(個人見解)と思っていたはずだ。僕は、すでに起こったことに対しては楽観的なのだ。

だから、不安をやめることはできないけど、そんなことを考えるのは一旦やめて、今を一番大事にがむしゃらに行動していきたい。がむしゃらとは、なにも考えずに目の前のことに取り組むこと。親世代の古い考えだな、と思っていたけど、考えなくても良いのだから楽だ、という考え方は重要なことではないかな。

すでにありふれたような考えなのかも知れないけど、身をもって知ることができて、ラッキーだなと思う。


ぱなおとぱなこ




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