見出し画像

緊急事態宣言にまつわる大いなる無駄

2021年1月3日、我が日本では新型コロナウイルス感染爆発の危機に瀕しているとの観点から緊急事態宣言発出の議論がなされている
1月2日、東京小池知事、神奈川黒岩知事らと西村経済再生担当大臣が会談、知事側が国に緊急事態宣言の発出を求め、大臣は持ち帰り検討するとした
これに関し、緊急事態宣言発出に関する賛否、行動に出た小池知事らへの賞賛や、当面会に立ち会わなかった菅首相への批判など様々な意見が出ている
国は緊急宣言発出の有無について関係者と慎重に協議し、必要と判断した場合は周知期間を設けてから発出をするものと思われる

「これらの議論、報道、交渉、その全てが無駄である」
ということを書きたい
こう書くと緊急事態宣言に反対のように見えるが、全くそうでは無い

まず緊急事態宣言とは何なのか、wikipediaで確認してみる


自然災害、感染症(伝染病・疫病)のパンデミック、原子力事故などの災害や、戦争、テロ、内乱、騒乱など、健康・生命・財産・環境などに危険が差し迫っている有事(緊急事態)に際し、
国家・地域の政府(地方公共団体を含む)などが、法令などに基づいて特殊な権限を発動するために、或いは、広く一般・公衆に注意を促すために、そのような事態を布告・宣言すること

とある
英語で書くとstate of emergencyだ

2020年、日本は同ウイルス蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある、として4月7日に同宣言を発出、5月25日に全国で解除されている
当時、日本においては法整備がなされておらず同宣言に法的な強制力が殆ど無いことが報道されていたが
日本人の国民性も幸いし? 多くの商業施設が営業を中止、企業も急速にテレワークを推進し出社率を制限、人の行き来はピタリと止まり日本は感染爆発を免れた
(一方で一部パチンコ店、夜の街界隈で自粛要請に反し営業継続した店舗がバッシングを受けるシーンもあった)
とにかく、法的な強制力を伴わないにも関わらず同宣言は抜群に効いた

私の勤める企業も一般職は全員在宅勤務、総合職の必要最低限の人員で業務に当たる指示が下った
残念ながら私の部署は社の中でも事務量が非常に多く完全テレワーク化が困難で、総合職が2日に1回出社してなんとか業務を回した だから私は緊急事態宣言下の東京に週3日通勤していた
ガラガラの都心へ向かう通勤電車、平日なのに人がほとんどいないビジネス街の光景は異様で、退廃的な世界観に私はかなり興奮した(ちゃんと写真を撮っておけば良かった!)
本当に、街にほとんど誰もいなかったのだ

その後も一部自治体独自の緊急事態宣言というものは何度か出され話題になった
そして今、懸念されていた冬の第n派が到来した
しかし最初の宣言から9ヶ月経った今も宣言発出の基準は決まってない
ここに諸悪の根源があると思う

基準が無いから私は緊急事態宣言に賛成だ反対だとか、小池さんを支持するとか菅さんを支持するとかいう無駄な議論が出る
小池さんだろうが菅さんだろうが別の人だろうが、同じ基準で発出されないとおかしい

そもそも、コロナウイルスの蔓延レベルをフェーズ分けする議論は既になされた
例えば大阪はこんな感じだ


県ごとに様々なガイドラインがあり混乱するが、厚労省もこのフェーズ分けをやったはずだ(何かうまく探せないのだが)、確かフェーズ4に分類されるはずの今、本来であれば緊急事態宣言は既に発出されていないとおかしい
きちんとした基準があれば、その基準を上回らないよう政府は対応に邁進することになる、国民も状況を共有できる
各都道府県で営業自粛を強めたり弱めたりする指標にもなる

基準を明確にし過ぎると、柔軟な運営ができなくなる という意見はもちろんあると思う
例えば
1週間の新規感染者がその前の週に比べてn倍になる
一週間の死亡者数がn人を超える
病床使用率が3つ以上の都道府県でn%を超えたら など基準は沢山考えられる
これらの基準は実情に合わなければ変更されてもいいし、複合的でもいい
基準を超えたら政府、分科会、知事会で必ず協議し決定する、でも良い とにかくルールがほしい
現時点でも菅さんが宣言に反対だとかどうだとか、色んなニュースが入ってくる 煩わしい…
これから日本は宣言をするかしないかで多くの時間を浪費することになり、労力がそこに割かれる その間勿論感染は増える
宣言が出たら、何か大きな仕事が行われたような雰囲気になるはずだ 全然間違っている

このジレンマはGoToでも同じだった
継続か中止か、中止したらいつ復活するのか、基準がない
だからその議論に多くのリソースが注ぎ込まれた

法的強制力の議論も終わってないが、緊急事態宣言は恐らく今回も強い効力を発揮する その基準を作って正しく運用しようよ、無駄な議論はその運用ルールに向けようよ と思う