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一生寝ていたい話

気が付いたら2週間経っていた。なによりもその期間労働や就活を碌にした記憶が無いというのが一番恐ろしい。
ここ数日朝寝て昼過ぎに起きるという生活をしている、特に何か目的があってしたわけではないし、いつの間にかズレていた。
毎日寝る前に思う、もう目覚めなければいいのにと。昔から寝ることが好きだった、起きてる間は辛いこと、楽しいこと、色々な出来事に遭遇するがそうした生活の中でどうしても生きる意味を見出せなかった、起きている、すなわち意識があることがただ苦痛に思えた。
仕事でも趣味でも何かに熱中することは素晴らしいことだと思う、だが同時にそうして何かに夢中になることで生きることの虚無感から目を背けているだけじゃないかと吐き捨てる自分が確かに存在する、昔から僕は悲観的だった。
夢は不快だ。どうして無意識という楽園すら僕から奪おうとするのか、夢の中でスーパーマンになろうがゾンビに追われようが女にモテようが、だから何なのだ、起きれば殆ど忘れている。
そういえばフィリップ・K・ディックの短編集をドラマ化した中に、機械を通して夢と現実を行き来するうちにやがて夢の中を現実だと思い込んで最後には夢の中から戻って来なくなったエピソードがあったことを思い出した。どうせなら僕もそうして欲しい、無意識を与えてくれないなら永遠の夢に浸らせてほしい。
「ハーモニー」のように全人類に無意識を与えよなんて言わない、ただ僕の意識を消して欲しい、ただそれだけの、願い。

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