東京都立大学(首都大学東京) 理学部 生命科学科 ゼミナール入試について

この受験方式は情報が少なく、利用を検討していたり、実際に受けたことのある人にとっては腹の探り合いのような受験だと感じただろう。
今年度の合格発表も終わったことから、以前に経験した学生としてここに書き逃げする。

結論から言うと、全く勧められない入試である。

この受験方式は、一見とても楽で、容量のいい人間にとってはとても良い物のように感じるかもしれない。
週に一度大学に行き、ゼミを受けて、レポートとまではいかないような、感想文のようなものをちょろっと書いて、後期まで残れれば研究発表をして、面接をして終わりだ。

だが、そもそもこの入試では学力的な優秀さは求められておらず、少々専門的なゼミナールを受けた際に、首都大の求める研究者的素質を感じられる見解を持てるかどうかが肝にある。しかもこの見解に正解はないし、決まった理想もない。完璧な教科書のようなレポートは求められていない。

この入試において全ての対策は無意味である。
僕が思うに、このゼミナールに合格するための素質というものは一朝一夕で身につけられるようなものではなく、18年の人生であなた自身に染み付いたものによるもので、特に後期ゼミ、面接においては事前練習をせずとも自然に興味の対象について語れるような、そんな素質が求められている。ように感じる。内容が理解できなくても純粋にゼミナールを楽しめること、生物学全般への強い関心を持てていることが重要だ。
そんなことは、いちいちこれを読まなくても、ゼミナール入試の紹介ページ、教授のページを見ればわかることだと思うし、ゼミナール受講1日目で実感できることだ。特にゼミナール入試で取りたい人間像についてのスライド資料(PDF)が公式ページにあったような気がするが、あれを3回読めばどのような人が最後まで残れるか、想像するのは容易いであろう。

「幼稚園児のような純粋さ」でゼミナールそのものを❝楽しむ❞ことができるかどうか。身近な生物や自然現象について、積極的に疑問を持つことができるか。人工知能に存在しない才能をあなたは持っているさのか。乱数的なエネルギーの突出があなたに感じられるのか。
受験という意識を強く持って臨もうとする時点でこの入試方式はあなたに向いていない。前期ゼミナールを受けてみて、楽しめないようであれば受験としての受講はやめるべきであろう。
ただ、もしあなたが首都大の教授はどんな人なんだろう、ちょっと発展的な生物についての講義を受けてみたいな、というテンションで終始過ごせるような人なら、もしかしたら上手く行くかもしれない。

断言できるのは、半年かかる入試に本気で対策しながら立ち向かうのはコスパが悪いので、対策が必要だと感じるなら、はじめから普通に学力をつけて、一般入試で入学するべきである、ということだ。

僕が受けた年から少々変わっているかもしれないが、教授の入れ替えはないので基本的には同じだろう。これは個人の意見であることに留意しつつ、最後に落ちるショックをなくすためにも、是非参考にしていただきたい。

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