2021/05/12 BR_音楽をきく会

こんにちは。BR研F年(4年目)の中川です。
先日5/12(水)の夜に、「音楽をきく会」を開催しました。今回は「ブライアン・イーノが制作に携わった楽曲」というテーマでプレイリストを組みました。
以下、流した曲の紹介をしていきます。YouTubeのリンクもありますので、もしよろしければ音声を流しながらお楽しみください。記事の最後には、今回の曲目を集めたspotifyのプレイリストも用意しています。それでは、拙い説明になるかと思いますが、最後までどうぞよろしくお願いします。

00. Ho Renomo – Cluster & Eno (1977)
ブライアン・イーノがクラウトロック(70年前後のドイツの実験的なロックバンド群をしばしばそう呼称します)のグループ、クラスターとタッグを組んで制作した作品です。イーノらしい「アンビエント」的な趣を感じられる曲です。

イーノはロンドン生まれのミュージシャンです。ロキシー・ミュージックのメンバーとしてキャリアをスタートさせ、その後ソロ名義での活動のほか、多くのバンドの作品をプロデュースしました。例えば、キング・クリムゾンのフリップ・イーノやコールドプレイなどと共に作品を制作しています(どちらも今回のリストには含まれていませんが)。今回は、そんな彼が手掛けた楽曲を50分近くにわたって紹介します。

01. Do The Strand – Roxy Music (1973)
上に書いたように、イーノのキャリアは、ロキシー・ミュージックのメンバーとしての活動から始まりました。ロキシー・ミュージックは、ブライアン・フェリー(イーノとファーストネームが同じですが、特に血縁関係などはないはずです)を中心にして結成されました。1972年には1stアルバム『Roxy Music』を、その翌年には2ndアルバム『For Your Pleasure』をリリースします。この2ndアルバムをもって、イーノはバンドを脱退することになりました。
「Do The Strand」は、『For Your Pleasure』の一曲目の曲です。それ以前のロックからの枠組みを破壊しようという前衛的な試みを、特にアレンジの部分から感じます。

02. Speed of Life – David Bowie (1977)
「ベルリン三部作」の一つ『Low』より。
デヴィッド・ボウイは76年から79年にかけてブライアン・イーノと共に『Low』『Heroes』『Lodger』という三つの作品を制作しました。レコーディングの主な舞台がベルリンであったために、この三作はあわせて「ベルリン三部作」と呼ばれています。「Speed Of Life」はインストゥルメンタルの楽曲です。こののんびりとした雰囲気が僕は好きですね。

03. Once in a Lifetime – Talking Heads (1980)
トーキング・ヘッズは、ニューヨーク出身のポストパンクバンドです。「Once in a Lifetime」は、彼らの4枚目のアルバム『Remain in Light』に収録されている楽曲です。この作品にも、イーノはプロデューサーとして参加しています。
このバンドの特徴は、パンクロックの枠組みの中にアフリカのビートを導入したことにあります。この楽曲は、彼ららしい気持ちの良いリズムと、それから劇的なコード進行が耳に残りますね。

04. Uncontrollable Urge - DEVO (1978)
DEVOの1stアルバム『Q: Are We Not Men ? A: We Are Devo !』より。この作品もイーノがプロデュースを担当しています。
音作りはパンクロックのそれでありながらも、一方でその枠に囚われない「気持ち悪さ」と「キャッチーさ」を感じます。「ヤーヤーヤーヤーヤヤヤヤヤヤヤヤー!」という特徴的なフレーズはとても印象的です。

05. 3E - Mars (1978)
1978年に『No New York』というコンピレーションアルバムがリリースされました。プロデューサーはブライアン・イーノで、ザ・コントーションズ、ティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークス、マーズ、DNAの4組のバンドが参加しました。このコンピ盤は後に大きな影響を与え、ニューヨークでは前衛的なバンドが登場することとなりました。そのムーブメントは「ノー・ウェイヴ」と呼ばれています。
「3E」はマーズというバンドの曲なのですが、後のUSパンク(例えばワイパーズなど)にも繋がる不穏な疾走感を感じます。

06. Pini, Pini – Arto (1979)
ノー・ウェイブ系の曲をもう一曲。DNAというバンドでも活躍したアート・リンゼイによる楽曲です。とても変わった音楽だという印象を受けます。良く言えば、挑戦的、前衛的。悪く言えば、人を敢えておちょくる嫌らしい感じです。いつも聞きたいわけではないがたまに聞くと楽しい音楽、だなと思います。あと個人的には、ペイブメントやヴェルヴェッツとの縦のつながりを強く感じますね。

07. I Still Haven’t Found What I’m Looking For – U2 (1987)
U2は、アイルランド出身のバンドで世界的な人気を獲得している存在です。この曲が収録されている『The Joshua Tree』も、全世界で何千枚と売り上げた作品です。このアルバムで、イーノはプロデューサーを務めています。
ボノの情熱的な歌唱と、エッジのギターの音色がとても良いですね。

08. Spinning Away – Brian Eno & John Cale (1990)
90年に元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルとイーノがタッグを組んで、アルバム『Wrong Way Up』を共作しました。「Spinning Away」はシングルとしてもリリースされてヒットを飛ばしたようです。ポップネスと奥行きのある世界観が融合した名曲だと思います。ギターの感じは先ほどのU2の曲に似ていますね。

09. Return - Eno & Hyde (2014)
テクノ系グループのアンダーワールドのメンバー、カール・ハイドとの共作です。この二人は、二枚の作品『Someday World』と『High Life』を制作しワープ・レコーズからリリースしています。「Return」は『High Life』の一曲目にあたります。
先程からの説明と同じことを言っていますが、やはりギターの音がめちゃくちゃよいですね。ミニマルな構成も聞いていて気持ちがよいです。

10. 2/2 – Brian Eno (1978)
1978年リリースの『Ambient 1/Music For Airports』より。今では「アンビエント」という言葉は、いち音楽ジャンルでもあり、またいち音楽手法としても用いられる言葉ですが、その言葉の源流はこの作品のタイトルにあります。
「空港の音楽」と名付けられたこの作品は、リスナーがBGMとして聞き流すことを想定して作られた作品です。静かに反復されるピアノは、自室で作業や考え事をしながら聞き流すのにちょうどよいです。
「アンビエント」や「環境音楽」について知ったのは僕自身つい最近のことだったのですが、これは概念としてとても興味深いなあと思っています。集中して鑑賞する必要のない音楽。それを「きく」体験をするうち、「聞く」ことと「聴く」ことの違いとは何なのか、改めて考えるようになりました。
あるいは、「音環境」というものをより意識的に捉えるようになりました。街の至るところにある「音」の環境を意識的に認知してみると、様々なことに気づきます。それは興味深い分析対象でもあり、同時に自分の心身にリラクゼーション効果を与える癒しでもあります。

このように僕の関心を広げるきっかけになった作品こそが、『Ambient 1/Music For Airports』です。是非、おすすめです。


今回の企画では以上の11曲を流しました。それらを集めたspotifyのプレイリストのリンクを以下に貼っておきます。
また、近日中に部員が同様の企画を行う予定ですので、是非お気軽にご参加ください。


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