脱・PDCAのとき(地銀向けニュースレターVol.34)
個人的な2020年のふりかえり
弊社BRAVEYELLは4期目に突入しました。昨期(2020年)をふりかえってみると、「新型コロナの影響が大きかった」としか言いようがありません。
これまで、全国の地域⾦融機関に出張して、対面でのコンサルティング・研修・講演をしてきたわけですから「移動」と「対面」という2つの活動軸が奪われれば、影響があるのは当然です。
一回目の緊急事態宣言が発令されてから、仕事で人と会わない日が連続60日間も続き、春以降の対面での研修と講演は多くがキャンセル(=該当分の売上はゼロ)となりました。
しかし、「影響」はネガティブなものだけではありませんでした。変わらざるを得ない環境におかれ、「時間」にも余裕がうまれたので、新たな試⾏錯誤とチャレンジがいくつもできました(うまくいかなかったものも多くありましたが)。そして、大きな意思決定にも踏み切れました。これは、ポジティブな影響と断言できます。
結果として、「持続化給付⾦」の⽀給を受けることもなく、幸いにも3期目を増収・増益で締めくくることができました。また、独⽴創業時に誓った「納税の義務を果たし続ける」ことも叶いました。
こんな環境にあってもご一緒くださったクライアントの皆さんや、意⾒交換等で声をかけてくださった方々のおかげです。この場を借りて、御礼申し上げます。
1年前に作った計画(PLAN)は役⽴たず
2021年=4期目の期初にあたって、1年前に作った年間計画(PLAN)を⾒返しました。新型コロナの騒ぎが起こる前に考えたものなので、お花畑のように楽観的で、今から⾒ると意味のない計画ばかりが並んでいます。しかし、計画通りではなかったので「ダメだった」とはまったく思いません。誤解なきよう補足すると、増収・増益で納税もできたから「良かった」とする短絡的な考えでもありません。
年間計画を作るのやめました
昨年の経験から学び、今年から年間計画を作ることはやめました。その代わり、方向性や大事にしたいことを「4つのコウ」としてキーワード化したので、ここに宣言(?)しておきます。
・「公」︓公益につながる活動に⼒を注ぐ
・「後」︓恩送りで後輩世代をサポートする
・「⾏」︓とにもかくにも⾏動する
・「幸」︓すべては幸福度を⾼めるために
この「4つのコウ」は、こだわり抜きます。
「OODA」
「計画」についての話に戻ります。先に「計画(PLAN)」と書いたのは「PDCA」を意識してのことです。昨年の私は、PDCAという⾒方では0点です。年初の計画(PLAN)を無視し、世の中やお客さんに起きていることを観察して、臨機応変な意思決定と⾏動を繰り返しました。
このような動き方を、「OODA」(ウーダ、もしくは、オー・オー・ディー・エー)と呼ぶそうです。「OODA」は、以下の概念となります。
・「O」:Observe=観察
・「O」:Orient=方向付け
・「D」:Decide=決心
・「A」:Act=実⾏
PDCAと決定的に異なるのは、過去に作ったPlan(計画)が起点となるのではなく、いま周囲で起きていることを徹底的にObserve(観察)し臨機応変な対応をとる点でしょう。
4〜5年前に『米軍式人を動かすマネジメント』(著者︓⽥中靖浩)という書籍を読んでOODAの概念を知りましたが、昨年の私は、まさにこれでした。
脱・PDCAのとき
何年にもわたって、ビジネスの世界ではPDCAが崇められてきましたが、昨年のようなことがあると「PDCAは賞味期限切れ」だなと思います。
PDCAでは、計画(Plan)策定時に将来を正しく⾒通せる必要があり、「計画(Plan)は正しい」ことが前提です。しかし、いまは3年後はおろか、1年後ですら⾒通せません。誤った将来⾒通しのもとで作った計画(PLAN)を、愚直に実⾏(DO)することは、危険極まりない⾏動です。
「そんな愚かなことをするはずがない」という反論もありそうですが、本当に大丈夫でしょうか?大企業の場合、中期経営計画がスタートすると、各施策の実⾏は企画部門の手を離れ所管部署の担当者に細切れで委ねられていきます。当然、人事考課で使う目標設定シートにも組み込まれるでしょう。誤った将来⾒通しのもとで降りてきた計画であっても、縦割り的組織の弊害により、そうと気付くことはなく、また、地域⾦融機関の場合は真面目な人が多いため、自らに課された仕事を一所懸命にやり遂げようとしてしまいます。計画が正しくない場合、むしろサボってくれていた方が組織にとってプラスでした。
さらに地域⾦融機関におけるPDCAについて言及すると、相対的に計画(PLAN)に時間と労⼒をかけすぎに思えます。P︓D︓C︓A=7:2:0.5:0.5くらいになってるケースもあります。これも「正しい計画を作る必要がある(作ることができる)」というPDCA思想が根底にあるが故です。
いまからの時代、世の中は大きく動きます。「正しい計画」が起点となるPDCA思想は、少なくとも3年などの単位で作る中期経営計画レベルでは、もう限界にきています。脱・PDCAのときです。
与えられた計画をただ実⾏するのではなく、世の中の動きを観察し、判断・⾏動に移せる⾏職員が増えると、地域⾦融機関はもっと強くなります。そんな組織風土作りを目指してはどうでしょうか。
以上、髙橋昌裕からのYELLでした。
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