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波紋を思い描く その4

前項の最後で級数の係数が分かればよいところまできた。あと少し。


初期条件

(67) (69)よりt=0のときの変位を以下とする。f(r,θ)は既知とする。

(70)

$${c'_{m,n}}$$を求めたい。θ方向にFourier級数展開、r方向にFourier-Bessel級数展開を考える。
定理:

(71)
(72)
(73)
(74)
(75)

(71) (72) (73) (74) (75)よりf(r,θ)は

(76)
(77)
(78)

と展開できる。 (70)と(76)を比較して$${c'_{m,n}}$$の代わりに$${a'_{m,n}}$$と$${b'_{m,n}}$$を用いる。

以上より変位は、以下で与えられる。

(79)

これまでに付けた条件

  • 非圧縮

  • 渦なし

  • 速度の二次成分は無視

  • 十分離れた位置で変位は0

  • 変位は深さに対して十分小さい

  • 深さは一定

  • 時刻0で変位方向の速度は0


参考文献

[1] 森口繁一・宇田川銈久・一松信,岩波数学公式Ⅱ 級数・フーリエ解析,岩波書店,1987.
[2] Watson, George N., A Treatise on the Theory of Bessel Functions Second Edition, Cambridge University Press, 1944.



波紋を描く

初期値f(r,θ)を決めて(77) (78)で係数を求めて(79)で計算するだけ。解析的に波紋が分かる。
しかし人手での計算は厳しいのでPCを使う。 (77) (78)の積分はGauss-Legendre積分を使う。

計算例

領域:1m x 1m 深さ:0.8m 初期条件:直径6cm深さ9cmの放物断面の穴 変位は強調


領域:1m x 1m 深さ:0.8m 初期条件:6cm x 10cm x 5cmの穴 変位は強調




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