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『雉はじめて鳴く』運営サークル

福島演劇鑑賞会の第445回例会(9月6日~8日)は、劇団俳優座を迎えて『雉はじめて鳴く』を上演します。作:横山拓也、演出:眞鍋卓嗣という当代きっての人気者コンビによるもので、とても楽しみです。
 演劇鑑賞会ってどんな団体ですか?と問われたとき、福島演劇鑑賞課員パンフレットには、「日本を代表する劇団の素晴らしい作品を、例会(観劇会)として迎えているサークル会員制の非営利の鑑賞団体です」とあります。言い換えると、「会費を払って会員になることにより、演劇を観ることができます。会の運営は会員の会費でまかなわれており、営利を目的としたものではありません。」となります。この、「営利を目的としたものではない」のところが大切なポイントです。このような演劇鑑賞団体の存在について、俳優の加藤健一さんは、「鑑賞会が長きにわたって守り続けてくださったのは、私たち舞台芸術家の良心です」と述べています(青森演劇鑑賞協会での講演から)。
 福島演劇鑑賞会は、1500名を超える会員から成り、年6回の例会を実施しています。全国的に会員数の減少が続いている中、コロナ禍の会員減少以降、奇跡的に会員を増やし続けている数少ない団体です。また、東北の多くの団体では、年5回の例会を実施するのが精一杯のところ、福島演劇鑑賞会は年6回の例会を維持しています。
 演劇鑑賞会には、「サークル」と呼ばれる3人以上のグループを作って加入します。福島演劇鑑賞会には、約250のサークルがあります。そして、各サークルは年に1回、「運営サークル」として例会の運営に携わります。このとき、会員を増やしサークルを増やす事も大切な使命になります。いくら会員制の鑑賞団体とはいえ、会員を増やすことをいつも使命のように感じていては、純粋に楽しめなくなってしまいます。そこで、年6回の例会のうち、5回は純粋にお芝居を楽しみましょう、そして年1回は「運営サークル」として運営に関わり、会員を増やすことにも取り組みましょう、という仕組みです。
 私のサークル「せいたん」は、9月例会『雉はじめて鳴く』の運営サークルです。先日行われた第1回の運営サークル会議では、鑑賞会の現状、会の歴史や上演料など基本的なことを学習し、例会作品への理解を深め、機関誌の作成などの役割を分担しました。今後、半月に1回程度の運営サークルの会議を開催し、会員増に向けた取り組み、席割(観劇日の希望を元に席を割り振る)、座席シールの準備、当日までの広報、例会当日の役割分担など、例会を成功させるために細かいところまで確認作業を続けていきます。そして迎える例会初日。ロビーの装飾や配布物の準備の他、舞台設営のためにトラックからの荷下ろし、等の手伝いも運営サークルの役割です。この荷下ろしが、劇団員と一緒に舞台を創りあげているという一体感が得られて、とても楽しいのです。(最終日の終演後には舞台解体・積み込みの『荷揚げ』もあります)。
 演劇は上演の場面だけがすべてではありません。企画・脚本、キャスティング、公演日程の調整、稽古、等々、多くの積み重ねがあって当日の公演が実現します。その公演を全力で応援するのが演劇鑑賞会であり、担当となった『運営サークル」なのです。(つづく)

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