【風の歌を聴け】を読んだ感想

村上春樹による小説『風の歌を聴け』を読んだ感想を勢いで書いてます。
以下、読みづらいのでご容赦ください。

書き出しが思い切ったものになっており、舐められない為の工夫を感じる。
自分に酔ってるナルシストというよりは、小説家として駆け出しの自分が周囲から舐められないためにペルソナを被っているような感じ。
音楽を聴いている描写があるが、そこで流れるのはビーチボーイズやマーヴィンゲイなどの、少しずらしたメジャーミュージシャンだ。決してマイナーではないけれども、ど真ん中のメジャータイトルというよりは、少しずらしてある。
自虐的でありながら優雅な生活をしている。馬車馬のように働く労働者に対する憧れみたいなものがある?
恋愛をしてはいるが、わかりやすい恋愛ものではありたくないというプライドを感じる。
恋愛を人生の中でいくつか経験することを当たり前のこととして書いている。その部分に関しては作者の主観が強く入っている。今作に隙があるとしたらここだ。
文章に関しては1ページに有する文字数が少ないのもあって非常に読みやすい。
ラジオにまつわる演出などを見ると、オルタナティブな作品を世に出したいという気持ちを感じる。
硬い文体から離れ、ファンタジーとまではいかないが、フィクションめいている人物描写は、この本そのものを浮いた存在にしている。
出てくる食事が西洋由来のものが多いが、自然に溶け込まず、すかしに感じるのは意図的か、はたまた天然か。
油断すると生活の中から和食が消えてしまうのは一人暮らしのあるあるだと思うが、サンドウィッチが出てくるのは不自然だ。やはり一人暮らしのお供といったら菓子パン、食パン、目玉焼きなどだろうか。サンドウィッチというのは地味すぎて若者の食への欲望を満たしてくれない。ここに関しては時代背景があるのかもしれないが。コーラやビールを作中で愛飲しているあたり、主人公は味の濃いものを求めてるはずだ。だったらハンバーガーとか出しても良くないか、金持ちじゃないにしても、ハンバーガーぐらいならいけるだろ多分。70年代には詳しくないけど、今より安いまであるんじゃないか、最近ほんと高くなったからなハンバーガー。
※調べたらマクドナルドが日本でオープンしたのは1971年からだった。
主人公が上半身裸になりたがるのはなんでなんだ、暑くてもよほどのヤンチャボーイじゃないと脱がないだろ。
なにか核心を突くわけではないが、時間が過ぎるにつれ、変わっていく住む場所や、立場。最後の数ページであっさりと誰かと結婚した主人公。それはこの作品が持つドライさを象徴しているが、レールを外れて自由に生きるというほどでもない。どこか社会や人々に対して冷笑しているが、その実、主人公は社会にぴったりとハマって生きている。恋愛や結婚が人間の独自性をはく奪するとまではいわないが、フィクションにおいては結婚は主人公の生活の落ち着きをイメージさせる。目的、目標、夢、物語でありながら主人公のそういった気持ちというのは見えてこない。実にその日暮らしである。ここに共感が出来る人は多いだろう。私は共感できないが、そういう暮らしがあっても良いと思う。


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