見出し画像

【自伝】生と死を見つめて(15)自伝に寄せて

昔から「自伝を書いてみたい」という夢があった。それこそ、20年前から思い続けてきた目標だった。でも、試しに自伝用のブログを作って書いてみたけれども続かないし、なかなか実現が出来ないでいた。

そんなある日、夢を見た。パーティー会場のような広い場所で、私は皆に向かって、これまでの人生について熱く語っていた。周りの人達はそれを熱心に聞いてくれていた。

目が覚めてから、強く思った。「自伝を書こう」と。「その時が来た。今がその時だ。」そう思った。私は特定の宗教を信仰している訳ではないけれど、「神の啓示」を受けたかのような気がしていた。

それから一日に約500文字くらいのペースで執筆を始めた。調子が良い時には1000文字くらい書けたけど、調子が悪い時は10日間ほど筆が止まってしまうこともあった。

このペースだと一年以上かかってしまうかもしれない。でも時間がかかってもいいから、とにかく完成させることを目標とした。

今まで、音楽活動もキャラクター活動も、全部中途半端で終わってしまったという苦い思いがあった。だからこの自伝だけは、なんとしても「完走させたい」という強い気持ちがあったのだ。


今回、自伝を書くにあたって、過去の嫌な出来事を色々と思い出さなければならず、それがとてもつらかった。また、根を詰めすぎて躁にならないように、自分をコントロールしながら作業を進めていかねばならず、それが大変だった。夢中になりすぎると躁転してしまうからだ。それでも執筆中に何度も躁転し、反動でうつになって寝込む、これの繰り返しだった。

また、自伝を読み返してみると、私は欠点だらけ、コンプレックスだらけの人間なんだなぁと改めて思った。しかし、今では、その欠点を受け入れられるようになった。夫が私のことを受け入れてくれているので、コンプレックスもあまり気にならなくなったのだろう。

抑うつ症状に苛まれて、自伝を書くのがつらい時には、無理に書かずにお休みをとっていた。つらいことを我慢してやり続けた結果、精神病を発症したのだから、これからは極力つらいことはやらないようにしたい。

自伝の完成度についても悩んだ。どこまでクオリティを上げれば良いのか、完璧を目指すべきなのか…。

そこで、岡村靖幸さんがラジオで話していた「諦め力」という言葉を思い出した。完璧にやることにこだわるよりも、とにかく作品を完成させることが大切だとおっしゃっていた。この話をモットーに、この自伝を書き上げたつもりだ。

また、ゆでたまご先生がインタビューで語られていた「”来週の自分がなんとかしてくれる”と思った」という話も印象に残っていた。過酷な週刊連載の中、その時点では続きのアイデアが思い浮かんでいなくても、来週にはきっとなんとかなっている、自分を信じていないと言えない言葉だと思う。私も、途中で何度も執筆に行き詰まっても、「明日ならきっと書ける」そう自分を信じて、なんとか完成までこぎつけた。

初めての自伝、初めての長文執筆。ブログしか書いたことがなかった私が、約10ヶ月かけて書き上げたこの作品。

至らないところも多いだろうけど、とにかく私はやりとげたのだ。そのことについては、自分に「よくやった」と言ってあげたい。

何故、自伝を書いたのか?それは、ただ「書きたかった」から。そして、それを「大勢の人に伝えたかった」からだ。

もし「自分の障害や人生をネタにしている」と言われたら、「その通りです」と答えると思う。この自伝への反響は、賛否両論か、批判の方が多いかもしれない。でも、それも覚悟している。私は自分の思いを表現して発表したかったのだ。

この自伝が、一人でも多くの方に読んで頂けることを、心から願っている。


もし「あなたは何故生きているのか?」と訊かれたら、私は迷わず「死なないから生きている」と答えるだろう。

「生きること」に目的なんてない。「自分は一体何のために生まれてきたのか?」なんて、そんなことは全然分からない。

何度も何度も自殺未遂をして、いつもあと一歩のところで死ぬことができなかった。あの大震災で被災して、震度6強の大地震を経験しても、死なずに生き永らえてしまった。

これはもう「おまえは生きろ」という天のお告げなのではないかと思った。神か仏か、誰の言葉か分からないけれども、「とにかく死なずに生きていろ」という、誰かからのメッセージなのかな、と思っている。

今は、夫というかけがえのないパートナー、家族がいる。彼を一人残しては死ねない、だから生きている。それだけである。

夫と二人、健やかで幸せな人生を送れるよう、やれることを淡々とやる毎日を送っていくのみである。私に「生きる意味」なんて必要ない。


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?