ニンジャの生物多様性とバイオミメティクスの話
ドーモ、KXsです。
私は日々創作行為メントに励んでいる。市販のプラスチックキットに改造を施しニンジャを作り出す、すなわち疑似的なニンジャソウルディセンションだ。
棚に並んだニンジャ達を見てふと思う。「虫系のニンジャ多くない?」
(ちなみに『虫』といえば『昆虫』を指し、クモ、サソリ、エビ、カニ、ムカデ、ミミズ、ナメクジなどは厳密には虫ではない。まぁ苦手な人には同じようなもんだろうけど…)
地球の生物たちは非常にバリエーション豊かであり、これを生物多様性という。それは磁気嵐に覆われ、マッポー級まで汚染が進んだ忍殺世界でも同じ、そこに棲むニンジャ達もまた然りだ。
そこで今回は、これまで我々の前に姿を見せたニンジャ達の中でも印象的な、人間以外の生物の特徴を持つニンジャについて研究してみよう。
そもそもなぜ人間以外の生物の特徴を備えるニンジャがいるのか?それは恐らく、人間が「弱い生き物」だからだろう。皆さんも自分の体を思い出してほしい(あなたが人間ならば)。人間は時速50キロで走ったり素潜りで深海まで行ったりすることはできない。でっかい肉を噛み千切るのも一苦労だ。いかなニンジャの身体能力といえど存在する「人間である以上できないこと」を補うためだろう。また、人間の体に肉食獣の爪とか牙とかを付与できればそれだけで強力な武器となる。まぁそれだけで頭を丸ごとカブトムシにしようとは思わないけども…
我々の世界にもバイオ工学は存在する。バイオ蜘蛛糸、バイオ再生医療などだ。生物の持つ特殊な能力を再現する研究、これをバイオミメティクスといい、有名な例としてカワセミの羽根をまねて作られた「速く泳げる競泳水着」や、ヤモリの指先の構造を再現したテープなどがある。
もちろん、動物の挙動を手本に編み出されたカラテもその1つだ。
検証
今回は以下の点について検証していく。
1,これまで何人の人間以外の生物の特徴を持つニンジャ(以下、『動物系ニンジャ』)が登場したか
2、どういう原理で他生物の特徴を得たか
3、それらのニンジャのうち、どの生物が多く存在するか
4,各ニンジャ組織と動物系ニンジャの関係
とする。
(この研究では、全ての固有名詞存在を敬称略で表記しています)
ニンジャの数について
ニンジャスレイヤーという作品は、「ニンジャが出て、殺す!」のキャッチコピー通り次から次にニンジャが現れ消えていく。その数はすさまじいので、今回は「ニンジャ名鑑で紹介されたニンジャ」に的を絞って検証する。
カウントしたところ、実に113忍もの動物系ニンジャが確認された。(確認漏れの可能性は否定できない。)
そして驚いたことに、これまでヘッズの頭のうに多大な負荷をかけてきた数々のニンジャが名鑑に登場していないことが判明した。チルソニア遊星人みたいなシケイダー、権力のカブトムシことネプチューンビートル、可能性の産物ディープテラーなどは名鑑未登場。コナイ!コナイ!メイカンガコナイ!
ここで、「動物系ニンジャ」と判断する基準を明記しておく。
1,人間以外の生物の特徴を、そのニンジャ自身が持っていること
→動物を連れているだけのニンジャは除外。
2,動物を模倣したカラテの使い手も動物系ニンジャとみなす
→例えば古代ローマカラテなど。
3,複数の要素を持つ者はそれぞれを別にカウントする。
→例えばスパルタカスは古代ローマカラテの5つの構えを使い、今回は5忍分としてカウントされる。唯一アヴァリスだけは短時間で大量のジツを1回だけ使ったため、最初から最後まで一貫して持っていた「クロヤギ」1つに絞って考える。
4、動物要素が名前だけではないこと
→これは非常に難しい要素だった。まず当然、ツルでもカメでもないマスタートータス/クレインなどは除外。
次にレッドゴリラなど「っぽいだけ」のニンジャも除外。彼は名前こそゴリラだが、バイオ増強された筋肉を持つビッグニンジャというだけで足で物をつかんだりドラミングするなどのゴリラ要素はない。最初は「ゴリラ扱いでもよくない?」と考えたが、そうするとビッグニンジャはみんなゴリラになってしまうし、思えばフォレスト・サワタリもバイオ増強された筋肉を持つ。では彼はゴリラか?そうかもいいえ違います。
5,実際の生物が持たない能力はカウントしない
→コブラが目からビームを撃ちますか?おかしいと思いませんか、あなた。
動物要素を持った原理について
まず思いつく原理を上げてみる。ジツ、バイオサイバネ、バイオニンジャ、サイバネ(機械)、非サイバネ装備(装束、鎧など)、ニンジャアニマル、そして生体模倣カラテの7つが挙がった。これに「詳細不明」を加えた8つの要素に113忍を分類。
その結果、こんなデータが得られた。
最も多かったのは「ジツ」のニンジャ。ただしここにはソウル由来の肉体変質や上位のニンジャによって力を分け与えられたものも含まれる。
そしてやはりというか、ヨロシサン製薬が関わっているバイオ系ニンジャが合計36%を占めている。
更に、「不明」のニンジャも多く見られた。彼らは大半が名鑑のみで本編未登場のニンジャであり、いずれ登場し恐るべき真実が明らかになるかもしれない。備えよう。
逆に、非バイオ系サイバネやニンジャガジェットの割合は少ない。そうした装備の場合、ミリタリー的な武装のほうが主流のようだ。
生物の種類について
まず大まかに生物種の枠組みに基づいて分類する。つまり哺乳類、爬虫類、鳥類、両生類、魚類、節足動物、軟体動物、植物、それ以外、そして「謎生物」の10種類に分類する。架空生物は近しい通常動物として扱う。例えばドラゴンは爬虫類とみなす。
結果はこうだ。
最も多かったのは哺乳類の特徴を持つニンジャだ。ニンジャファクトで語られた「ニンジャの大部分は、哺乳類です」という話、「そりゃそうだろ」と思っていたがこのことを指していたのだ。そして予想通り、次に多いのは節足動物系のニンジャだった。
意外だったのは鳥類系ニンジャ。翼を持つ者はたった4忍。残りは皆古代ローマカラテ・鷹の構えの使い手たちだった。サイバネに溢れたこの世界で「空を飛ぶ」時、かさばる翼を持つより小型軽量化されたジェットパックなどのほうが効率的なのだろう。
魚類のニンジャはたった2忍。ブルーオーブ変身態は乾燥に苦しんでいたため陸上での活動に難があるか、あるいは重汚染やら殺人バイオマグロやらの危険が溢れるネオサイタマの水中はニンジャを必要としないのか。ただし、全く陸に上がれないマインドキルが存在するので一概には言い切れない。
…または、ニンジャ魚類は存在するが、みんな非常時などにスシにされてしまっている可能性も否定できない。つまりニンジャ達が食べているスシは…
漁業の闇に触れるのは得策ではないと申し上げておこう。
では最も多く確認された生物は何か?結果はこうだ。
ヘビ 7忍
サソリ/ライオン 6忍
ムカデ/ウマ 5忍
ドラゴン/タカ/クモ 4忍
コウモリ/オオカミ/エビ/植物系 3忍
ワニ/犬/鹿/ジャッカル/カエル/セミ/イカ 2忍
アルマジロ/サイ/サル/キツネ/コヨーテ/ピューマ/イルカ/ムササビ/ゾウ/ワシ/フクロウ/トキ/サメ/エイ/ヤモリ/カメ/ティラノサウルス/ブラキオサウルス/プテラノドン/ハエ/蚊/カマキリ/アノマロカリス/ハルキゲニア/蛾/オウゴンオニクワガタ/タコ/ヒトデ/キノコ 1忍
これらを見ていくと、動物を模倣したカラテ、動物に変身するジツ、同じ動物に対して両者が同時に存在する場合があると気づいた。例えば蛇がそうだ。メイヘムに至ってはひとりで両方を使う。イクサに対するニンジャのスタンスの違いだろうか。もしくは動物に変身するジツの習得に必要なものという可能性もある。
あるいはノーカラテ・ノーニンジャが第一とされる世界で異形のものとなる道を突き進んだカイジュウ・ニンジャクランがカラテに負け滅んだというように、どんな強い生物に変身することができてもカラテこそが最重要視されていたのだろうか。
そしてもう1つの疑問は、「ドラゴン・ニンジャクラン」という存在についてだ。「カラテに特徴がある」とか、ユカノが戦うと「ドラゴン!」なる合いの手が入ったりするから「動物系ニンジャ」としたが、架空の生物を模したカラテとは何か?あの世界にはドラゴンが実在するのだろうか。
っていうか世界各地に竜の伝説が残る元になったのはハガネ・ニンジャなのでは…?
各ニンジャ組織の動物系ニンジャについて
まずはソウカイヤ(旧)。
ソウカイヤ所属の動物系ニンジャは8忍。最も少ない数字である。バイオ改造系は少なく、装備やサイバネが多い。これはエピソード初期の時点ではクローンヤクザすら発売直後、すなわちニンジャ用のバイオサイバネなどがまだ一般的でなかったことを意味している。
次にザイバツ。
ザイバツのニンジャは新旧が存在し、新ザイバツに所属しているニンジャがいつからザイバツにいたのか不明なため、同一組織としてカウントした。
ザイバツの動物系ニンジャは16忍。一気にソウカイヤの倍、バイオサイバネ系ニンジャも多くみられる。これはヨロシサンがサブジュゲイターなどの強力なバイオニンジャを生産する技術を確立し、ニンジャ界におけるバイオ技術の一般化が進んだことが背景にあるだろう。
アマクダリ・セクトに属する15忍のニンジャは、バイオ系の割合が減りカラテの割合が増えていた。これはスパルタカスを筆頭に増えだした古代ローマカラテ使いの影響、同時に多くのバイオ系ニンジャがヨロシサンの直属として運用されているのも理由の1つだろう。
ヨロシサン製薬のニンジャ、実に32忍は当然9割がバイオニンジャ。そうでないものは3忍だけ。ちなみに「ヨロシサンのニンジャ」は「大規模ニンジャ組織に属さない、ヨロシサン製薬が生み出したニンジャ」と定義し、サワタリ関係者やINWの所属、野良ニンジャなども含む。さらに各研究員が好き勝手にタコだの甲殻類だのの可能性を模索しているため生物数が非常に多い。
ダークカラテエンパイアの動物系ニンジャは15忍。当然というか、DKEはヨロシサンとのつながりを持たないためバイオ系の数は0、多くがジツまたはカラテ。特に超古代の異形存在達による何らかの力の付与によってバイオ生物めいた形質を得たものが目立つ。
以上のいずれにも属さないニンジャ、合計28忍。文字通り無所属の者、オムラや神聖アンタイブッダ帝国などのごく少数派、そしてどこの所属かわからないものが多くいる。当然大企業のサポートを受けていないものが大半で、ジツまたはカラテが多数。
集計の結果を見ると、上位になった生物はその名を冠するニンジャクランがあることがわかる。蛇に至ってはヘビ・ニンジャクランとコブラ・ニンジャクランの2流派が存在するほどだ。恐らく太古のニンジャにとっては身近な生物で、それを観察でもしているうちにその生物のニンジャ的有用性を発見しニンジャ達の戦力となってきたのだろう。
そして現代のニンジャもまた、手遅れともいえる環境破壊の中で歪み果てた生態系、誰もラッコやイルカについて考えなくなった世界でも逞しく生き延びようとする生物たちを手本として戦うのだ。
おまけ
最後に、名鑑を見返している中で再発見したニューロンにわるいニンジャ達を紹介して終わりにしよう。
名前、外見共に「角がある」のがアイデンティティのユニコーンから角をとるんじゃないよ。馬じゃダメなのか。
「氷河の中で眠っていた」だの「山から降りてきて街を破壊する」だの、まるで怪獣である。どんだけでかいんだ。ソウルはリアルニンジャマンモスなのだろうか。
…はい?????
「パイア」という言葉はなさそうなので、恐らくヴァンパイアのパイアだろう。…そもそも忍殺世界の吸血鬼に感染力はない。じゃあこいつはなんだ。感染する、ということはサメが蔓延するわけだが、世界をサメだらけにしてどうするつもりなんだろう…