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【怠惰への賛歌】労働と余暇について


プロローグ 私たちが働くとは


私たちは何のために毎日働くのでしょう。

1日24時間の限られた時間の中で、現代に生きる私たちは平均8時間から10時間程は労働に費やしているのではないでしょうか。

現代の資本主義社会で生きている以上、生活のためにはお金を稼ぐ必要があり、また自分の趣味をしたり欲求を満たしたりと自己実現のためにもお金が必要なことが多いです。

これらのために、つまりお金を得る手段として働いている人が多いと思います。

労働と幸福の関係についての問題提起


それではここで1つ問題提起です。

働くこと自体とお金を稼ぐこと自体は私たちが幸福に生きることにどれだけ直接的に関わっていると考えますでしょうか。

もちろん仕事が好きで働くことに喜びを感じているという人も多くいることと思います。

また、稼いだお金で口座の残高が日に日に増えていくことにある種の安心感と満足感を感じるという人もいるかと思います。

それらの種類の喜びや安心感、満足感が人生全体から得られる幸福の総量の何割ほどを占めていると感じますでしょうか。

要するに、限られた人生の時間の中で労働をするという選択をした場合に得られる幸福の総量と労働以外のことをするという選択をした場合に得られる幸福の総量を比べて考えてみてほしいと思います。

労働以外の人生の選択とは趣味をやる時間だったり、家族と過ごす時間だったり、ただただ思索にふける時間でもいいでしょう。

幸福の総量とは簡単に言うと、その幸福感がどれだけ持続的かつ何度も繰り返し得られるのかを考えてみてほしいです。

バートランド・ラッセル著、怠惰への賛歌


労働以外の時間を余暇という風に定義した場合に、その余暇が人生全体の幸福感や豊かさにどの程度貢献しているのか。

このことについて考えたイギリスの哲学者にバートランド・ラッセルという人がいます。

そのラッセルが書いた著書が今回の記事の題材の「怠惰への賛歌」です。

ラッセルの主張


ラッセルはこの著書の中でこう主張します。

現代の人達はあまりに労働に偏重した生活を送っていて、人間が本来持っていた遊びやゆったりした暮らしといった目的のない時間を充実して過ごすという能力が抑制されていて、そういった活動の価値を軽視している。

人間が人生から得られる最も素晴らしいものを得るためには十分な余暇(労働以外の時間)が必要である。

だからこそ、会社や社会は組織的に仕事を減らさなければいけない。

ここでいう人生から得られる最も素晴らしいものとは、生きる喜びや感動を味わうことを意味しています。

十分な余暇時間を持つことの意義


あなたにとっての生きる喜びや感動することは何ですか?と聞かれてすぐに思い浮かぶことは何でしょうか。

おそらく多くの人が自分にとっての本当の人生の喜びや感動の源泉について明確な答えを持っているとは言い切れないのが現状なのではないでしょうか。

それは何故か。 

やはりそれもそれらについてゆっくりと深く考える十分な余暇時間が無いことが大きな原因の一つなのではないかと考えられます。

また、ラッセルの主張で私が個人的に需要だと考えているモノが、

十分な余暇時間があった人々によって人類にとって重要なこれまでのあらゆる発見や発明、芸術的創作、哲学的思索、科学技術の発展などとそれらの著書や論文の執筆が行われてきたということである。

つまり、人類文明の重要な進歩や発展に寄与するようなことの大部分は余暇時間をたっぷりと持っていた人たちによって成し遂げられてきたということが言えると思います。(特に18、19世紀頃までの社会的身分制度が色濃かった時代では顕著に。)

逆に言えば、日々の労働に追われ余暇時間が少ししかなければそういったことをゆっくりと考えるのは難しいということも言えるでしょう。

エピローグ 十分な余暇時間を持つとは


まとめると、私たちが人生の最も素晴らしい部分を十分に味わい生きるためや、人間の文明や文化といったおそらく俯瞰的に私たちという存在全体にとって価値が大きなモノを前進させるためには、十分な余暇は欠かせないものなのだと結論付けていいでしょう。

現代で言うところのライフワークバランスだったり、ライフワークとライスワークといった言葉、定義をより意識していくことが少し近いのかなと思います。

私自身もこの著書を読んで余暇の時間の大切さを再認識させられ、生活のためのお金を稼ぐライスワークばかりにならないように気を付けながら、十分な余暇時間を作ることを忘れずにこれからの人生を生きていこうと思いました。

みなさんは人生の余暇時間についてどうお考えになりますでしょうか。

そうは言ってもなかなか十分な余暇時間を作るのは難しいよ、という方が多いのではないかと思います。

そういう方はまずは一日の中で五分でも十分でもいいので決まった時間に仕事のことを考えない時間を設けてみることから始めてみてください。

詳しくは申しませんが、そこで何らかのほんの少しの気づきがあるかもしれません。その気づきをもとに余暇時間を増やしてみたり余暇時間でやることを決めていったらいいのではないかと思います。

みなさんの人生がライスワークとしての仕事ばかりではないより本質的に生きる喜びに満ちた充実したモノに少しでもなっていくことを願っております。

見出し画像の作品紹介


ジョルジュ・スーラ作、グランド・ジャット島の日曜日の午後。

最後までお読みくださった皆さん本当にありがとうございます。

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これからもこのような人生哲学や哲学書の解説、芸術や文化、歴史などについての考察など、人生や人間を広く理解するための記事を書いていこうと思いますので、よろしければフォローしてお待ちいただけると幸いです。




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寺田淳/あってぃ/ATSUSHI TERADA
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