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木曜日寿司事件

この間の木曜日、私たちの間に革命的なことが起きた。


私はかなり前から「ちゃんとしたご飯を食べに行きたい」と言っていた。いつも家で作ってくれたり吉野家に行ったりしていてそれも美味しいし幸せなことに変わりないんだけど、ゆっくりちゃんと綺麗な服で、化粧で、二人でご飯を食べたいなって思っていたから日程調整に励んでいた。なかなかバイトや大会の都合が合わず、夜ごはんはかなり無理めやな~っていう結論になった。

匡がインスタのリールで見つけた平日800円でうまい寿司が10貫食べられるランチを見つけてくれて、夜はどの日も厳しいからランチ!と思ってその日に寿司を食べに行くと決めた。

でも私は陸上スクールのバイトが17時から入っていて思う存分デートができるわけではなかった。でも私はひそかに、ご飯食べに行った後カフェとか、買い物とか、少しデートらしいことがしたいな、できたらいいなと思っていた。

当日はちょっとワクワクしながら服を選んだ。青い珊瑚礁をカバーしたハニみたいなさわやかな可愛さをイメージして、紺色のスカートと白T。イヤリングも半年ぶり位につけてみたのであった。

お寿司はネタが大きくて、新鮮でおいしくてうま!だった。カウンターが絶妙にしゃべりづらかったけど、大将とおかみさんはまるで原じ―ちゃんとミーちゃんみたいで、なんか泣きそうになった。お母さんとお父さんを連れてきてあげたいと思った。Like a 浜吉。小松大谷のキャプテンが地元の子で感動したりした。

その後どうする?って話になって、少し物足りない私は次のお店を探そうとした。匡は「釣り行こうかな」と言った。え、って思った。ここで終わり?このデート。ここでよくわからないいい女モードが出る私は「いいよ」という。匡は「スタバいきたくね?抹茶ティーラテ飲みたい」と言う。私はまたスタバか、もっと別のところがいいなと思って抹茶がメインのカフェを提案したけど微妙な反応だったのでしょげた。ちょっとドライブできたらいいなと思って遠目のスタバを提案してみたけど「なんで?」と言われた。また悲しくなった。「ちょっとでもながくいたいんちゃいますの~ん」とかからかわれたけど「釣りに行きたいんだ」「楽しみにしてたんだけどな」「今日の格好とかも言及無しか」「私だけや」と思うと涙が湧いてきた。止めるのに必死だった。珍しくジーノで行ってたから、運転に集中するふりで会話しなくてよかったから耐えたけど口数少なくなるのは仕方なかった。匡は気づいてなかったんだろうか。うまく笑えない私に気付かないのだろうか。

家の近くに帰ってきた。わたしは涙が限界点を超えていたので、カーマに行きたいという匡をおろして「お礼のケーキ買いに行ってくる」と告げて、ボロボロ泣きながら運転した。涙をひとしきり流し、迎えに行って、拾って、でも泣いていたことがばれて「泣いてる?」と言われた瞬間涙が止まらなくなった。私はかまいたちの山内と一緒で、感情が一定のラインを超えると涙でしか表せなくなるらしかった。

「どうしたん~」と聞く匡に何も返せないまま家に帰った。

家に帰り、本当に釣りに行くつもりだった?私はこの日をちょっと楽しみにしていて、お出かけできたり買い物できたりしたらいいなって思っていたから、とても悲しかったと、伝えた。「言ってくれないと分からない、そんな楽しみにしてたって思わなかった」「バイトもあるしご飯食べるだけだと思った」と言った。「そのとおりやね」って言った。

匡は言葉にするのが下手で、私は匡よりもっと下手で、勝手にこっちが楽しみにしてただけだからなんでこんなに泣いてしまうんだろうって思った。申し訳なかった。けど、匡も涙を流してくれた。ふがいないって、涙を流してくれた。私の太ももに頭を乗せて丸まりながら、泣いていた。愛しいなって心から思った。一番大事にしようって心から思った。

ふたりで800円もする桃のケーキを半分こした。うますぎて涙は引っ込み、完全な仲直りをした。

そのあと陸上スクールで適当に働き、帰ると「反省dishes」が出来上がっていてありえんうまいラタトゥイユを頂いた。うまいうまいって言いながら食べた。

これからはちゃんと言葉にしようと思った。毎回思っているけど、今回は特にね。

以上、大変長文の木曜日の日記でした。おしまいける

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