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【歌詞語り】松田聖子「赤いスイートピー」

松田聖子「赤いスイートピー」
発売年:1982年
作詞:松本隆
作曲:呉田軽穂(松任谷由実)

筆者が小学生のころ、ある担任の先生に「『~~しい』という表現はなるべく使わないように作文を書きましょう」などと言われたことがありました。つまり、安易に形容詞を使わないで、物事を様々な方法で表現してみなさい、という意図だったのかと。大文豪でも「嬉しい」だの「悲しい」だの、使うときは使うのだろうが、「縛りを課される」がために、表現の幅が拡がることがあるのも事実。

松田聖子「赤いスイートピー」の一節

心の岸辺に咲いた 赤いスイートピー

「赤いスイートピー」作詞:松本隆

は、いわゆる「隠喩」と呼ばれる表現方法。それ自体は我々が日々用いている表現方法ではあるが、この一節は本当に純度が高い。女性が心ときめいているさまを、花に喩えて、ギュッと濃縮させている感じが素敵。確かに直截に形容詞などをグタグタと並べているかぎりにおいては、この表現には決してたどり着かないだろう境地。

さて。「スイートピー」は色によって花言葉が変わるようで、

「赤いスイートピー」は「別離」、「門出」、「優しい思い出」といった花言葉があるらしいですが、この歌においては、そうした意味合いより、心がポッと明るく、赤くなるさまの比喩対象であることが主眼なのでしょう。

「赤いスイートピー」もそうですが、「心の岸辺」も隠喩です。この女性の心が安らぐような場所を例えているのでしょう。男性によりそっていると心に花が咲くようだ、と。うん、かように解釈垂れているそばから、わざわざ過ぎる感じが何だか恥ずかしいくらいだ。

ちなみに、スイートピーは、野生のものはやはり海岸=岸辺に咲いているらしいです。


筆者のようなオッサンに「花」なんて似合いませんが、花屋に活けられている花や、道端に咲く花に、少しでも心が動くようにはしておきたいものです。

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