私は、一体何なのだ




 この、金土も外来、120名を超えた。



 忙し過ぎると、目覚めが早くてね、恐らく早朝覚醒というヤツだ。



最近の、私のスタイルは、もう世間話だよ。




 「夜風を浴びるのは、どうでしょうか」

 「にじさんじ炎上しましたね」

 のように、実に、くだらない内容となっている。



 しかし、

 人は、繋がりを求めるもの、人と言う字が二本あるように、人は孤独には勝てない。


そして、


 私は、もう訳のわからぬ蘊蓄を垂れるのは、やめた。


 多分、相手も、そんなことは求めていない。ただ、私に、会いに来ているだけ。



 よく、精神科医は、クズか天才しか、居ないと言われるが、私はクズだろうな。


 医学書を、懸命に読むこともなければ、学会で発表し、賞賛を得ている訳でもない。

 ただ、人と会話をし、それを生業としている。



 くだらない存在。


待てよ、


 私は、一体、何なのだ。


 恐らく、大代真白春雨麗女が、行なった方が、相手は癒されるのではないか。

 栗駒こまるに、よしよししてもらった方が、男は喜ぶのではないか。


 また、不破湊に、「俺の声が、処方箋だぜ」と言ってもらった方が女は、喜ぶのではないか。



 ただ、彼女らが、外来をしてしまうと、追跡者が増え、事件になってしまう。


 だから、私のように、無味無臭のもので、丁度良い、平たく言えば、誰でもいいのだ。


 そう、私はただの話し相手。


  「SEVENTEENが好きで堪らなくて」

  「New Jeansのハニが可愛いです」


 「そうなんですね、これですか」と返しはするが、


 内心は、「だから何だよ、知るか」と思っている。



 私は、風にそよぐ葦のような、居ても居なくても変わらぬ、惨めな存在。

 しかし、自分がどれほど、悲惨な存在かを、考える事は出来ている。


 これは、とても偉大なことだ。


 多分、私は、形而上学的には、無意味な存在であろうが、

 これからも、誰かの話し相手として、存在し続ける。

精神科医ましろ




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