知らない島〜今宵の呟き〜
この前、
とある患者様から、行ってみてほしい場所があると言われた、
繰り返しであるが、私は、人生は行動が全てだと思っている、
そして、
今日は、その文化財保護法の特別史跡・特別名勝に指定されている、
小石川後楽園へと足を運んだ。
この、
重複指定を受けているのは、全国でも、金閣寺、浜離宮恩賜庭園など、ごく一部に限られている。
その様な、素晴らしい場所へ行けるなど、私は何と幸せなのだろう。
此処は、
後楽園ホールの直ぐ、側にある、まだ、開園前で、複数の外国籍の方が世間話をしていた。
私は、掲示板を読み、思いに耽っていた。
もとは、水戸藩書院のあったところ、水戸藩とは、
常陸国(茨城県)水戸に置かれた親藩で、三家の一つである。
嘗ての、後楽園への、正式な入り口である、戦災で焼失したが令和2年に復元された。
この庭園の、中心となる景観、この壮観な情景は、琵琶湖を見立てて造られたとされている。
静寂な場に、響き渡る水飛沫、私は、暫く、その場に立ち竦んだ、
この名称は、まるで、千条の白糸が垂れている様に見えることから名付けられた。
小石川後楽園は、
江戸時代、初期、寛永6年に水戸徳川家の祖である、頼房が、その中屋敷に造ったものである、
現在の、東京にも、残り続ける、永久の美、私の感性は極限まで研ぎ澄まされた。
伽藍堂の建物は、何故か、私の心を燻った、何処かで見たことがある風景、そんな心情で満ちていた。
京都、東福寺の通天橋を模して造られたとされている、風情があり心躍った。
中国、浙江省の西湖を見立てて造られたとされている、その普遍的な直線は、誰もが目を止めた。
取材は1時間を超え、私の体力は限界に達していた、しかし、関係ない、物事を成し遂げようとする精神、それ即ち気力である。
水面に映る形が満月のように見えることから、この名称がついた、
明の儒学者、朱舜水により設計とされている。
あっという間のひと時であった、所要時間は1時間30分、少し疲れた。
疲れを癒せる場所もあるようだ、訪れる際は、立ち寄ってみて欲しい。
お守りから文房具まで、幅広く扱っていた、楽しんでもらいたい。
以上となります、素敵な夜を。
精神科医ましろ
おまけ
短編小説
綺麗な世界
第一章 笑顔の女性
2008年8月15日、22時、私は、とある現場の捜査へ向かっていた、
「今日も雨か」、私はラジオを聴きながら、車を走らせていた、
「今日、未明、30代女性の異様な死体が見つかりました」「これで、被害は50件となります」
「皆様、深夜の外出は、絶対にお控え下さい」
ラジオでは、
連続殺人事件のニュースを取り上げていた、
「おいおい、綺麗事言うな、なら、俺たちには、どうしろと、身代わりになれとでも」
「…それにしても、誰もいないな」
東京都全体で、異例の外出自粛アラートが発令されており、この時間帯に、出歩くものは、ほとんどいなかった、
そう、
不気味なくらい誰もいないのだ、そして、何かがせまってきている。
そして、
30分程で、現場に着き、規制線の中に入ると、複数名の警官が確認作業を行なっていた、
「今回はどうだ」、私は同僚の黒崎に話しかけた、「下半身と顔の原型がない、まるで挽肉だ」
そこには、今日の出来事とは思えない、光景が広がっていた。
続く
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