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自作レバーレスVersion2 スイッチを改造しました

自作レバーレスv2の改造についていくつか考えているものがある、という話をしましたが、今回、その中の一つ、「キメラ改造スイッチへの交換」を実行に移しました。


参考動画

今回の改造にあたって参考にした(というかパクった)のはこの動画。

この動画では2通りのスイッチ改造法が紹介されていますが、私が選んだのは2つめの「TTC軸+Cherry軸」の方です。

というのも、やはり1つめの「kailh軸+Cherry軸」の改造に必要なスプリングが入手できないんですね。

なので実質的に選択の余地はありませんでした。

まずは材料

上記動画の概要欄にも書かれていますが、改めて紹介しましょう。

まずはこれ。皆様おなじみ、「Cherryの銀軸」。

自作レバーレスVersion1ではこれを採用してました。攻め気味のゲーミングキーボードでも採用率の高いメジャーな製品ですね。一般的なキースイッチは、2mm押し込んで初めてスイッチが反応しますが、こいつは1.2mm。それだけキーを押したときの反応が早くなると言うわけですね。この反応するまでのキーの押し込みの長さを「アクチュエーションポイント」(AP)と呼びます。今回の改造で、ささきさん曰く、APを0.6mmまで詰められるとかなんとか。

ワッシャーですね。スイッチに噛ませることで、ストロークを浅くするために使います。「ストローク」とは、キーを底まで押し込んだときの深さ。アクションゲーム用途にはこれは浅い方が良いと言われています。余計な押し込みでタイムロスが減りますからね。

ささきさんの動画では、ゴム製の静音用Oリングの方を推してましたが、私は以前ゲーミングキーボードのキーにOリングを噛ました際に、押し込んだときのぐにゃっと感でキータッチが安っぽくなってしまった事へのトラウマがあるので、金属ワッシャーを選択しました。

これも交換用のスプリング。Amazonで買ったのですが、中国の販売店だったので到着にめちゃめちゃ時間かかりました…

Ttc-シルバースイッチメカニカルキーボード、リニア軸

最後はこれですね。Amazonで見ると、同じシリーズのv2というものが出回ってるみたいなんですけど(ちなみに自作レバーレスv2で使用するスイッチの候補でもありました)、今回の改造に使えるか解らなかったので、リスクを避けてアリエクスプレスを初めて使うことにしました。まあ、当然中国業者なので、これも到着にはめっちゃ時間かかりました。

材料一式

キメラスイッチの組み立て

なぜ「キメラ」なのかというと、2つのスイッチ分解し、お互いの部品を組み合わせて新しいスイッチにするからですね。キメラとは、ライオンの頭部、山羊の胴、蛇の下半身を持つ神話上の怪物で、そこから転じて、複数の由来の異なる部品を組み合わせて一つの個体とすることを「キメラ改造」と言ったりしますね。

動画の説明に従って、TTCスイッチとCherryスイッチをそれぞれ分解します。動画では分解方法を詳しく説明してませんが、スイッチの四隅に爪があってそれで固定されているので、私はマイナスの精密ドライバーで爪を持ち上げて分解しました。

TTCスイッチを分解

Cherry MXおよびその互換スイッチは、大きく4つの部品から出来ていて、本体上部、本体下部、押下パーツ、そしてスプリングです。上の写真はTTCスイッチを分解したものですが、上が本体上部、下は左から押下パーツ、本体下部、スプリングです。本体下部には電極がついています。分解したTTCスイッチで必要になるのは本体下部、本体上部だけです。スプリングと押下パーツは不要なので廃棄です。

Cherry 銀軸を分解

一方、Cherry銀軸も同様に分解します。左から、本体下部、スプリング、押下パーツ、本体上部です。この中で必要なのは押下パーツのみ。他は捨てます。

つまり、このような部品の組み合わせでキメラスイッチを作るわけです。

  • 本体上部・下部 : TTCスイッチより

  • 押下パーツ : Cherry銀軸より

  • スプリング : 別途購入の35gスプリング

まずは、押下パーツの軸にワッシャーを2枚噛まします。

ワッシャーを噛ませた押下パーツ

ちょっとピンボケてますが、ワッシャーを軸に2枚はめているのはわかると思います。ワッシャーをはめるのは、ストロークを浅くするためですね。そして、4つのパーツを組み合わせます。

向きが大事!!

ささきさんも動画で散々注意を促してますが、パーツの向きがマジで大事です。最初私は押下パーツが本体上部の長方形の方向と合ってればいいんだろ? くらいにしか考えておらず、結果、全然反応しないスイッチが完成。「何だよささきの嘘つき野郎!!」と叫んだかどうかは定かではありません…

真ん中の押下パーツ、やや外側にせり上がっているの部分が、本体下部の電極の方向になるように組み合わせます。そして、本体上部は、傾斜が急な方が本体下部の電極側になるように組みます。

ストロークの比較

組み合わせた結果がこれ。どちらも押下パーツはCherry銀軸のものですが、左側のCherry銀軸はほぼ底まで押し込めるのに対し、右側の改造スイッチはここまでしか押し込めません。これが、ストロークを浅くしたということですね。

スイッチの交換

というわけで、このキメラスイッチを18個作成し、自作レバーレスの既存のスイッチと交換しました。

それがこちら。

スイッチ交換後

なお、中央の4つはシステムスイッチなので、ここだけは交換していません。Cherry青軸のままです。

で、あとはここにキーキャップをはめていくのですが、ここで思わぬ罠が待っていました。それは、下部のスタビライザーを噛ませている2.75uの長いキー。スイッチのストロークが浅くなったことで、左右のスタビライザの突起がキーキャップにハマらなくなってしまったのです。スイッチを底まで押し込むことで、初めて左右のスタビライザーの突起がキャップに結合するようになっていたのでした。

これは仕方ないので、一度コントローラーをバラして、先にスタビライザとスイッチをキーキャップに結合してから、基板にはめ込むということをして、なんとか事なきを得ました。

そんなハプニングもありつつ、無事に改造は完了となりました。

使用感

一部、交換前のスイッチに戻して比較してみましたが、まず、ストロークは明確に浅くなりました。

ストロークの比較

左が改造後、右が改造前です。もう見ただけで明らかですよね。APも、明らかに浅くなりました。改造前キーではまだ反応しないような浅さでも、スイッチが反応するのを確認できます。ささきさん曰くAP 0.6mmが正確な数値かどうかはわかりませんが、少なくとも改造前の1.2mmより大幅に攻められているのは明かです。

両者の変化によって、プレイフィールも明らかに変わりましたが、これがプレイングにどう影響してくるかは、まだ未知数ですね。

あと、音。ささきさんは、金属ワッシャーを使うと、底打ち感は残るけど音は改造前(ささきさんの場合はCherry銀軸)よりうるさくなる、ということを言ってましたが、私の感想は逆です。

もともと使っていたGateronのスイッチ自体、Cherry銀軸より静かという感想だったのですが、今回の改造スイッチはそのGateronスイッチよりもさらに静かに感じました。つまり、Cherry銀軸よりも明らかに静かなはずです。

動画にしてみました。左4つのスイッチが、改造スイッチに換装済み。右側のスイッチはGateronスイッチのままです。

…改造スイッチの方が静かですよね? 連打すると、ワッシャーが跳ねてるのか、少し金属のシャカシャカ音みたいなものはしますが…。まあ、その音も動画にするまで気づかなかったくらいで、意識してないとわからないですね。

ただ、キーの底打ち感は、若干緩くなりました。私は全然許容範囲ですが、気にする人は気になるかも? ゴムのOリングはめたときよりは全然マシですね。

…というわけで、自作レバーレスver2のキースイッチ改造の様子をお伝えしました。確実にプレイフィールは変わるので、これでしばらく使ってみて、使い続けるか、元のスイッチに戻すか決めようと思います。

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