【徒然なるままに④】推しの神様
ネパール人の知人がいる。
非常に礼儀正しく、優しい人だ。
彼女とは、コロナ前には、毎週火曜日にランチをご一緒する仲だった。
彼女はだいたい、いつとお弁当を作って持参していた。
カレー風味の野菜中心のおかずがメインで、私には新鮮に映った。
お肉は食べないようだった。
ネパールでは、ありとあらゆる物体に神が宿っているそうだ。
日本でいう神道みたいなものらしい。八百万の神みたいなイメージ。
面白いことに、物体だけではなく、曜日のような非物質にも、それぞれ神様が宿っているという。
たくさんの神様がいるので、それぞれ、推しの神様がいるという。
彼女の推しはガネーシャという神様だ。
宗教と聞けば、無信仰者の多い日本人(私も含めて)怖いイメージを抱いている人も多い。
何かと、触れないでおこうというか、距離を置いておこうという節はある気がする。
いわゆる、世界の三大宗教である仏教、キリスト教、イスラム教は、どの宗教も教えの根底は同じだが、そこから派生した分派は教えの解釈が違うという。
つまり、三大宗教においては、大体同じことを信じているはずだが、教えをどのように実現するのかが異なり、解釈の違いで過激になったり、考え方が違ったりする。
昔、世界史の先生は、こう言った。
「宗教を信じるか信じないかは、自分で決めればいい。海外に行くかどうかも好きにしたらいい。
でも、異なる国の歴史的背景や文化、宗教の考え方は勉強しておけ。
なぜなら、この世界中の戦争や紛争、テロの一番多い原因は、何らかの宗教や歴史的背景、文化の違いによるものだからだ。
皆、自分が正しいと思っている。どちらか一方が正しいとか間違っているとかいうことはない。
本当に世界平和を願うなら、勉強をしろ」
歳をとるにつれて、よりこの言葉の意味が深く染みてくる。
今の世界を、あの先生ならどう説明するのだろう。
昔は、ネパールの方と一緒にお仕事することがあるなんて想像もできなかった。
ネパール人の彼女は、なぜガネーシャという神様を推しているのか教えてくれた。
ガネーシャは、火曜日に宿る神様だというのだ。
彼女のお子さんが火曜日に生まれたから好きなのだという。
火曜日に生まれた子供は、火曜日の神様が授けてくれたということなのだろうか。
自作のお弁当は、火曜日限定のイベントらしい。
ベジタリアンではないが、火曜日だけはなるべくお肉は食べないようにしているそうだ。
火曜日しかランチをご一緒しないので、気付かなかった。
信仰には、人それぞれ理由がある。
教えてくれて、ありがとう。
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