踏み切る踏切
まるでサハラ砂漠みたいに、見るもの全てが砂色に染まった午後3時過ぎのホームタウン
僕はママチャリにまたがって、ひとり踏切の前でぼんやりエンジ色の電車が通過するのを待っていた。
線路の向こう側の蜃気楼のような何かでゆらゆら揺れる灰色のアスファルトの先には、オアシスとかじゃなくて、ありきたりな建売住宅の白くて四角いブロックたちがまるでレゴみたいに積み重なっていた。
その様子を目を細めて見つめながら、気づいたら
「みんな知らないだろうけど、僕って実はめちゃくちゃ面白いんだよ」
負け惜しみでもなく強がりでもなくて、自信満々に頭の中でそうつぶやいている自分がいた。
ぶっちゃけ、あの頃の自分には大丈夫なことなんて何一つとしてなかったけど、なぜだろう。
このとき、
「ああ、僕はたぶん大丈夫だ」
って分かったんだよね。
そして、その予感は見事に的中した(たぶん)
で、案外、みんなそんなもんじゃないのかな、って思ってる。
そう
本当は君も気づいているんだろ。
こんな自分のこと、まんざらでもない
ってさ。
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