サンタクロースが死んだ夜に
今晩、息子と二人でとびきりおいしい町中華を食べた後、自転車を漕ぎながらの帰り道で、彼がやたらとサンタクロースの話ばかりしていた。
それが不思議で仕方がなかったのだけど、家に帰って、音楽好きの友人から、あるニュースを聞いて、
ああそういうことだったのか
と僕は妙に納得してしまった。
そう、今日は、
サンタクロースが死んだ日だから
だから、息子は、しきりに
「サンタクロースって本当にいるよね?」
って不安げに僕に問い続けていたのだ。
と言っても彼のことをサンタクロースだと知っているのは世界中で僕ひとりかもしれないけれど。
だって、一見したらどこから見ても彼はサンタクロースとは正反対のルックスだったしね。
まあ、せいぜい年をとってからはやし始めた白いあごひげは、なんとなくサンタクロース見習いくらいには見えなくもなかったけれど。
でも、そのゴツゴツと骨太な渋いロックな佇まいとは裏腹に、彼の目の奥にずっと宿っていたゆらゆらと儚げに揺れる光は、まさに、サンタクロースのそれだった。
僕らが知っているあの赤いサンタクロースは世界中の子どもたちにプレゼントを届けてくれるけど、この黒いサンタクロースは、
プレゼントを送る代わりに、当たり前みたいな顔をして大人になってしまった僕たちに向かって、そのしゃがれた声で、
サンタクロースを信じる心を忘れちゃいけないぜ
ってずっと歌い続けていた
って僕は勝手に思っている。
ちなみに、うちの息子は10歳になった今でもまだサンタクロースを信じている。
それは、完全に僕のせいだ。
だから、どうせなら、一生、サンタを信じさせたいと思っている。
ちなみに今年の彼の欲しいプレゼントは、魔法の杖だけどね
まあ、なんとかなるだろ
なあ、そうだよね?
チバさん
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