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バカボンのパパとママとバカボンなのだ

「おい、クソジジイ!」

これ、先週の日曜日の朝に、おはよう代わりに妻が僕に放った一言。

誠に遺憾ながら、本当のこと(ザ・ノンフィクション)である。

どうやら、休日なのに朝早く起きた僕がリビングで音楽を流していたせいで、無理やり起こされてしまったのが腹立たしかったらしい。

これ、アメリカのDadなら、

「やれやれ、今日の朝食は、やけにハードボイルド(硬ゆでたまご)じゃないか・・。」

などと気の利いたアメリカンジョークのひとつでもつぶやくところなのだろうけど、いかんせん僕は典型的な日本人なので、何も言えずに、でも、あまりにもあまりのこと過ぎて、思わず吹き出してしまった。

そして、その数分後、今度は息子が目をこすりながら現れてきた。

僕は味方が来てくれたとばかりに、彼に向かって、

「おはよう!今からお父さんとスマブラやろうよ。」

と声をかけるも、まだ寝ぼけていて聞こえなかったのか、完全にスルーされてしまった。

しかし、僕の目の前を通り過ぎた彼はちゃんとSwitchの電源を入れてくれたので、

「ああ、聴こえてはいたのね・・・。」

とホッとしたのも束の間、液晶テレビに映し出されていたのはスマブラとは全く別のゲーム(フォートナイトという一人用の戦闘ゲーム)の画面だった。

その画面を見た僕は、当然ながら息子に向かって、

「お父さん、スマブラやろうって言ったやん。」

と抗議したのだけど、彼は

「うん。でも、僕はいいよとは一言も言ってないよ。」

とにべもない。

「そりゃあ、たしかにそうだけどさ・・。」

と一人でコントローラーを操作する息子の背中を見つめながら、僕はただ力なくつぶやくしかなかった。

まあ、かようなゾンザイな扱いを家では受けがちな僕ではある。

そう、一家の大黒柱なんて今は昔

父親の威厳なんてミジンコもありゃしない。

けど、強がりでも何でもなく、それでいいと心から思ってもいる。

というもの、確かに僕は、家の中で威張り散らしたり、ムスッと不機嫌でいられるほど、たいした人間では全くないし(というか、そもそもたいした人間はたぶんそーゆー態度をとらないと思うけど)、あと、実際、こーゆー仕打ちを受けても仕方がないくらい家では典型的なポンコツぐーたらダメ親父でもあるし・・・。

例えば先日だって、職場の飲み会で遅くなる妻の代わりに、作りおきのカレーを温めたり、風呂を洗って沸かすだけなのに、本当にたったそれだけのことなのに、その間にいろいろとありえないハプニングを起こして、帰ってきた妻からさんざんお小言を言われたばかりだし。

そりゃあ、朝のおはようの挨拶が「クソジジイ」になっても仕方ない

のだろうか…(涙目)

あと、猫のマルもどんなに頑張っても僕にだけどうしても懐かないし。

だから、当然、そんな僕には父親や家長としての威厳など皆無で、妻と息子のことも、人生という大海原を航海中のイカダを一緒に漕いでいる同じクルーメンバーという認識である。

そこには序列なんかない。

もちろん嵐や荒波に襲われそうになったときには、僕がリードする覚悟はあるけれど、それ以外の普通の穏やかな波の時は、本当に

みんな伸び伸び好きにやったらええやん。

って感じである。

で、当の本人が一番伸び伸びし過ぎて、家族全員から総スカンを食らっているというわけ。

でも、まあ、僕ほどではないにしても、妻も息子も家の中ではそれなりにちゃんとポンコツでいられているとは思う。

実際、妻はリアルサザエさんだし、一番、しっかりしているはずの息子も父親に似て、家事の類が一切できないし、あと勉強がちょっとヤバいレベル(このままではたぶんどこの大学にも受からないくらい)嫌いだし(苦笑)

でも、だからこそそんなダメな自分たちを何とかお互いに補い合ったり、励まし合ったりしながら、僕たちはこのボロいかだをみんなで漕ぎ続けている。

で、それは実はそれなりに楽しい航海でもあったりする。

そして、本当にごくたまに、それこそオリンピック開催と同じくらいの頻度ではあるけど、

「お父さん、いつもありがとね」とか

「お父さんとお母さんの子供でよかった」

とか

言ってくれるから、結局、

これでいいのだ!

とまるで天才バカボンのパパみたいなこと言って

開き直っているのだ(笑)

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