友だちのふり
先日、仕事の件で電話したら、なんだか普通にあっけらかんとまるで友だちみたいなノリでお互い話せたのが、とても意外で、とても嬉しくもあったから、思わず、最後に
「今度、またいつものメンバーで飲むんだけど、Fちゃんもどう?」
なんて言ってしまいそうになったくらいだった。
でも、やはりやめておいた方がいいと思ったから、やめた。
なんて意味深な発言をしているけれど、別に彼女との間に何かあったわけじゃない。
ただ彼女とは、10年くらい前に毎週のように飲み歩いていた友人同士だったに過ぎない。
うん、ある日、酔っ払った彼女が2人きりのカラオケルームで、突然、僕の肩に頭を乗せて涙を一筋流した姿にドキドキしてしまったことと、岡村靖幸のあの歌を聴くたびに、あの頃の自分の気持ちをまざまざと思い出す以外は、ね。
そして、時間は、きっと最高の漂白剤なのだろう。
だって、もうあの頃の胸を焦がすような苦い思いはすっかり薄れて、ほんのりと甘いスイートメモリーだけが心の片隅にかすかに残っているに過ぎないのだから。
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