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【ちきゅう留学 そのご】vol.10 あぐり 〜自信を持ってわくわくする方へ〜

「ちきゅう留学 そのご」はちきゅう留学参加後の、参加者の歩みを紹介していくメディアです。ちきゅう留学を経て、それぞれが今考えていることや、挑戦していることなどを紹介することで、ちきゅう留学ファミリーの繋がりを深めたり、新たなつながりを結べたり、お互いに励まし合ったり、知恵を出し合ったり、そんな”共創”のきっかけになったらと思っています!

vol.10 でお話を聴くのは、ちきゅう留学2023に参加し、現在は佐々木ファームで働く上地亜久里(うえち あぐり)さん。ちきゅう留学で何を感じたのか、どうして佐々木ファームで働くに至ったのか、たくさんお話を伺いました。

インタビュワー:とび、てんき

自己紹介

ー まずは簡単に自己紹介をお願いします!

上地亜久里(うえち あぐり)と言います。1999年5月17日生まれで、沖縄出身です。今は皆ご存知、佐々木ファームで働いています。

ー ちきゅう留学に参加しようと思ったきっかけはなんだったの?

元々、Z世代の人たちで環境問題とか社会問題に取り組んでいこうっていうコミュニティに所属していたんだけど、2022年の秋にその団体とちきゅう留学がオンラインでコラボイベントをしたんだよね。そこで麻紀さんの話を聞いて、ちきゅう留学を知って。いろんな人との出会いを求めて動いてた時だったし、「この機会に人生初北海道行っちゃおうかな」って。あとは野菜とか農業に対しても興味があったこともあって参加しようと思ったかな。

ちきゅう留学2023に参加して

ー そうだったんだね。実際に来てみてどうだった?

まずはやっぱり洞爺の大自然に圧倒された。羊蹄山がバーンって目の前にあって、農地が広がっていて。あとは野菜がもう全部本当においしくて。一日目にみんなでとって食べたとうもろこしだったり、掘りたての人参だったり、どれも本当に美味しくて。土つきで人参を食べることなんて普段ないしさ。自分も参加者のみんなも笑顔になってるの見て、自分でつくった食べ物で人を幸せにできるってすごいなって思った。

ちきゅう留学2023にて。奥に映るのが羊蹄山

ー あぐりはちきゅう留学を全力で楽しんでくれていた印象があるよ

うんうん。合間合間にみんなとふざけて、思いっきり笑い合ってた時間とかもすごく楽しかったし記憶に残ってる。けど実は、最初は結構緊張してたんだよね。誰も知り合いのいないイベントに飛び込むのが久しぶりで。空港の集合場所に向かう時とか、もう30人集合してるんだろうなってすごくどきどきしてたのを覚えてるな。でもいざ参加してみたらすごい仲良くなれて、ここで出会ったメンバーは、参加者も大人の方もすごく特別な感じがしていて、終わってからもずっと繋がっていたいなって思う人がたくさんいたんだよね。

ちきゅう留学2023にて。左から2人目があぐり

佐々木ファームの野菜一つ一つがそれぞれに個性があって輝いてたみたいに、あそこにいたみんな一人一人が輝いてたというか。うまく言葉にするのが難しいけど、それぞれが自分らしく、自分の色を持って3泊4日過ごしてたなっていうイメージがあるんだよね。去年のテーマが「今」だったと思うんだけど、自分は本当に全力で今を生きたなって思う。すごく過ごしやすい空間、時間だったし、それをつくってくれたのはそこにいた人たちみんなだから、やっぱりちきゅう留学のメンバーは自分にとってすごく特別感があるなって思う。

ー うんうん、そうだよね。特に印象に残ってる場面とかはある?

一番印象的だったのは3日目の夜のバーベキューかな。運営のれおとかと一緒に、めちゃくちゃ肉焼いたりとか、運営の手伝いをいろいろやってたんだよね。でも、誰かに手伝ってって言われてやったわけじゃなくて、勝手に体が動いちゃって。そんなふうに無意識的に手伝ってる自分がなんか不思議で、俺ってこんなに人のために動けるんだって自分自身に驚いたんだよね。みんなからたくさんアース(※)をもらったり、お礼を言ってもらったりして、誰かのために働くのってこんなに嬉しいことなんだって気づいたな。

ちきゅう留学2023、バーベキューの様子

コンテンツの途中で、麻紀さん(佐々木ファーム代表)が「人は自分のためよりも誰かを思った時の方がパワーが出るんだよ」って話をしていて、それを実際にあの時に体験したなって。それですごく印象に残ってるんだよね。

(※アース=ちきゅう留学2023のイベント中に自分が価値や感謝を感じたときに贈る印として使っていた葉っぱのこと)

ー そうだったんだね。あぐりは閉会式の時にもみんなの前でマイクを持って喋ってくれたよね

そうだった。人前で話す機会があんまりなくて、すごい緊張してモジモジしてたら、運営のモモが「これでも持って落ち着きな」ってカボチャをくれて、それを脇に挟んで喋ったんだよね(笑)。どんなこと言ったのかは正直あんまり覚えてないんだけど、「またここに帰ってきます」って言ったような気がするな。

ちきゅう留学2023の閉会式にて

佐々木ファームで働くまでの経緯

ー そして今こうやって佐々木ファームにいるんだもんね

そうだね。一番初めのきっかけは、ちきゅう留学が終わって沖縄に帰った後に、運営だったれおから電話がかかってきて。10月に札幌でマルシェをするからあぐりも遊びに来てよって言われたんだよね。

ちきゅう留学が終わって結構すぐだったから少し迷ったんだけど、せっかくだからと思って行ったんだよね(笑)。佐々木ファームに行ったり、既に洞爺に移住してた2023運営の5人とも会ったりして。

マルシェに集まったちきゅう留学メンバー

洞爺に移住したみんなから「あぐりも洞爺にこいよ!」って言ってもらったんだけど、旅行みたいに行くのも違うなって思って。洞爺で自分も貢献したい、何かしたい、っていう思いがあったんだよね。

でもあまりピンとくる方法がなくて、どうしようどうしようってモヤモヤしてたとき、ふと、そういえばなんでそもそも洞爺と出会ったんだろうって考えたことがあって。あ、そうか、ちきゅう留学があったから、もっといえば佐々木ファームがあったからだなって気づいて。元々農業には興味があったから、「佐々木ファームで働く」ってことができないかなって思ったんだよね。

ー なるほど、そうだったんだね。それで麻紀さんに相談したの?

いや、偶然、ちょうど麻紀さんから連絡をもらったんだよね。ずっと休学してファームで働いてたてんき(ちきゅう留学2023代表)も復学するからファームを離れるっていうタイミングで、「あぐり、ファームにこない?」って。実は10月に行ったれおのマルシェの後、佐々木ファームに行ったときに、洞爺に住みたいってことは話していたし、俺がこれからの人生のことで悩んでるってことも麻紀さんは知ってて。「一緒に働きながら将来のことを考えていこうよ」って言って誘ってくださったんだよね。

ちきゅう留学2023でのあぐりと麻紀さん

ちきゅう留学で出会った運営のみんなも洞爺でカフェ(めぐりや)をするっていうから、それは行くしかないなって思ったんだよね。ご縁とタイミングに身を任せようと思ったし、これに乗るしかないって思って、即答で「お願いします」って。それで洞爺に来たのが3月の頭だった。

(↓めぐりやについてはこちらの記事を参照↓)

佐々木ファームでの日々

ー そうだったんだね。すごいご縁とタイミング。洞爺に住み始めて4ヶ月近くたつわけだけど、ファームでの日々はどうですか?

すごく充実してて楽しく過ごしてるよ!実際働いてみて気づいたけど、農家って本当にやることが永遠にあるんだよね。閉店時間があるわけでもないし、軽トラのライトをつけて夜遅くまで苗を植えたりすることもあって。毎日朝出勤してもいつの間にか夕日が見える時間になってる、みたいな。来た頃は雪があったけど、春になって鳥の鳴き声がするようになって、景色が変わって。気づいたらもう夏!みたいな。毎日があっという間に過ぎていく。日々色んな野菜を見たり、麻紀さんやファームのスタッフさんたちとの話の中に発見とか学びがたくさんあるな。

佐々木ファームは、収穫した野菜を自分たちで直接お客さんに販売、発送しているから、その一連の流れを経験させてもらって、毎日色々考えさせられてる。それに加えて、修学旅行の受け入れがあったり、人の出入りが激しいから、いろんな人と出会えるし、刺激もたくさんあって。そういうところにこのファームで働いている嬉しさを感じてます。

ー 野菜への見方も変わったりしたのかな?

最初の頃は、畑の作業をしながらぼーっと自分のことを考えてることが多かったんだけど、麻紀さんに「自分のことを考える時間じゃなくて苗を植える時間だからちゃんと思いを持って植えてね」って言ってもらったことがあって。それからは苗を植えるっていうことにちゃんと集中して、思いを込めて取り組むようになった。それから、いろんなことを感じられるようになったり、時間を忘れて植えちゃうこともあるくらいで、今は苗を植える時間が結構楽しいし、好きだなって思う。

佐々木ファームにて(2024年6月)

あと野菜もだんだんかわいく見えてきたっていうか。「やっぱ生きてんだなぁ」って思うんだよね。「いのち」って言われてもね実際わかんないところがあるじゃん。でも、少しずつ変化していって最後には実がついてっていうのを実際見てると「やっぱ生きてんだなぁ」って。苗植えの時とかも「おいしくなれよ」とか、気づいたら野菜に声かけながらやってたりして。麻紀さんだったりファームのスタッフさんから学びながら、俺もちょっとずつだけど野菜に対して思いを寄せて毎日お仕事できてるなぁってところはあるかな。

ちきゅう留学を通しての変化

ー 話は少し戻るけど、ちきゅう留学の前後で「ここが変わったな」って思うこととかはあったのかな

ちきゅう留学前は自分に自信がなかったというか。自分が所属してたコミュニティも「社会活動家」みたいな、何かしらに取り組んでる人が多くて、自分は環境問題とかも知らずにそのコミュニティに飛び込んじゃったから、自分は何もやってないってところで自信無くしたりしてたんだよね。ちきゅう留学でも最初の頃はやっぱり同じような感じで、みんなすごいなって思ってたし、自分を認めきれてない部分があったんだよね。でもちきゅう留学のコンテンツの中で色も形も違う個性豊かな野菜を見たりとか、そしてその野菜がファームの大地のパワーと雨とか太陽とか、自然の恵みで育っていくっていう話を聞いたりする中で「やっぱり俺は俺でいいんだな」って思えたんだよね。いろいろ手を加えたりせずに、ただ生きていいんだなって思うことができて。それから自信を持って決断をできるというか、楽しいとかワクワクするとか、そういう直感を軸にできるようになったというか。それで佐々木ファームに行くって決断もすぐにできたんだよね。

ちきゅう留学2023にて

ー 佐々木ファームに行ってから変化したなって思う部分はある?

洞爺って世間一般的に見たら「何もない」って言われるような辺境の場所なんじゃないかなと思うけど、でもだからこそすべてあるっていうか。そんなことをこの四ヶ月、洞爺で過ごしながら体感しているかな。そういう人間の本質的な、根本にある幸せっていうか、本当に美味しいものを食べるとか、大切な人と一緒に過ごすとかそういうな、お金じゃ買えない幸せっていうのがあるんだなあと知って。本当に、多くを求める必要なんてないんだなぁと。今生きていることに対して、幸せだなって感じることが本当に多くなった。自分でも実感できるぐらい。最近は表情というかなんかオーラに出てんのか、みんなから「なんか幸せそうだね」って言われることが多くなった。

佐々木ファームにて(2024年6月)

今後について

ー 今年のちきゅう留学は佐々木ファームのスタッフとしてその場にいてくれるんだよね!

そう!去年とは全然視点が違うし、運営のみんなともまた立場が違うから、それがすごい楽しみで。自分がファームで感じてることを伝えて、参加者の心に少しでも残るものがあればいいなぁって今は思っているよ。

ー あぐりの展望が聞きたいです!

とりあえず一年は佐々木ファームにいるつもり。農家としての一年のサイクルを見てみたいっていう思いが強くて。その上で、野菜をつくるっていう仕事が自分に向いているのかなっていうのを考えたいなって思ってます。

もっと大きなことで言えば、選択を大事にしていきたいなって思っていて。人間は一日一日、生きてるだけでいろんな選択をしてると思うんだけど、自分もいろんな選択を何百個も何千個も何万個もして、それが積み重なって今こうやって佐々木ファームに来ていて、みんなとこうやって繋がっているんだよね。それが本当に嬉しいし、尊いことだなって思うんだよね。

ちきゅう留学2023にて。左から2番目があぐり

想像できないと思うけど、実は結構暗い過去もあって。俺、大学行ってないんだよね。普通に大学行って沖縄で就職するんだろうなって思ってたんだけど、それができなくて。高校生の時は勉強頑張ってたからその時挫折したというか、苦しくて。「死」をちょっと考えていたような時期もあったりして。でも今思えば、どっかの選択がちょっとでもずれてたらこうやってみんなと出逢えてないし、佐々木ファームにもいなくて。「大学に行かなかったこと」って当時はすごいマイナスに感じてたけど、今思えば大学に行かなかったからこそ今があるんだよね。

そうやって自分の選択が実を結んだというか、繋がったっていう体験をしたからこそ、やっぱり一つ一つの選択って大事だなと思って。直感的でもいいし、ちゃんとした理由があってもいいんだけど、後悔しないように、自信を持って、「こっちが好きだからこういう選択をする」っていうのを続けていいきたい。将来のことは正直わからないけど、縁とタイミングに身を任せて、自分が「好き」って思える方を選択していった先に、自分の人生はどうなるんだろうっていうワクワクを感じてます。

最後に

ー ちきゅう留学ファミリーに伝えたいことがあれば!

まずは「ちきゅう留学2023」で出会ってくれたメンバーには本当に出会ってくれてありがとうって言いたい。みんながいたからこそ俺も今こうやっていられてるなっていうのを感じてるから、本当に感謝の気持ちでいっぱいで。みんな全国バラバラだけど、どこかでまた出会ったときにはちきゅう留学の話とかして、思い切り笑い合えたらいいなぁっていうのは思ってます。まだ会ったことのないファミリーの皆さんとどこかで出会えるのもすごい楽しみにしてます。

あとは支援者の方々に伝えたいのは、佐々木ファームでのちきゅう留学は、今の若者たちが本当に求めているものというか、ずっとあり続けてほしいイベントで。こうやって4年間もイベントが続けられてるっていうのは本当に支援者の方々がいてくださるからなので、本当にありがとうございますって伝えたいし、自分は今ファームにいるので、おいしい野菜を送ることで皆さんに還元できればいいなと思ってます

そして、みんな洞爺に帰ってきてねって伝えたい!洞爺で待ってます。遊びにきてね。

佐々木ファームにて(2024年6月)

ー 最後に、あぐりにとってちきゅう留学とは

スタートするための勇気をくれる場所かなって思ってて。あそこでたくさんのことを感じて、人生の第二章が始まったなって思うから。まさか沖縄から北海道に移住して農家になるなんて思ってもなかったし。

ちきゅう留学って、自分の存在価値だったり、役割だったり、生きてる意味みたいなのを教えてくれる場所なんだよね。3泊4日、それぞれが、自分が輝ける場所で輝いてのをめちゃくちゃ感じて。ちきゅう留学というか佐々木ファームってそれを自然に教えてくれる場所なんだよね。あそこが自分の原点というか、そういう場所だなって思います。

「ちきゅう留学 そのご vol.10」を読んでいただきありがとうございます!
是非是非あぐりとつながっていただけたら、そして佐々木ファームに、あぐりに会いに行ってもらえたら嬉しいです。

これからも、ちきゅう留学のその後の巡りをお伝えしていきます。次回もお楽しみに!

<あぐりへのコンタクトはコチラから!>
Instagram:https://www.instagram.com/agurinappi0517?igsh=dWl3b3BidzhoeTRp

interviewer : Yu Tobikawa , Tenki Maruyamano
editor :Yu Tobikawa ,Tenki Maruyamano
creative designer :Yu Tobikawa , Tenki Maruyamano

ちきゅう留学

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