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7秒タイムマシン 第28話 賢者との出逢い

第28話 賢者との出会い

レン、エミリ、そしてアヤカは、光の塔の階段を上り続けた。長く続く石の階段を登るたびに、彼らの心は不安と期待で高鳴っていた。やがて、階段の終わりが見えてきた。そこには、重厚な扉があり、その向こうから温かい光が漏れ出していた。

レンは深呼吸をし、扉に手をかけた。エミリとアヤカが彼の隣に立ち、彼を見つめる。レンは二人に微笑みかけると、力を込めて扉を押し開けた。

扉の向こうには、広大な円形の部屋が広がっていた。部屋の中央には大きな光の柱が立ち、その光の中には、三人の賢者が浮かび上がっていた。彼らは、白い長衣をまとい、神秘的な雰囲気を纏っていた。

レンたちはその光景に圧倒されながらも、ゆっくりと部屋の中央に進んでいった。賢者たちは、彼らが近づくのを静かに待っていた。やがて、三人が光の柱の前に立つと、中央の賢者が口を開いた。

「ようこそ、旅人たちよ。私たちはアルケンの賢者。時間と次元を司る者です。」

その声は静かでありながらも、深い力強さを感じさせるものだった。レンは頭を下げ、丁寧に言葉を返した。「私たちは、元の世界に戻るためにここに来ました。どうかお助けください。」


賢者は頷き、続けて言った。「レン あなたは、記憶にないかもしれませんが、過去に戻って妻と娘の命を救いに行きましたね?過去をほんの少しでも変えてしまうと、その後の未来が必ず変わってしまいます。あなたの行った行動が原因で大変な事になってしまいました。本来ならば、エミリさんとアヤカさんは、この世にいてはいけない存在なんです。」

レンは、「確かにうっすらと記憶にありますが、妻と娘を救う事がそんなに悪い事なんですか?」

「そうじゃありません。あなたの行った事が原因で、タイムパラドックスが起きてしまいました。これを修正するのは本当に大変でした。でももう終わった事です。本来ならば、ここでエミリさんとアヤカさんには、消えてもらうつもりでしたが、やめることにしました。あなたたちがここにたどり着いたのは、決して偶然ではありません。」

レンが唾をのんだ!

賢者は続けた。「よく耐えました。あなたたちは信頼の絆を証明しました。」中央の賢者が言った。「これであなたたちは元の世界に戻る資格を得ました。」

レンは安堵の表情を浮かべ、「本当に…戻れるんですね?」と尋ねた。

賢者は頷き、手をかざすと、一筋の光がレンたちの周りに広がった。「さあ、目を閉じてください。次に目を開けたとき、あなたたちは元の世界に戻っているでしょう。」

三人は目を閉じ、光の温かさを感じながら、心を落ち着けた。光が次第に強くなり、彼らの意識が薄れていく中で、三人は互いの手を強く握りしめた。

やがて、光が消え去り、三人は静かに目を開けた。彼らの目の前には、見慣れた家の部屋が広がっていた。窓の外には、一つの月が穏やかに輝いていた。

「戻ってきたんだ…本当に戻ってこれた。」レンが呟いた。

エミリは感激の涙を浮かべながら、アヤカを抱きしめた。「もう二度と離れないわ。私たちは家族だから。」

アヤカも嬉しそうに笑い、「パパ、ママ、私もずっと一緒にいる!」と言った。

三人は肩を寄せ合い、元の世界に戻れたことに感謝し、家族としての絆を再確認した。彼らはこの冒険を通じて、より強い絆で結ばれた家族として、新たな日常へと戻っていった。

しかし、彼らの心には、アルケンの世界での経験が深く刻まれていた。そして、その絆が彼らをこれからの未来においても支え続けるだろう。


つづく

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