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7秒タイムマシン 第7話 覚悟の墓参り

第7話  覚悟の墓参り

そうだ!大事なこと忘れてた。

タイムマシンを使う前に、妻と娘の墓参りに行っておこう。

俺がこのままどの世界にも戻れなくなったら、行けなくなってしまう。

そこでレンは電車を乗り継いで墓参りに行くことにしたのだ。

10年後の電車は改札口も無く、電車の運転手もいない。

全ては顔認証で完結するのだ。

妻と娘のお墓に着くと、そこはほとんど変わっていなかった。

だけど、あれっ??
妻と娘の名前以外にも、もう一つ名前が刻まれていた。

よく見ると、.....俺の名前!
えっ?どういう事だ?少し考えた。

俺も死んだのか?
そうか。
あの事故の後、悲しすぎてエミリとアヤカの所にすぐに行くからね!

そう考えていた記憶がよみがえってきた。俺は生きていなかったんだ。

父の7秒タイムマシンがなかったら、今の俺も存在してないってことか?

これがタイムパラドックスなのか!

あの事故が原因でみんな死んだのか?

何とかして事故が起こる前に、戻ることはできないだろうか?

そう考えるのは自然な流れだった!

レンは、妻エミリと娘アヤカの墓前に立ち、深く頭を下げた。

「エミリ... アヤカ... 俺がここに来られるなんて、本当に奇跡だ」

10年ぶりに見る妻と娘の墓碑に、レンの胸は痛んだ。

そして、自分の名前が刻まれていたことに、レンは大きな衝撃を受けていた。

「俺も... 死んでいたのか...」

あの事故の後、悲しみに打ちひしがれて、自らの命を絶ったのかもしれない。

「父さんの7秒タイムマシンがなければ、俺は今も存在していないのだろう」

レンは、自分の運命がどのように変わっていたかを思い巡らせた。

そして、ふと別の可能性を考えた。

「もしかしたら、俺が死ぬ前に、父さんの遺産を使って過去に戻ることができるかもしれない」

事故が起きる前の過去に戻れば、自分の家族を救えるかもしれない。

レンは、7秒タイムマシンの前に立ち、その操作方法を再確認した。

「父さん... 俺はあなたの遺産を最大限に活用して、家族を救う」

レンは、7秒タイムマシンのスイッチを入れた。

そして、時間の渦に飲み込まれていった。

まるで宇宙空間を旅するような感覚。時間と空間が歪み、レンの意識はさまよっていく。

「ここが... 過去への扉か」

レンはしっかりと7秒タイムマシンの操作を続けた。

「俺は、必ず過去に戻ってあの事故を防ぐ!」

しかし、予期せぬことが起きた。

突然、時間の渦が激しく揺れ動き始めたのだ。

「な、なんだ!?」

レンは慌てて操作を続けるが、時間の流れがコントロールできなくなっていく。

「ダメだ、何か大変なことが起きている...!」

そして、次の瞬間、レンは時間の渦に呑み込まれてしまった。

「ぁあぁぁっ!」

レンの悲鳴が、時空を越えて響き渡る。

目が覚めると、レンは見知らぬ場所に立っていた。

「ここは...!?」

周りを見渡すと、どこにいるのかまったくわからない。

「時間の流れが... 狂っているのか?」

レンは、7秒タイムマシンの操作に失敗したのか、まったく見当がつかなかった。

7秒タイムマシン 第8話 時間の狭間|かずきっす (note.com)

#創作大賞2024 #ミステリー小説部門 #タイムマシン

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