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リアル料亭・ガチ仲居 第六話

第六話 空盆


 フレンチやイタリアンでは、お客様が食べ終えた皿は給仕がすぐに持ち去ります。ですが、和食では御膳《おぜん》に皿が乗っていない状態を、空盆《からぼん》と呼んで忌避《きひ》します。
 
 たとえ空になったお皿でも、仲居は次の料理をお運びするまで下げません。
 和食では器も愛でて欲しいからです。
 これは茶道にも通じます。
 飲み終えたあとで茶器を愛でる。それも礼儀のひとつです。
 
 空になった器を仲居が下げやすいように、お客様ご自身で御膳から出される方も多いです。
 ですが、基本的に会席では、器は御膳の外には出しません。
 ただ、料理がどんどん運ばれてしまい、御膳に乗り切らなくなってしまった場合は例外です。
 運ばれた料理の順に御膳に乗せ換え、召し上がって下さいませ。

 家庭料理のように、たまった料理をあっちこっち突つくのは、お料理の味が口の中でごちゃまぜになってしまいますので、こちらもあまり、よろしくない。
 温かい料理は熱々のうちに。冷たい料理は冷たいままで、一品ずつキレイに召し上がって下さるお客様は、やはりスマートに見えますよ。

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