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令和5年9月本会議での個人質問

近年、公民連携の形をとる自治体が増えて参りましたが、本市では、市や民間事業者、NPO法人に加え、教育機関等との公民学連携により、市民サービスの向上や地域課題の解決をめざす取り組みが推進されています。

以前、本会議にて他の議員の質問に応え、「公民学連携」や「公」と「民」の言葉の指すものについて都市経営部長より説明がございました。

「公」については、主に行政を含む公共団体を、「民」については、市民をはじめ市民活動団体、民間事業者を指しており、また、本市での「公民学連携」という用語は、行政と民間事業者、行政と市民活動団体の関係性のみならず、市民活動団体と民間事業者、民間事業者同士の連携も含め、多様な主体がつながり合って取り組んでいくという意味で使っているとあり、より重要性と必要性を感じると共に、連携について理解が深まった次第です。

その中において、今回は子どもや子育てに関する連携、さらに地域での行政や学校等との連携についてお尋ねいたしました。

子ども・子育て支援における公民学連携

①昨年12月の個人質問にて、門真市の「子どもLobby」を事例にあげ、子どもの支援における公民連携の取り組みについてお尋ねしたところ、本市においても子どもの居場所づくりに公民連携で取り組んでおり、引き続き関係部局や関係機関等、また連携協定締結企業、SDGsパートナー登録団体や公民学プラットフォーム登録会員等と連携した取り組みを進めていくと答弁いただきました。
 まずは、その後の取り組みについて具体的にお聞かせください。

〔答弁〕
子どもの居場所における民間企業との連携につきましては、明治安田生命保険相互会社と連携している事例があります。同社が複数の子どもの居場所に職員を派遣して、ボランティアとして継続的に関わっていただいています。
 また、子どもの居場所の実施団体と庄内さくら学園、庄内コラボセンターが連携して学習支援を実施する予定であり、行政・学校との連携についても取り組みが進んできています。

子どもの居場所ネットワーク事業について

②子どもの居場所と企業、また、市や学校との連携が進められていると理解いたしました。
 では、本市の「子ども居場所ネットワーク事業」において、このような企業との連携や資源開拓等を担う圏域コーディネーターの取り組みについて現状を教えてください。
 また、子どもの居場所を応援する人的資源とのマッチングにも取り組まれ、様々な知識や特技を有する「いこっとサポーター」を人材バンクとして登録されていますが、居場所への派遣状況についてお聞かせください。

〔答弁〕
「子どもの居場所ネットワーク事業」におきまして、日常生活圏域を担当する「圏域コーディネーター」は10名います。「圏域コーディネーター」は、担当圏域内にある子どもの居場所を巡回し、企業を含む地域資源についての情報収集などを行っており、企業と子どもの居場所をつなぎ、様々な体験活動などの調整役を担っています。
 また、「いこっとサポーター」については、専門知識や工作遊び、音楽遊び等のスキルを持つ方20名に登録いただいており、今年度は8月末時点で子どもの居場所に7回派遣しております。

③子どもたちと触れ合う中で、子どもにとって様々な体験が成長に大きく影響を及ぼすことを実感しております。是非とも更なる活性化を図っていただきたくお願いいたします。
 さて、「子どもの居場所ネットワーク事業」においては、居場所同士の連携への取り組みも重要な役割であると認識しておりますが、それらの内容についてお聞かせください。
 また先般、緊急の支援を要する事態に陥られた親子への対応において、居場所の運営者と行政、社会福祉協議会の連携により解決に至る事例がありました。救済制度もなく、特に連休中にて体制が整わない困難な状況でしたが、中心となり対応にあたられた居場所運営者の方から、行政担当者の方々が速やかに動いてくださったとのお声をいただいております。
 今回のケースは三者の日頃からの密な関わりやコミュニケーションの賜物であり、容易に築いていけるものではないかと思いますが、このような支援が必要な子どもやその家庭を支援につなげていくために、子どもの居場所と行政、関係機関との連携の仕組みづくりが早急に求められると考えます。
 市の見解をお聞かせください。

〔答弁〕
 校区内に複数の居場所がある地域では、「子どもの居場所ネットワーク事業」で実施している地域交流会を機に、各居場所の実施日のカレンダーを作成して共有することや、校区内の各居場所を子どもに紹介する等の連携が始まっております。
 また、支援が必要な子どもやそのご家庭については、はぐくみセンターが支援の司令塔となり、児童育成支援拠点を含む支援が必要な子どもの居場所を拡充し、体系的にネットワーク化する取り組みを進めてまいります。
 さらに児童育成支援拠点の代表者を要保護児童対策地域協議会の構成員に含めるなど、子どもの居場所と関係機関との連携の仕組みづくりについても検討してまいります。

④様々な取り組みはじめ、仕組みづくりに前向きなご答弁をいただきありがとうございます。特に児童育成支援拠点の代表者を要保護児童対策地域協議会の構成員に含めることについては、支援の体勢が一層充実することと期待しますので、是非とも進めていただけますようお願いしておきます。   
 さて、「こども政策の充実・強化」を来年度の経営戦略の重点政策に位置付け、計画的に取り組みを進めていかれますが、その中で支援が必要な子どもの居場所を拡充していくことが示されております。
 現在、実施されている子どもの居場所との関連も含めて、今後の全体像についてお聞かせください。

〔答弁〕
 子どもの居場所に関する今後の全体像については、はぐくみセンターが司令塔となり、児童育成支援拠点、豊中型認定居場所、一般居場所の三層構造を考えております。
 まず、児童育成支援拠点と豊中型認定居場所は、支援が必要な子どもを対象とする居場所で、合わせて市内に18カ所設置してまいります。なお、両者は開設日数などの諸条件によって委託か補助かの違いを持たせる予定にしています。
 そして、現在実施されている誰でも参加可能な「子ども食堂」などは、一般居場所として整理し、引き続きすべての小学校区に広げてまいりたいと考えています。
 今後につきましては、既存の一般居場所同士をつなぐ横のネットワークに加えまして、児童育成支援拠点及び豊中型認定居場所をつなぐ、縦のネットワークを強化することによりまして、はぐくみセンターと子どもの居場所が一体となった包括的な相談支援体制を構築してまいります。

⑤ 子どもの居場所につきましては、以前より議論を重ねて参りましたが、その必要性をとみに感じる一方で、これまでのご答弁より担い手の確保や継続の難しさを認識しております。
 そのような現状において、三層構造での居場所の増設を掲げられ、「子育てしやすさNo.1」を目指す決意と覚悟を改めて感じ、さらに昨日の野村副市長のご答弁からは政策の体現に向けての強い意欲が伝わって参りました。
 昨日の議論にもございましたが、すべては人、人事にかかっていると言っても過言ではありません。職員の育成には全庁あげて取り組んでいくとの総務部長の力強いご答弁がございましたが、質の高い人材育成のため、現場での体験研修はもちろん、外部から専門講師を招くなど、十分な方策を講じて頂けますよう重ねて要望いたします。

学校支援コーディネーターについて

①さて、子ども・子育て支援において学校と地域の連携は必要不可欠であり、地域諸団体はじめ、NPO法人、地域の企業・経済団体等の橋渡し役を担う学校支援コーディネーターは、今後において公民学連携の要となり得るのではと考えます。
 そこで、学校支援コーディネーターについて幾つかお尋ねいたします。
 まずは、これまでの取り組みの成果や課題について具体的にお聞かせください。また、人材については地域活動などの経験や、学校・地域の状況を把握することが求められるとあり、担い手の確保において困難ではないかと推測されますが、現状についてお聞かせください。

〔答弁〕
これまでの成果としては、学校と地域の間で課題共有や連携の取り組みが進むことにより、子どもたちへのきめ細やかな教育活動や教育環境の整備などが繋がっています。
 学校からも、地域の人から地域の歴史や暮らしを学ぶ機会や、田植えなどの体験学習など、様々な体験や交流の場を通して、子どもたちのコミュニケーション力が向上するなど、地域学校協働活動から地域に根差した学校づくりの輪の広がりを感じたとの声が寄せられています。
 一方、課題としては、学校支援コーディネーターとなる人材や、活動に応じた地域ボランティアを確保していくことが課題であると考えています。
 担い手の現状については、それぞれの学校での退職後の教職員を中心に、PTA関係者、ボランティア経験者、地域諸団体の関係者の皆様に学校支援コーディネーターを担っていただいているところですが、配置が困難な状況にある学校区もございます。

②課題として人材確保を挙げられましたが、新たな人材発掘について、令和2年10月の答弁では、子どもとともに保護者にも参加いただける行事や、行事ごとに可能な範囲でご協力いただける方を募り、無理なく楽しく参加できるような工夫が必要と考えているとありました。
 一方、その後の答弁では、学校運営協議会の設置にともない、学校支援コーディネーターが中心となり、学校運営に関する基本方針の地域への周知や共有、活動への調整などを行うとあり、加えて、学校運営協議会の委員と兼ねる場合が多くなると想定されるとのことで、かなり高いスキルが必要になると考えます。
 このように経過とともに求められる人材が多様化しているように思われますが、見解と今後の方針及び展開について具体的にお聞かせください。

〔答弁〕
学校支援コーディネーターに求められる人材については、地域と学校をつなげる重要な役割として変わりはございません。
 今後の方針については、すべての学校区での配置をめざし、地域学校協働活動で活躍される地域の方々にも学校支援コーディネーターの就任依頼や、スキル向上に向けた継続的な研修の実施、市が実施する研修に関心のある方にも幅広く参加いただくなどの工夫、そして、これらの活動や取り組み内容の情報共有や発信を行うなど、幅広い人材の確保に努めてまいります。

③様々な工夫をもって幅広い人材確保に努めていくとありましたが、例えば他市では学校支援コーディネーター設置要綱を制定し、活動時間や謝礼について明確に示されていたり、会計年度任用職員として採用されたり、学校と地域との連携推進の要として位置付け、処遇されています。
 学校と地域の連携・協働の重要性や必要性がさらに認識される中、学校支援コーディネーターの立場や役割において発展、向上を目指すべきと考えますが、見解をお聞かせください。

〔答弁〕
 学校支援コーディネーターについては、教育委員会といたしましても、学校と地域の連携・協働推進の要として期待しており、担い手の確保や資質向上などについて、他自治体の状況や先進事例を、調査・研究を行うとともに、併せて、配置困難な状況にある学校区の課題解消に努めながら、全校配置を目指してまいりたいと考えています。

意見要望

 前向きなご答弁ありがとうございます。是非とも早急に進めてください。
というのも、令和3年11月25日に行われた第1回豊中市社会教育委員会議の議事概要には、委員の方のご意見として、「学校支援コーディネーターは、学校と地域の橋渡し的役割になるため、活動全体を見渡せるよう、ビジョンを共有できる研修が重要である。あわせて学校支援コーディネーターの新たな担い手の獲得も必要。」とあるように、現状の課題は2年前から指摘されています。
 これまでも人材確保に様々な方策を講じてこられたと理解はいたしますが、活動において何をどの程度すれば良いのか明確でなく、コーディネーターという名称にも、本来の役割を考えるとハードルが高いと思われる方も多いのではないでしょうか。
 例えば、学校支援コーディネーターの前段階として、「学校支援メイト」などの名称を設け、ボランティア活動から徐々にスキルアップしてコーディネーターへと移行させていく「発掘・育成プロジェクト」を立ち上げるなど如何でしょうか。新たな発想にて、学校と地域の連携・協働推進の要となる施策を打ち出していただきたいと期待しております。

高校生世代の社会的自立支援

①「こども政策の充実・強化」の重点政策のひとつでもある高校生世代の社会的自立支援についてお尋ねいたします。
 今年3月本会議でのご答弁にて、令和4年度の中学校3年生の不登校生徒は173名とあり、卒業後の進路状況につきましては、全日制の高等学校に進む生徒が4割程度、通信制過程の高等学校に進む生徒が4割程度、定時制課程、専修学校、各種学校や就職等に進む生徒は合わせて1割程度とございました。
 また、卒業時に進路未定の生徒は10名程度にて、教育委員会と若者支援担当課が連携・共有し、卒業後も継続した支援を進めているとのことです。
 その内容につきましては他の議員へのご答弁より、「市民協働部くらし支援課の若者支援総合相談窓口につなぎ、カウンセリングを中心とした支援を実施されている」と理解いたしましたが、支援における成果、また課題がありましたらお聞かせください。

〔答弁〕
 成果や課題ですが、若者支援総合相談窓口から、就学・復学、また、とよの若者サポートステーションなどを通じ就労につながるケースもあります。
 しかしながら、カウンセリング中心の支援だけでは、不登校やひきこもり状態の若者に必要な社会性や日常生活スキルの習得が不十分であると考えています。
 また、高等学校での不登校や中途退学時には、その情報が高校側から相談窓口には伝わらないため、適切なタイミングでの支援が難しいこともございます。

②それら課題への対策、また、このたびの取り組みにあります「高校生世代のひきこもり防止」について詳細をお聞かせください。

〔答弁〕
 今後は、不登校経験がある方など相談案内対象を拡大します。さらに、大阪府教育庁とも連携し、各高等学校に対し本市の相談窓口の周知を行います。
 また、カウンセリング中心の支援に加え、社会性や日常生活スキルの習得など学校生活や就労等自立を目指すプログラムに参加できる場の提供について、令和6年度の実施に向け、検討してまいります。

③ 支援においては相談対応の重要性を感じ、スキルの高い人材が必要であると考えますが、人材育成について現状と見解をお聞かせください。
 また、高校生世代の対象者が社会的自立のために肝要と思われる点についてお聞かせください。

〔答弁〕
 相談支援業務を委託している事業者へは、専門的な資格及び知識や経験を持つ相談員の配置を義務づけられています。困難ケースは、2ヶ月に1回、受託事業者及びくらし支援課の担当者のほか、外部の有識者を交えて検討会議を実施しております。複合的な課題を抱える困難なケースの対応には、調整力と支援力が高く、コーディネーター的な役割を担う人材の育成が必要になると考えております。
 不登校やひきこもり状態の高校生世代の対象者にとっては、自己肯定感の回復を図りながら、生活習慣の改善、地域での多様な人や同世代との交流を通じた様々な社会経験を積める場があることが重要です。まずは、自立していくための土台を固め、本人の状況やニーズを踏まえ、復学や就労に向けた支援へつなぐことが肝要であると考えています。

意見要望

 相談支援業務の受託事業者との常日頃からの関係性を構築され、一人一人に寄り添うきめ細やかな支援をされていると理解いたしました。
 時間や数字で割り出せない相談支援業務の大変さは、その現場に足を運び初めて見えてくるものであります。そして、やはりご答弁にありました調整力と支援力が高いコーディネーター的な役割を担う人材育成、また人材確保は必要不可欠であり、企画立案をした正職員が現場に触れ、施策に魂を入れることのできる人員配置を強く要望いたします。
 公民学が一丸となり、豊中市が「子育てしやすさNO.1」を成し遂げることを切に願い、質問を終わります。












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