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令和4年12月本会議での個人質問    

前回の個人質問では「寄り添い」について申し上げましたが、このたび地域のつながりづくりに主体的に貢献できる職員の育成を目指す地域食堂体験研修に参画された3名の方と活動を共にさせていただいた中で、市民への寄り添いとともに、実際現場に入り、場の空気に触れることの大切さを改めて感じました。

このような取り組みは高く評価するところで、是非継続していただきたく、また、これを機に職員の方が自ら現場に足を運ばれることにも繋がればと期待しております。

現場に出向くと市民の方々の状況や相談支援に携わっておられる方のお声から今必要とされる支援が見えて参りますが、その中で今回は「子どもを育む環境づくり」についてお尋ねいたしました。

子どもを育む環境づくりについて

義務教育終了後から18歳未満の子どもへの家庭での安心安全が保障されていない場合の対応、自立支援ができる場や制度について

「児童の権利に関する条約」は、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約であり、権利をもつ主体として18歳未満の児童を位置づけ、大人と同様ひとりの人間としての人権を認めるとともに、成長の過程で特別な保護や配慮が必要な、子どもならではの「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」を定めている。
 これまで主に義務教育期間の子どもへの支援についてお尋ねしてきたが、義務教育終了後から18歳未満の子どもへの虐待やネグレクトなど家庭での養育環境の安心安全が保障されていない場合の対応についてお聞かせいただきたい。

〔答弁〕
 児童に虐待などがあった場合は、年齢にかかわらず、まずは児童の安全確認を行い、その後速やかに保護者の状況や家庭感情など虐待につながる要因を調査し、養育環境改善に向けたアプローチを行う。
 例えば、親子関係不全の場合は関係性の改善に寄り添い、生活困窮や疾患等により養育が難しい場合は、福祉サービスの導入を援助することなどにより養育環境改善を進め、子どもが安心安全でいられるように支援している。

児童福祉法では、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やか育成されるよう努めなければならないとある。
 そのような観点より、義務教育終了後から18歳未満の子どもへの自立支援が出来る場や制度について改めて教えていただきたい。
 また、児童虐待等で保護者が監護することが不適切なケースについて本市で対応が可能であるか。

〔答弁〕
 義務教育終了後の不登校やひきこもり、就労等の相談に対しては、若者支援総合相談窓口にて、助言、カウンセリング、情報提供を行うとともに、関係機関と連携し自立に向けた支援を行なっている。
 児童虐待等で保護者に監護させることが不適当であると認められる児童については、緊急の場合は、児童相談所による一時保護や児童養護施設、児童自立生活援助事業を行ういわゆる自立援助ホーム、養育里親等の児童福祉施設等が生活の場として提供されることとなる。
 特に自立援助ホームは義務教育を修了した子どもを対象とし、就業への取り組み姿勢および職場の対人関係についての援助・指導をおこなうなど、自立に向けた支援を行うところとなっております。
 これらの児童福祉施設等を利用するには、児童相談所による措置等が必要とされることから、本市がこのような相談を子どもから受けた場合などには、本人の気持ちを十分に聞き取り尊重したうえで、池田子ども家庭センターへつないだりすることなどによって対応している。

児童福祉施設は豊中市内に十分あるのか。
 また、令和7年度の児童相談所開設により、このような施策や対応がどのように拡充されるのか。

〔答弁〕
 市内の児童福祉施設等は、児童養護施設が1カ所、養育里親が19世帯。現状、これら市内の児童福祉施設等で対応しきれない場合があり、その他の理由がある場合も含め、原則、大阪府内の児童福祉施設等を利用することで対応している。
 児童相談所を設置した市は子どもの最善の利益を念頭に社会的養育推進計画を策定し、これを推進していくこととなるため、本市としても児童福祉施設等の社会的資源の確保に努めていく。

子どもの居場所の展開における更なる取り組みの強化、居場所運営継続のためのサポート、利用希望の児童増加への対応について

 事業開始から2年8ヶ月を経て、11月末現在18校区にて35箇所の登録とのことで、展開が困難であるとも伺っている。
 今後の更なる取り組みの強化、新たな対策等について、また、居場所運営を継続いただくためのサポートならびに利用を希望する児童の増加等にて対応が困難になった場合についての対策も聞かせていただきたい。

〔答弁〕
 子どもの居場所を全小学校に展開するため、居場所を立ち上げたい人の希望、思いを十分に汲むことを前提としたうえで、圏域コーディネーターによる居場所のない小学校区における資源開拓、マッチングに注力していく。
 また、運営の継続のためのサポートについては、引き続き圏域コーディネーター等による運営支援、ボランティア確保のための講座の開催や学生向けのLINEによる情報発信、また運営補助金の交付などで多面的に支援していく。
 利用を希望する児童が増加し、対応が困難となった場合については、人員不足、物理的な場所の不足に対して、ボランティア確保や新たな場所の確保などの支援を行うといった対応も必要に応じ行いますが、ネットワークの利点を活かし、他の居場所を紹介することも有効な対応と考えている。

公民連携での居場所等の実施において検討した可能性と取り組みについて

 令和2年12月本会議にて、子どもの貧困対策における公民協働での取り組みとして、門真市の「子どもLOBBY」についてお伝えしたが、こちらは行政と企業が公民連携でつくりあげた行政直営の子どもの居場所となり、企業による設置場所の無償提供や家具等の寄附など様々な協力により公費支出を大幅に抑え令和3年4月に開設、「子どもの非認知能力向上プログラム実施」「子どもの居場所及び保護者の相談支援の場としての活用」「キャリア教育イベントの実施」「不登校児童支援」の4点を重点的に取り組み、子どもたちへの寄り添いから信頼関係を築き、抱える困難な状況を改善するなど着実に成果をあげておられる。
 本市の見解として、子ども施策を進めていく上において、行政だけでなく、地域、団体、企業など幅広く連携することが重要と考えており、今後についても様々な可能性を検討していくとの答弁をいただいたが、検討された可能性ならびに取り組みについて具体的にお聞かせいただきたい。

〔答弁〕
 本市においても、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく子ども未来応援施策に係る具体的な取り組みのひとつとして、子どもの居場所づくりに公民連携で取り組んでいる。
 門真市の子どもLOBBYについては、特に企業の連携・協力のもと、キャリア教育イベントが充実しているところが特徴であると考えている。
 本市においても、子どもの居場所で多様な体験や交流活動、学習支援ができるよう、子どもの居場所ネットワーク事業において、物資の寄付だけでなく、体験を提供する企業やいこっとサポーターとのマッチング等を行なっているところである。
 引き続き、関係部局、関係機関等との連携のほか、本市と連携協定を締結している企業、SDGsパートナー登録団体や公民学連携プラットフォーム登録会員等と連携した取り組みを進めていく。

親子支援プログラムの成果及び改善解決強化に向けての取り組み、今後の展開について

 先の本会議の答弁にて、子どもの貧困については、目の前の子どもへの支援はもとより、家庭やその保護者への相談支援が重要と認識しているとあった。
 まったくもってそのとおりで、子どもを育む環境づくりにおいて、貧困に限らず、すべてにおいて家庭や保護者への支援が必要不可欠であり、特にコロナ禍の影響にて親が抱える問題も深刻さが増している中、経済的支援はもとよりメンタル面でのサポートは肝要である。
 本市では、子育てについての不安の軽減や楽しさについて学ぶ場として、「親を学ぶプログラム」実施のほか、子どもの成長にとって重要な愛着形成を学ぶ参加型の講座を通じ、親子で一緒に育っていくことのできる取り組みが進めてられており、やはり就学前からの親子関係形成における支援はじめ、深刻な問題に至らないための予防が必要と考えるが、それら親子支援プログラムの成果ならびに改善解決強化に向けての新たな取り組み、また、現状を踏まえての今後の展開について具体的に聞かせていただきたい。

〔答弁〕
親子支援プログラムについては、一般向け、子どもへの関わりに悩む保護者向け、子どもの発達に困り感を感じている保護者向けなど対象別に認知行動療法などに基づくプログラムを行なっている。
 成果は、受講をとおして参加者同士のつながり、自分一人が子育てに悩んでいるのではないことの気づきや、子どもの行動理解の深まりから叱ることが少なくなったなどの行動変容が挙げられており、良好な親子関係の形成に寄与しているものと考えている。
 今後については、育児不安を解消し子育ての楽しさを学ぶ場を広げるとともに、より多くの方に参加していただけるよう、講座回数を増やすことや地域の身近な場所で受講できるよう講座の開催を工夫していく。

意見要望

 様々な取り組みをはじめ、児童福祉法改正にあたり、親子関係形成支援事業の新設や、子育て短期事業の拡充をされるとのことで、より充実した支援となることを期待する。
 一方、それらを受けにこられず1人で悩みを抱えこまれる方への対応も考えていかねばならない。
 ハーバード医学大学院の論文には、「孤独の感覚は社会的ネットワークを通じて、いわゆる風邪と同じように感染していく」とあり、親が孤独を感じていると、子どもに感染するとなれば、親の心身の状態が子どもを育む環境に大きく影響を及ぼし、すべてがそれに尽きるといっても過言ではない。
 今、全国各地の教育委員会の後援をうけ、こどもの「孤独」などをテーマにした講演でコミュニケーションの重要性について伝えているNPO法人トラストコーチング代表の馬場啓介氏は、子どもたちが生きやすい未来を目指して、大人の私たちに「今」できることを提言されているが、例えば、職員の方々がそのようなコーチングを学び、地域に出向き保護者の方々とふれあうのも一案であると考える。
 現場にて相談を受けておられる方のお声には、制度の狭間や使えない制度、受皿の不足に苦悩されているともあり、また、現場に出て直接市民の声を聞かれている職員の方々は必要であるものを確実に感じておられることと思う。
 前例にないとか、枠にとらわれることなく、市長がおっしゃる現場第一、その貴重な声を是非とも活かしていただきたいと切に願うとともに、子どもたちの笑顔あふれる未来のために更なるご尽力をいただけるよう要望する。

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