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村上春樹的義妹生活

*サムネイルはyoutube本PVより引用しました。


1話を配信で視聴した勢いで書きました。次話以降は未視聴の状態です。

義妹生活はいいぞ。というつれづれな感想です。
2024年夏アニメの本作。
漫画が好きで原作も読んでおりますが、今回のアニメ化は1話の時点で大成功だという気持ちが強く、思わずnoteに書きました。
正直、最近のライトノベルはド名作で無い限り、消費的にアニメ化されている印象が強く、原作が好きな義妹生活も同じ目に遭うのではないかと疑っておりました。
でも、杞憂だったようです。
先に、残念だったところを書いておくと、
・遠景の構図がちょっと縮尺怪しい。
・動きが少なめ。
はあったのですが、2点目は寧ろだからこその演出もできますので、ほとんど1点目だけです。
作画の安定性は今後に期待ですが、1話の演出は少なくとも、原作勢からすると拍手しかありませんでした。
例えば、インスタントの味噌汁、チンご飯で済ませる男二人家族の朝食の様子。そういった様子は原作では書かれていません(たぶん)。ですが、今後、家族が増えていく中で朝食がどのように変化していくかを予感させる前フリとしてすごく好きな演出です。
お湯はりの給湯温度を変える演出が、浅村くんの気の使い方を如実に表している様子として小粋だなと思って震え、子供時代に貼っただろうシールを綾瀬さんが見つける演出に不意のエモさを感じました。

「義妹生活」のタイトルに相応しい、生活を丁寧に描いているのが、求めていたアニメ化で凄く嬉しいです。

あ、上田麗奈さんのお母さんボイス…御冷ミァハと違う落ち着いた安定感が素晴らしいということもここに書いておきますね。


閑話休題。
原作を読んでいる頃からずっと、このヘルシーさと面倒くさい青少年のやり取りに、村上春樹的何かを自分は感じていました。
ハルキストの皆さんからしてみれば、全然違うと言われるかもしれませんが、例えば1Q84や多崎つくると彼の巡礼の年から感じる匂いと義妹生活から感じる匂いは、少なくとも私にとっては同じものなのです。
ラノベ的な村上春樹といえば良いでしょうか。文体ではなくその骨格が私の中の村上春樹作品像に近い。
私の中でそんな位置づけの義妹生活ですが、その空気感を上手にアニメ化していただけたと思っています。
過激なバトルシーンも、ラノベ的な激しいラブコメシーンもないけれど、内省と他者からの影響で変わっていく様をじっくりと描いた原作を、アニメオリジナルの要素を付け足しつつ描いていく。
二人の思いのすり合わせが、心情のセリフではなく演出でなされていく様は、本当に素晴らしくて、アニメ化ってこうあるべきだなという自分の中の正解を見た気すらしています。演出だけで彼らの人となりを、考えを映していくのは容易ではありません。今期放送中の推しの子2期でも近々そういう話があると思いますが、説明台詞を極力排除した脚本は、ポイントを演出や演技に全投げです。でも、脚本で押さえている「間」と演出がハマったとき、アニメでしか摂取できない美しさが立ち現れる。
1話しか視聴できておりませんが、まさに、脚本と演出を通して、原作の空気感、二人の関係性をきれいに描ききっていると思います。
本当にありがとうございます。
2話以降も、じっくりと視聴させていただきたいです。

2024年夏アニメ、良作が多すぎますが、義妹生活、おすすめです。


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