先代犬“ポチ”のおトイレ問題
ウロウロ……ソワソワ…………スンスン……ウロ…
どうも落ち着かない様子の“ポチ”。家中を徘徊していた。
「これ……おしっこちゃう?」
「トイレに誘導してみよか。」
ということで、買ったばかり設置したてほやほやのおトイレへ乗せてみた。
「………………………………」おトイレの上で仁王立ち、コレジャナイ感満載で佇む“ポチ”。
「そこ、おしっこするところやで。そこでおしっこしてええんやで。見られてたらしづらいか。目ぇつぶっとこか。」捲し立てる母上。しかし、一向におトイレをする気配はない。
「そや!おトイレは庭でするって言うてたやん。じゃ、ベランダ行ってみよか。」と“ポチ”をベランダへ出し、様子を見ることにした。しかし、ベランダを嗅ぎ回るのみでまたもや一向におトイレをする気配はない。
「ポチ……かなり長い間、おしっこしてなくない?これはマズいんじゃない?」
「やばいやん……」
「やばいやん……」
「やばいやん……」
著しく語彙力に欠ける家族は一斉に同じ台詞を吐いた。
一刻を争う“ポチ”のおトイレ問題。一体どうすれば……
「外……連れていってみる?おさんぽ……?」
「そうやん!!」
「せや!!おさんぽやん!!」
そう。解決策はいとも簡単に見つかった。
買ったばかりのハーネスを“ポチ”のサイズに調整し、リードがすっぽ抜けないように手にグルグル巻きにし……
いざ!!!!!!
テクテク歩きながら、至るところにおしっこをする“ポチ”。その“ポチ”を懐中電灯で照らしつつ並走する人間。その後ろをおしっこ跡に水をかけながら追いかける人間。そのまた後ろをうんちょ袋を手に「一粒も残すまい!」と目をぎらつかせつつ付いていく人間。
こうして“ポチ”の記念すべき初散歩(初おトイレ)は人間3名をお供に連れて終わった。
結局、“ポチ”は家の中では一切おトイレをしなかった。その後はだいたい6時間おきになるように1日4回のお散歩が定着した。(みんな1日2回くらいかな……と家族で話をしていたが、インターネットで「家でおトイレができないワンコはおトイレを我慢しています。」の文言を見つけた結果、最低1日4回となった。)
雨の日はカッパを着用し、寒い日はダウンを着込み、暑い日は水で濡らして温度を下げれるメッシュ素材をまとい、風が強い日は“ロングコートチワワ”であることを誇示するかのように飾り毛という飾り毛(特にしっぽと耳の下の異常に長い毛:通称ヤン毛)をなびかせながら、毎日おトイレ兼散歩へ行った。
「おトイレ……いらんかったなぁ……撤去。」
ケージに続き連敗中の母上であった。
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