バイト

 今日も私はバイトに行った。コンビニのバイトをしている。これは、今年の六月くらいから始めたバイトなのだが、始めた理由は去年か一昨年くらいに読んだ小説「コンビニ人間」が面白かったからだ。「コンビニ人間」を読んでコンビニのバイトをしよう!って人はなかなか少ないと思うけど、私は機械的になってみたいとうっすら思ってそれだけの理由で始めた。絶対もっと楽しかったり適していたりするバイトはあるだろうなと思いながらも。後は廃棄をもらえるという話がでかかった。大量に出る食品廃棄物を持ち帰れるのだ。この話を友達にすると、廃棄なんてどうでもよくね派とめっちゃ良いじゃん!廃棄たくさん持ち帰って一緒に食べようよ派に分かれる。この廃棄も含めて時給計算をしたら(無茶)最低賃金であるはずの950円が一気に1500円越えに跳ね上がる。この二つの理由でコンビニバイトという愚行がスタートされたのだが、最近はもう廃棄というもの自体がどうでもいいという域に入ってきた。別に廃棄でもらえる弁当やらなんやらを必死に持ち帰らなくても生きていけるしな、とか、廃棄を一生懸命かき集めてる自分がダサいなとか。こうして一つ理由が消えて、そもそも「コンビニ人間」にあこがれてやってみたいなんて欲望を満たすには最初の一週間で大丈夫だった(やってみて気づいた)から、晴れて私がコンビニバイトをする理由などなくなったのだった。コンビニバイトを初めて最初に思ったのは大人たちの暗さや汚さみたいなものだ。コンビニバイトの仕事内容はほんとにいろいろあるのだが、代表的なのが接客だ。あとトイレ掃除。私は初日にやったトイレ掃除でまず心が折れた。トイレットペーパーに洗剤を付けて掃除をするのだが、当たり前だが便座が汚すぎる。さすがに手袋をつけて掃除するのだが、その手袋には当然バラエティ豊かな汚物が次から次へとついてきてさらにその手袋でトイレットペーパーを触るのだ。お客さんが使うやつを。私はそれからコンビニでトイレを借りることはなくなった。接客なのだが、まずコンビニでは基本的に生きるのに最低限のものを買う人が多い。いわゆる嗜好品ではないものだ。みんな仕方なく買っている感じがする。だからとにかくみんなのテンションが低く、顔が怖い。中には半ギレで入ってきて、店員にそれをぶつけてくる輩もいる。仕方なく自分のからだを回すエネルギーを補充するために来て、当然店員側とかには一切の関心もない。ここまで書いて思ったけど、コンビニ人間にあこがれてたならこの感じをあこがれてたってことだよなぁ。根本的に私とあの小説の主人公はタイプが違ったのだろう。バイトの同僚は同じ大学の学生ばかりでいい人ばかりなのだが、店長は例外で、基本的にどんな質問をしてもだるそうに「そんなことも知らないのかお前は??」みたいな感じで来やがる。「知らないよ。お前が教えてくれなかったからな!」そう言ってやりたい。今日なんか「コーヒーの豆がないんですけどどうすればいいですか」って聞いたら、「はぁ、そこに豆いれんだよ」って言われた。知っとるわ!その豆がどこにあるかを聞いとるんじゃい。それを言ったら日本語が通じないのかコーヒーの機械の豆を入れる場所を開けるたのカギだけ渡された。物語の順序ごとに一個ずつしか教えてくれないRPGのキャラクターか。いちいち不愛想なのはわざとかね。良きバイトを見つけ次第コンビニはやめようと思っている。でも、無機質な社会の一辺を見せてくれたから少し感謝もある。

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